12.やけど




「痛い?」

「痛い。」

「痛いんだ?」

「痛いさ。」

「へぇ」


ダイニングの椅子に腰掛けたロイの正面に立ち、

は ロイの手を取る。


「何だい?」

「いや、ロイも 人間だったんだなぁって。」

「何だ それは。」

「だって…」


苦々しい顔でを見遣るロイと、

落ち着いた態度を保ちきれず、肩を震わす

の手には、氷水を入れた ビニールの袋。


「まさか ロイが、火傷するなんてさ。」

「…笑うな…」

「無茶言うな。」


ロイが。あのロイが。焔の錬金術師が。

ついうっかり 湯を沸かした鍋に、思いっきり左手の甲を触れてしまったなどと、

誰が想像できようか。


(いや、ヒューズ中佐がいた。)


あの人なら、あっさり想像してくれるような気がするのは、

の気のせいでは ないだろう。


「ほら、ちゃんと コレ当てとけ。」


たぷっ と音をたて、冷たい ふにゃっとしたものが、

ロイの、甲を向けて差し出された左手に 乗せられる。


「冷たいな…」


ぽつりと、呟く ロイ。


「それは 俺が?それとも 水が?」

「水が。」

「そう。」

「ああ。気持ち良い。」

「そりゃ 良かった。」


素っ気無く 放たれたのコトバに 顔を上げたロイは、

の その穏やかな表情に、


(火傷も してみるものだな)


と、思ってみたり するのだった。









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