少し強めの酒を一気に呷れば、喉元の 一瞬焼け付くような感覚と、
襲い来る酩酊感が 心地良く俺を満たす。
今夜はもう、酔ってしまおうと決めていた。
するすると酒を流し込みながら 元凶のことを考えれば、
折角浮上しかけた気分は また薄暗く俺の中に広がってしまった。
「ロイのバカヤロー…」
呟けば、それでも少しは楽になって、また酒に逃げる。
原因は ロイの「デート」だ。
別に、それ自体は了承済みだ。ロイは俺を愛してくれている。
それとは全く違う次元での必要な付き合いなのだから、
「デート」そのものに 文句を言うつもりはない。
だけど。だけど!
帰りが遅いってのは、どういうことなんだ?
確かロイは 10時には帰るといった。
なのに今はもう 日付も変わって久しい。
「何だってんだ…」
まさか ベッドに連れ込まれてるわけじゃないよな、と
疑ってしまうのは俺が悪いのか?
イライラを押さえ込むように グラスを空ける。
と。
「こら、。」
いつの間に帰って来たのか、ロイが 俺の背後に立っていた。
ソファに座る俺を後から抱き締めてきたロイは、着たままのコートから
外の冷えた空気の匂いをさせている。
俺は 無視してグラスを口に運んだ。
「無茶な飲み方をするんじゃない。」
静かな声で窘められて、グラスを取り上げられた。
「誰のせいだ バカロイ。」
遅いんだよ、と呟く声は、みっともなくも 拗ねて掠れている。
「…、遅くなって 悪かった。」
ロイは 謝りながら 俺の首筋に唇を押し当てるように顔を埋める。
「シャワー、浴びてこいよ。」
「ん?」
「香水の匂いなんかさせてやがったら、ベッドに入れないからな。」
言って ロイを睨み上げる。
俺を不安にさせたんだ、今夜は 寝かせてなんか やらないからな。
☆Thank you...☆