「はーなーれーろーっっ」
「いやだっ」
「いやじゃねんだよ、離しやがれジロー!」
「いーやーっ!が頷くまで 離さない!」
「いやなのは俺だっつーの!誰が頷くか!! 」
昼休みの教室。ジローが俺に 引っ付いて10分。
延々繰り返される言い合いに、ピリオドを打とうとしたのは忍足。
「ええかげんに せぇへん?仲良いんは分かるけど…」
「じゃあ、ジローを俺から引っ剥がしてくれ。」
「いやいや、そこはが 折れてくれんと無理やわ。」
「あのなあ…」
どこの世界に、昼休みはテニスとエッチどっちがいい?とか訊かれて
平然としている奴がいるんだ?!
自慢じゃないが、俺はテニスは そこそこ上手い。でも好きじゃない。
だからって、学校でヤるなんて俺的には以ての外だ。
なんてことを 周囲には聞こえないように潜めた声にドスを利かせて
その耳に吹き込んでやれば、忍足は もうええ、と言って逃げた。
「!はやく どっちか!! てゆーかエッチしよう!」
「ふざけんな!俺は これから昼寝するんだ!! 」
苦し紛れに言ってしまったことは 本心ではなかった。
俺に 昼寝なんてする気は さらさら無かった。が。
「じゃあ それでいいよ。」
ぱっと明るい顔になったジローは、俺を引きずるようにして教室を出た。
「は?何?どこ行くんだよ?」
「屋上!」
昼寝するんでしょ?と嬉しそうに言うジローに、
俺は間違った提案をしてしまったんだろうか と思って、だけどもう 諦めることにした。
寝たら ちょっとじゃ起きねぇ王子様だ、
下手したら 5時間目には間に合わないだろうな、と どこか呑気に考えながら。
☆Thank you...☆