かきごおり





「それ、甘いの?」


問うたの指す先。忍足が手に持つ器には、真っ白な かき氷。

コンデンスミルクの ほのかなクリーム色すらついていないそれは、

何のシロップもかかってはいないように見えて。


「甘いよ」


と、答えた忍足に、は目を瞬かせた。


「かんろって言うん、知らへん?」

「かんろ…」

「一口食べてみ?」

「うん」


しゃくりと音を立ててスプーンに掬われた一さじを、そっと口へ運ぶ。


「…甘い」

「せやろ?」


それは本当に甘くて、は少し驚く。

真っ白な かき氷は、ほのかに覚えのある香りがした。


「…わたあめの味がする」

「当たり。甘露って言うんは砂糖水や」

「へぇ…砂糖水か」


感心したように呟くを見て、忍足は くすりと笑う。


、氷いちごが溶けかけてるで」

「え?あ、ほんとだ」

「可愛いなぁ、ほんまに」

「ん?」


ちゅ と、忍足の唇がのそれに触れ、その舌が氷の甘さを伝える。


「甘露より、こっちの方が甘いな」


ぺろりと の唇を舐め上げて、忍足が笑う。


「侑士…暑い。寄らないで」

「あら…」


そのまま甘い雰囲気に…と目論んでいた忍足は、

その場で ずるっとコケた。


「つれへんなぁ」


と顔を上げて、の顔が ほんのり苺色なことに気付き、

苦笑して忍足は、もう少しだけ 氷の甘さを堪能することに決めた。














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