浴衣





久しぶりに日本へ帰った次元を待っていたのは、

紺色の浴衣を着た だった。


「お帰り」

「お、おう。ただいま」


男物のそれを すらりと着こなしている。


「何かあんのか?今日」

「ん?花火大会。折角だから行こうと思って。」

「そうか」


数ヶ月ぶりの逢瀬とは思えないような さらりとした言葉を

返してくるに、次元も さらりとそう答える。

もともと、再会のたびに抱き合ってキスを交わすような

2人ではないが、あまりに自然に成り立ってしまうその空気に

ルパンなどは、つまらないと鼻を鳴らす。


「次元も行く?」

「ん?ああ、そうだな…」

「じゃあ、次元の着替え、出さないとね」


それでも。


…俺は、できれば…」

「ん?」

「花火よりベッドへ、連れて行きてぇんだがな」


だめか?と問う次元のその口元は、笑みの形に歪んでいて、


「僕は、何も聞かずに押し倒されると思ってたんだけど?」


答えるは、にっこりと次元よりもタチの悪い笑みを

浮かべてしまうから。


「お前な」


やはり2人は恋人同士であるのだと、当人たちは知っている。


「浴衣っていいよねー」


脱がせやすいでしょ、とベッドに転がるは笑う。


「へぇへぇ。お前さんにゃ、敵いません」

「じゃあ 次は…裸エプロンで待っててあげる」

「いらねぇこと言ってねぇで集中しろ」

「いらないの?エプロン」

「いらね…ぇこともねぇ」

「…ぷっ」

「笑うな」


やっぱ こいつにゃ敵わねぇと溜息を吐く次元は、それでもいいか、と

苦笑して、の甘い身体を堪能すべく、思考を切り替えたのだった。














☆Thank you...☆