ゆきだま





雪が降って、今年は それが結構 積もった。


俺の愛しい人は今、その白銀の上を笑顔で走り回っている。

雪が降った翌日の、晴れ渡った青空の下、キラキラと輝く

雪の上を、キラキラと輝くような笑顔で、走り回っている。


さん、あんまり走ると 転びますよ?」

「わかってるよ!」


忠告すれば、言葉は返ってくるが、行動には反映されない。

あぶないって言ってるのに。


年上の、きれいで可愛い人。

いつもキラキラと、無邪気に笑っている人。

世の中の汚いところとか、知っているにも関わらず、

いつも きれいに笑っている人。


愛しくて、愛しくて堪らない、俺の恋人。


さん…だから、危ないって…」

「わかったってば」


困り顔を作って言えば、ようやく走るのをやめて戻ってきてくれる。


「てか、俺のが年上だって、忘れてね?」

「忘れてませんよ」


ずいぶんと子ども扱いされた気がすると、目を据わらせる彼は

やはり可愛くて、ついつい顔が笑ってしまう。


「忘れてんな」

「忘れてませんって」


にやけた顔が なかなか元に戻らず、さんに ぷいっと

そっぽを向かれてしまう。

あわてて何とか戻した顔に、ぽすり と冷たいものが当たった。


「つ…めたっっ!さんっ!?」


当たったのは、雪玉。といっても、大して強く握られておらず、

当たれば崩れる程度のもの。


「ふん」


どうやら本気で拗ねてしまったらしいさんは、

ぽすぽすと 雪玉を投げてくる。


そういうところが可愛くてしょうがないんだって、

いいかげん わかって欲しいんだけどな……。


さん!」


駆け寄って抱きしめれば、大人しく腕に納まってくれるから、

本当に、可愛くて しょうがないんだ。













☆Thank you...☆