ふわふわ ふわふわと 雪の舞う日。
凍った地面に足を取られて、盛大に転んでしまったは、
アンパンマンの背に乗せられてパン工場へと連れてこられた。
後ろ側に滑って転んだせいで、腰から背中にかけてを、
少しだけ段差になっていたところに擦ってしまったために、
盛大に擦り剥いてしまったのだ。
ジャムおじさんの手で、血の滲む大きな傷に消毒液をかけられ
薬を塗られて、は痛みに身を竦めた。
「っ……!」
「うわぁ…痛そうねぇ…」
の背中を覗き込んだバタコさんが、自分の方が
痛みを感じているかのように眉を寄せる。
「今日は、ぼくの部屋に泊まっていきなよ」
帰っても一人では何も出来ないだろうという、アンパンマンの
言葉に、ジャムおじさんとバタコさんも それがいいと頷いた。
悪いから、と帰ろうとしたは、けれど引き攣れる傷の
痛みに崩れ落ち、そこをアンパンマンに抱えられて、
部屋へと連れて行かれてしまった。
「うー…雪が積もったら遊びたかったのに…」
アンパンマンの部屋、ベッドの上、うつ伏せに転がったは
窓の外を見ながら、恨めしそうに呟いた。
自分より年上のはずのの その発言に
アンパンマンは苦笑する。
「怪我が治るまでは、我慢だね」
「つまんないの」
拗ねたように ぽすりと枕に顔を埋め、は
不貞寝を決め込もうとするが、
「代わりにベッドの上で、遊ぼうか」
「え……」
きしりと ベッドを軋ませてアンパンマンが覆い被さってくる。
「ちょっ、何?まさか…する気?」
「ん?がんばれば、痛くないように 出来ると思うけど」
「けが人に どんな無茶する気なのっ」
「無茶かな」
「無茶だよっ!」
それこそ、怪我が治るまで我慢してよ と怒鳴り、
うっかり背中に力を入れてしまったは、
ずきーっと走った痛みに、ベッドに沈没した。
冗談だよと笑って頭を撫でられ、痛みに潤んだ瞳で
もう一度外を見遣ったは、今度こそ不貞寝を決め込んだ。
その夜見た夢は、真っ白な雪の中、アンパンマンに
抱きしめられているというもので。
翌朝 は、夢と現実の差に 小さく溜息をついた。
☆Thank you...☆