「!!」
俺を見るなり、ぱっと目を輝かせて飛びついてきたのは、ラビ。
呼び出されて、彼とブックマンが暮らす家までやってきたのだが。
「具合悪いっつーから来たんだけどな」
「早く来てくれて嬉しいさ」
ああ、こいつに尻尾がついていたら、きっと今、ちぎれんばかりに
振っていることだろう。
「そうか。嬉しいか」
「とっても」
こくこくと頷くこの顔を、神田やリナリーに見せたら、きっと
こいつに対する認識は、くるっと方向を変えるだろう。
いつも飄々とおちゃらけているこいつの、このでれでれと崩れた
表情は、きっと誰も知らない。
「具合は?」
「悪いよ?」
「俺には、元気あり余ってるようにしか見えないんだがな」
取り敢えず熱を測れと体温計を出しても、この甘ったれは
俺に抱きついたまま離れようとしない。
「ラビ……ケツに突っ込まれたいか?」
直腸検温は正当な方法だぞと脅せば、ラビはぎくりと身を揺らして
ぱっと身体を離し、体温計を受け取った。
「はキチクさ……」
「あ?」
「何でもありません」
数分後、確認した体温計は、
「何だ、しっかり病人だな」
この元気そうな身体に、低くはない熱があることを示していて。
「じゃあ、座薬でも入れるか」
「堪忍して下さい」
「いやか?」
こくこくと勢いよく頷くラビに、横目で視線を送りながら、
だったらと取り出したのは小ぶりの注射器。
「これでいいか?」
それに、少し嫌そうな顔をしながら、こくんと頷くから、
にやりと笑って言ってやる。
「尻に、だけどな」
瞬時に青褪めて逃げ出したラビは、10分と経たぬうちに、
さらに上がってしまった熱に体力を奪われ、ひぎゃー、と
情けない声をあげながら、俺に下着を捲られることになった。
こうなるのが嫌なら、今度はこんなになる前に、教団の医務室へ
来いと言えば、半泣きのラビは、無言でこくこくと頷いたのだった。
Thank you...☆