あめあめ ふれふれ。




土砂降り。

そう言うのが多分適切なのだろう勢いの雨。

ざあざあと、よくもまぁ降るものだ。


「際限なんて、ないみたいだよな」


みんな出払っている司令室。

帰り支度をしながら、が言う。

その表情は、この雨の中を帰らなくてはならないというのに、

翳りなど一片も感じられない。


「ロイ?帰らないのか?」

「………」


夜も11時を過ぎた頃、やっと仕事を終え、

帰り支度をしている時の この雨だ。

いっそ このまま司令部に泊まっていこうかと思ってしまっても

ばちなど当たるまい。


「ロイ?」

…」

「ん?」

「今夜は、仮眠室に泊まらないか?」

「はぁ?」

「いや ほら、雨が強いし…」


の表情が、呆れを含んだものになっていく。

それに混じって、心なしか不機嫌度が上がっているような…


「何が悲しくて、家に帰れる日に仮眠室の固いベッドを選ばなくちゃいけないんだ?」

「え、いや…でも、仮眠室のベッドだって、そんなに質が悪いわけじゃ…」

「じゃあ、ロイは したくないんだな?」

「え…?」


の言葉が、意味を理解する前に脳内を滑走していってしまった。

私は今…誘われたのか…?


「したくないって…何を?」

「せっくす。」


……………一撃必殺率直攻撃。

軽い眩暈を覚えながら、を見れば、

拗ねたように 視線を逸らしていて。


「したくないわけが無いだろう?」


ぷつり、と。

何かが切れたような 感じがした。


「じゃあ、さっさと帰ろう。」


そう言ってドアノブに手をかけたを、

後ろから抱き込む形で ドアに押さえつけた。


「家までなんて、我慢できそうにない。」

「え…」

「煽ったのは君だよ、。」

「そんな…っ」


逃れようとするを 半ば強引に横抱きにし、

仮眠室へ向う。


「やっ…嫌だからな!しないからなっっ!!」

「あまり大きな声を出すと、誰かに見つかるよ?」


いくら夜とは言え、何かと忙しい司令部だ、

残っている人間は少なくない。


「仮眠室でなんて、嫌だからなっ」


一応 声は抑えているが、それでもは文句を言うのを やめない。

聞き流して廊下を歩く。

ぶつぶつと何事かを言っているを抱いたまま、仮眠室のドアを開いた。




「だぁかぁらっ!やらないって言ってるだろっ!!」


仮眠室に入り、をベッドに下ろすが、


「何故?」


は、私の胸を押して、猶も逃れようとすることをやめない。


「ベッドが固い!」

「それは さっき聞いた。」

「じゃあ…!」

「でも、家までなんて、我慢できない。」

「しろよ!ちょっとくらい!」

「ちょっとじゃない。」


どさり、と。

をベッドに押し倒し、その膝を開かせる。


「い…やだ…っ」

「セックスしたいと、言ったのは君だ。」

「言ったよ!言ったけど…っ」

「けど、何?」

「家で、って 言ったんだ!」


上着を脱がせ、Yシャツのボタンに手をかける。

と、の手が、阻止しようと伸びてきた。


「どうしても、ここでは だめ?」


その手をつかんで、指先に舌を這わせながら問えば、


「壁、厚くない…だろっ」

「壁?」

「声!」

「…あ。」


確かに、仮眠室の壁は厚いとは言えない。

いびきのうるさい奴が寝ていると、その音は廊下まで漏れる。


「何かと思えば、そんなことか。」

「そんなこと、って…!」

「大丈夫だよ。私が塞いでおくし…」

「なっ…」

「幸いなことに、外は土砂降りだからね。」


多少の音は 掻き消されてくれる。


「だから、安心して感じなさい。」

「無茶言うなっ…」


肌蹴たYシャツから覗く胸の飾りを擽りながら、

頑ななの味方をするかのように進入を妨げているベルトを外す。


「好きだよ、。」


笑顔を向けて、そう告げれば、

は、私を睨み上げてきながらも、

その身を委ねることを 選んでくれた。


「明日っ!誰…かに バレてたら、ぁ…叩きのめす…からなっ!」


なら、有言実行するだろう その言葉に。

窓を濡らす雨が、もう少しの間 勢いを保ってくれることを、切に願ってしまっても、

ばちは当たらないんじゃないかと…思うのだが…。











〜End〜




あとがき

更新停滞宣言、しているにも関わらず、書いてしまいました。
自分に甘いな〜…俺…(苦笑。

いつも来て下さっている、みなさまへの御礼、と 思って頂けましたら幸いです(笑。


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