後悔ってのは、やっぱり先には立たないもんで、

「ひきょーものー」 とか、「人でなしー」 とか、「変態ー」 とか 言ってみたりしたが、

結局 ロイの家に連行され、寝室に放り込まれた。






50.目で犯す





『負けたほうが 勝った方の言うことをきく』 なんて、オーソドックスな賭けに 負けた。

これが ホークアイ中尉あたりに負けたなら、

仕事の量が3倍になるくらいで済むのだけれど。(それでも十分痛い。)

よりにもよって 相手はロイ。

にっこりと笑って 「今夜は泊まりにおいで」と言われたら、身の危険を感じないはずがない。


「そんなに身構えなくたって いいじゃないか、。」


無茶言うな。

ドアの前で突っ立っている俺を そのままに、

軍服の上着を脱いで ベッドに腰掛けるロイ。


この状況でさせられること ってのは 限られているんじゃなかろうか。


…まさか、この流れで マッサージ なんてことはないよなー…。


などと、淡い期待を抱いてみるが、

Yシャツのボタンを 上から2つ3つ 外しながら にっこり笑うロイが口にしたのは、


「取り敢えず、脱ぎなさい。」

「げ。」


あぁ、やっぱりね…。という内容のコトバ。





呼ばれて 視線を合わせれば、その笑顔が「やれ」と言っている。


「っ…脱げばいいんだろ、脱げば。」


軍服の上着を脱ぎ捨て、Yシャツのボタンを外しかけたところで、

ロイが こっちを じっと見ていることに気づいた。



〜〜〜っ  気づかなきゃよかった!!



裸なんて 見慣れてるし、見られ慣れてるけどっ!でもっ!

は…恥ずかし…っ


考えてみれば、キスの一つもせずに服を脱ぐ、なんて初めてのこと。


…絶っっ対 俺 今 顔真っ赤だ…。


「どうした 。手が止まっているぞ。」


ロイの笑みが、意地の悪いものになる。

わかってて言ってるな このやろう…。


?」

「わっ…わかってるよっ!!」


もう さっさと脱いで 楽になろう。…と思ったんだが。

手が震えて上手くいかない。


く…くそーっ  ストリップじゃないいんだぞ…。

あー…もう泣きそう……


って、涙目で ストリップなんて 情け無いにも程があるだろ!


ロイを見れば、相変わらず じっとこっちを見ている。


「何だい?」

「何でもねーよっ」














ロイの視線に曝されながら、

先にブーツを脱ぐべきか とか、

下着はズボンと一緒に 一思いにいくべきか とか、

よくわからないことを 本気で悩んでみたりすること数十分。

ようやく一糸纏わぬ姿で、ロイの前に立つ。


「で、どうしろって?」


ロイは、まだ 俺から視線を外さない。


その視線は、まだ熱に浮かされていない身体には痛くて…。


「ロイ!は…やく しろよっ!!」


身体が 性感を伴わない熱さに 侵されていく。

顔どころじゃない。耳から首から、熱くてしょうがないんだ。


とにかく この恥ずかしさを何とかしたくて、先を急かす俺に、

ロイは くすり、と笑うと、


「おいで」


と、手を差し出してきた。

俺は 条件反射で その手を取った…


「えっ ちょっ…うわっっ!!」


瞬間、世界が ひっくり返った。



ロイが、俺の手をひっぱって ベッドに押し倒したせいだ、と気づいた時には、

仰向けに転がる 俺の脚は、大きく開かされた上に 深く曲げられていて、

全て ロイの視線に曝される形になっていた。


「ちょっ…ちょっと ロイ?!」

「何だい?」


何だい…って…


「み…見ないで欲しいんだけどっ!」


こんな体勢、最中だったら気に留めない。

まだ 何の反応も見せていない身体を曝しているのが、なぜか恥ずかしい。

さらに、意識が 正常だったりするから問題だ。


「恥ずかしがるも 可愛いね。」


くすくすと笑いながら、ロイが言う。


「か…かわいい?!」


可愛い なんて…最後に言われた記憶があるのは

年齢一ケタの頃だ。


「26の男に向けて言うセリフかよ…」

「いや、可愛いよ。」


ちゅ、っと 額にキスを落とされる。

あー…もー いーや。


「はー…好きにしろよ」


特大の ため息と一緒に吐き出せば、


「元々そのつもりだよ」


と、返ってくる。


……しまった。好きにするって、そっちか。

な…何されるんだ?俺…。


「こらこら、固くならない。」


思わず固まった俺に、ロイが苦笑する。


「変なことはしないよ。」


……本当だろうな…?
















変なことはしない、と言った その言葉通り、

ロイの行動は その後、いつもと変わらないものになった。


なったんだが しかし…


「ふ…あっ…」


やたらと視線を感じる。

一度意識してしまったせいか、とにかく見られているように思う。


俺の上に覆いかぶさってくる身体も、

穿たれる熱も、

自身に触れる手も、

いつもと変わりないのに、高まるのが異様に早いのだ。


これが 俗に言う 羞恥プレイか。そうか。

って、納得してる場合じゃぁない。


「んやぁっ」


握りこまれた 俺自身は、もう 限界を訴えている。


「や…ロイっ
  もぉ…ムリっ」


生理的な涙が こめかみへ 伝っていく。

限界だと 口にした俺に、ロイはにっこり笑う。

…何 企んでやがる……。


「ロイ…?何……うぇっ?!」


何するつもりだ、と 言い切る前に、ロイが上体を起こした。

もちろん 繋がったままで。

と、なると 必然的に 俺の腰は ロイの膝の上に乗るわけで、


「えっ  ちょっ   待っ……んっ……あぁぁっ」


角度の変わった刺激に、俺は あっけなく 自身を解放した。

ロイの目に、全て曝される形で…。








  ※   ※   ※







「つ…つかれた…」


シャワーを浴びて、メイキングし直した ベッドに沈む。

今日のは キツかった。肉体的疲労より、精神的疲労の方が大きい。


「大丈夫かい?

「こんなにしたのは 誰さ…?」


元凶のくせに!とか、突っ込む気力もない。


「私だね、責任は取るよ。」


ちゅっ、と キスが降りてきて、


「ん…っ」


優しく何度も 唇を啄まれる。


「ふ…」

「落ち着いてきた?」

「ん。」


こくり と頷くと、ロイの手が 腰に伸びてきた。


「…ロイ?」

「ん?何だい?」

「や、何だい、じゃなくて。この手は何?」


するすると さすられる腰。


「何って、責任を取って、普通に気持ちよくしてあげよう と…」


…この男は…


「責任なんか 取らなくていいから、寝かせてくれ。」


まだ 腰を撫ぜている手を ぺちっと叩いて、さっさと眠るべく、ロイの胸に顔をうずめた。

頭上から、苦笑する気配が伝わってきたが、


抱き込むように回された腕は 優しかった。










〜End〜




あとがき

これで微エロって言い張っていいですか。(待て。

30題02.戦闘訓練 の続き、ということで書いてみました。
せっかく賭けをして 大佐に勝ってもらったんだし、ね(笑。
ほんとは もっと色々したかったんですよ。でも、そうすると、
さすがに年齢制限しなくちゃいけなくなっちゃうし…(ぇ。

100題1発目がNo,50からってのもおかしいですが、
まぁ…あと99題、微エロやらエロやらで がんばります(笑。


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