Degeneracy




ばたん、と 大きな音を立ててドアが閉ざされる。

がちゃがちゃと 乱暴に鍵を閉める音がして、けれど その音を立てるのが

誰かは 分かっているから は タイプライターを打つ手を止めないまま

どすどすと 音を立てて足音が近づいてくるのを聞いていた。


カチャリと 背後でドアの開く音がして、次の瞬間。

肩を掴まれて振り向かされ、噛み付くように唇を奪われた。


「ん…っぅんっっ」


無理な体勢を強いられた は、喉の奥で呻く。


「は…っぁ…」


やっと唇を解放されると、すぐさま立ち上がらされ、引きずるようにして

ベッドへ連れて行かれる。

どさりと投げ出されて、の身体が ベッドに跳ねた。


「今日は また 一段と荒れてるねぇ。エンヴィー?」

「うるさいよ。」


突然の来訪者は、やっと口を開いたかと思えば、そんな一言を吐き捨てて

を 睨み下ろすように覆い被さる。


「ったく…。お前って いつもそうよね。」


も少し 可愛くしたら?なんて、拗ねたように呟いたは、

それでも優しく腕を伸ばし、エンヴィーの首に絡めて引き寄せる。


「で?今日は、めちゃくちゃに したい気分?それとも、されたい気分?」


問うて引き寄せた唇に口付け、舌先で性感を呷れば、

無言のままに、の衣服が乱されていく。


急性に性器を掴み出され、愛撫などというものからは 程遠い、

乱暴な所作で弄くられる。


「っ…痛いって。」

「もっと、脚開いてよ。」


の抗議を無視して、性器の先端、小さな穴に爪を抉り込ませながら

エンヴィーが言う。


「っあ…っ!ちょっと ひどくね…?」


目に涙を浮かべながら、しかし素直に脚を開くの性器は、

痛みの中に快感を見つけ、昂っていく。


「勃たせといて何言ってんの?痛いの好きなくせに。」


嗤うように言って エンヴィーは、猶も小さな穴を ぐりぐりと嬲る。


「あ…っっぅあぁぁっ」


酷い程に粘膜を弄くられ、さらに性器の根元に震える陰嚢までをも

乱暴に握り取られ、揉み込まれて、は ほぼ強制的に射精させられた。


荒く息を吐く を休ませることなく エンヴィーは、その後孔を、

の放った白濁で濡れた指で抉る。

労る仕草ではなく、2本、3本と慣れもしない箇所へ押し込み 嬲る。

内部の しこりを きつく押し上げ、無理矢理な快感を与えれば、

それでも は、再び性器を屹立させた。


「こ…っの!エンヴィ…っっは…ぅっ…さ…けるっつの…!」

「はっ!裂けるかよ。こんな ぐちゃぐちゃに してんのに。」


ぐちゅりと 音を立てて指を一気に引き抜き、エンヴィーは自身の熱を

の その孔に押し当てると、躊躇うことなく押し込んだ。


「っ…きつ…いって…こら、エンヴィ…っ」


胸に付くほどに折り曲げられた脚は、めいっぱいまで左右に押し広げられ、

真上から 腰を打ち込まれる。


「あ…あぅっ…!」


ぎちりと 咥え込まされた後孔は ぐちぐちと音を立て、性器からは とろりとした

欲情が、揺さぶられるたびに 腹や胸に飛び散り 肌を濡らす。


責め苛まれ、こぷりと の性が溢れた。

性器の先端は開き、解放を待ち侘びて、ひくり ひくりと震える。


「あ…く…ぅっっ」


ずるりと 後孔に ひどく排泄的な感覚を与えられ、

次には 奥まで突き入れられて、は 2度目の逐情を果す。

射精の衝撃に腰が震え、締め上げた後孔で、エンヴィーが達するのを感じる。


「っあ…あー…っん…」


熱い体液が 体内に放たれる その感覚に、は また ひどく性感を呷られ、

達したばかりの性器が 僅かに頭を擡げる。

萎えた器官が引き抜かれ、は ぶるりと身を震わせた。


「あーもう…無茶苦茶…」


痺れたように ひくつく後孔を持て余しながら、は 身を起こす。


「で、満足したのか?それとも、まだ足りない?」


代わりにベッドに背を預けたエンヴィーは、やはり黙ったまま脚を開いた。


「足りないんだ?」


じゃ、めちゃくちゃに していい?と からかうように口にして

が エンヴィーに覆い被さる。


「ふん。あとは お前の好きにしろよ。」


笑うでなく身を投げ出して、エンヴィーが を促した。


「荒れてるだけじゃなく、さらに投げやりとは…」


何があったわけ?と 答えを求めるでなく問いながら、サイドボードから

ローションのボトルを取り出す。


「何?慣らそうとか、やっさしーこと考えてくれんの?」


俺、あんなにしたのに、と 嗤うエンヴィーを見下ろして、

は 素っ気無く言う。


「俺は、きっついより、とろっとろの ところに 突っ込む方が好きなの。」

「へー、あっそ。」

「そ。もー黙ってね。」


嫌って程 慣らしたげるから と、いっそ冷たくさえ見える表情で言って、

は 押し広げた後孔に、どろどろと ローションを垂らした。


ぐちゅぐちゅと 音を立てて、粘膜に塗り込んでいく間、は その他の

どこにも 触れようとしなかった。

奥へ奥へと ジェル状の それを流し込み、本当に そこが蕩けてしまうまで

掻き混ぜて 苛んだ。


「いい…かげんに、しろ…っ」


焦れて腰を揺らすエンヴィーの、その長い髪が

シーツに擦れて さらさらと音を立てる。


「んー。そろそろ いいかな。」


先程の仕返しとばかりに、意地悪く笑うは、さらにローションを継ぎ足すと

乱暴に奥を抉った。


「っ…こ…のっっ」

「痛くはないよなぁ?もう、とろとろ だもんな。」


は、嬉しそうに言って 指を引き抜くと、そこに 屹立した自身を押し当てた。

ずっ と、一気に押し込む。


「あぁっ」

「っ…ぅくっ」


とろりとした エンヴィーの その後孔は、の性器を包み込んで蠢く。

ぐにゅぐにゅとした粘膜に甘やかされ、知らず 腰の動きが速くなる。


「ひ…っあぅっ」


が エンヴィーの その脚の間に熱く屹立するものを握ると、

エンヴィーは 喉の奥から 引き攣るような声を零した。


「さっきの、お返し、な。…うっ」


にやりと笑ってエンヴィーの急所を弄くり出しただが、

すぐに息を詰めることになった。

どろり と 自らの内奥から、先程のエンヴィーの残滓が零れ落ちてくるのを

感じてしまったからだ。


「く…そっ」

「は…ざまぁねぇなぁ」

「お前ねぇ…こーゆー体勢で そーゆーこと言う?」


鼻で嗤ったエンヴィーに むっとして、は ぐいっと 腰を押し込んだ。


「ぐ…ぅぁ…」


急な抉り込みに、エンヴィーが呻く。


「さ、そろそろ イってもらいましょーか。」


ぱん、と音が立つほどに腰を打ち付ければ、エンヴィーの身体が跳ねる。

の性器を包む粘膜が、その絶頂が近いことを教えた。

ひくり ひくりと蠢く孔は、取り込んだ雄に吸い付き、その精を搾り取ろうと

先端を締め上げてくる。


「イけ。」


短く命令して、最奥を穿てば、衝撃で エンヴィーが達する。

同時に も、その奥へと 精を叩き付けた。


「っ…は、ぁ。満足?」

「……うるさい…」


ずるりと エンヴィーの内部から萎えたものを抜き取り、その横に倒れ込む。


「つかれた。」

「ふん。だらしねーな。」


言ってエンヴィーは 身体を起こすと、脱ぎ捨てていた服を身に付け始める。


「もう行くのか?シャワーくらい 使ったら…」

「いらない。じゃあな。」


を ベッドに残したまま、エンヴィーは部屋を出て行った。

そのまま玄関のドアまで 閉まる音がする。


「何だかなぁ…」


残されたは、まぁ 毎度のことだけど、と 呟いて 身を起こす。

が 知っているのは、エンヴィーという彼の名前だけだった。


「あ、あいつまた 俺の名前呼ばなかったし。」


ふらりと やって来て、セックスをして帰っていく。出会いなど忘れた。

2人の間にあるものは、ただ悦楽のみ。

それ以外の、何があると言うのか。


「ヤるだけヤって さよーなら、ってか。」


ふっと笑ったは、それ以上の答えを求めることを やめた。

立ち上がると、身体を残滓が伝っていく。

は シャワーを浴びるべく バスルームへと向かった。


ぐだぐだ考えても 仕方は無いのだ。

どうせまた 次も、会ったら快楽に溺れる他に することは無いのだから。


は 小さく苦笑すると、シャワーコックを捻り、熱い湯の雨に 身を任せた。














〜End〜





あとがき

半年くらい抱えていたネタを、やっと消化できました。はふぅ。
リバです。主攻です。ごちゃごちゃです(笑。
名前呼ばれない。甘さがない。愛がない。…これホントに夢?
(裏なんで堪忍してやって下さい…)

今回悩んだのが、ホムンクルスって子作りできないのよねぇ…
ってことでして、エンヴィーのナニは性器と呼んでいいものか。
悩んだ末に、そのあたりの表現は 無理矢理避けてみました。

何だか色々 今までに無い感じに仕上がったエン夢ですが、
いかがでしたでしょうか。
感想など頂けましたら幸いです。

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