愛してる 愛してる 愛してる
ずっと ずっと 君だけを。
愛してる 愛してる 愛してる
たとえ 君が 俺を 望まなくても…。
「ヒューズ!! 」
「おわっ」
後ろから抱きつけば、
「こら、危ないだろ !」
怒りながらも、ぽん と頭に乗せられる その手が好き。
一瞬後には 笑ってくれる、その笑顔が 好き。
好き 好き 好き
「ヒューズ!!! 遅れるぞ」
「何だよ マスタングー。って呼べってばー。」
ヒューズに抱きついたまま、前を行くマスタングに文句を言えば、
「俺も、マースで いーんだぞ、ロイ。」
ヒューズも からかう口調でノってくる。
その 楽しそうな表情が 好き。
好き 好き 好き
好きで 好きで どうしようもないよ。
君が好き。
好きなんだ。
※ ※ ※
伝えたい わけじゃない。
側にいたいだけ。
恋愛したくない と言えば、嘘になるけれど。
この気持ちに 苦痛はない と言えば、嘘になってしまうけれど。
愛してる 愛してる 愛してる
止められない。
止まるものじゃない。
せめて 好きでいることを許して?
君の邪魔に なるようなことは しないから。
※ ※ ※
ヒューズに恋人が出来たのは 士官学校を卒業して 間もなくの頃。
でれでれと 彼女の話をする彼に、自分も女だったら、なんて 考えたこともあったけど。
でも、その でれでれした表情まで 愛しく感じるのだから、俺も かなり重症だ。
彼が結婚する と知ったときも、式の最中も、
彼の嬉しそうな顔が 愛しくて、たまらなかった。
俺では、させることのできない表情。
それを見ることができるのは 彼女、グレイシアの おかげなのだけれど。
女にはなれない 俺。
なったところで、君に求められる存在にはなれない 俺。
嫉妬することさえ ばからしい。
好き。 好きだよ。 愛してる。
告げるつもりは…ないのだけれど…。
※ ※ ※
数年後、南方に移動になっていた俺に宛てられた
久しぶりの 級友からの電話は、
それを 知らせるものだった。
「…うそ…だろ…?」
信じられない。 信じられるわけがない。 信じたくない。
─ヒューズが 殉職した…。
「なぁ…冗談…だよな? なあ!マスタング!! 嘘だよな?!」
『…』
諭すように、声を荒げることなく、淡々としているマスタング。
「……」
すっと、落ちた沈黙。
俺が落ち着くのを、待ってくれているんだろう。
『。気持ちはわかるが、現実だ。 受け止められるか?』
「………うん…ごめん…。」
つらいのは マスタングも一緒。
いや、それを俺に告げる彼の方が、俺の倍は辛いのかもしれない。
「取り乱して…悪かった」
『大丈夫…か?』
「ああ。……平気だ。」
『そうか…』
平気じゃないことくらい、マスタングには わかってしまっているだろう。
「じゃぁ…また。」
『ああ。また。』
受話器を置いた途端、
ぱたぱたと 零れた 涙。
ヒューズ…。
※ ※ ※
真新しい、その 白い石。
一人 佇む 昼下がりの 墓地。
ここに 眠っているのは
俺の 愛しい人。
冷たい石に、そっと 手を触れる。
「ヒューズ…」
好きで 好きで 好きで
愛しくて 愛しくて 愛しくてたまらない 彼。
「愛してる ヒューズ」
呟いた言葉は、静かな その広い空間に、
ただ 溶け込んでいった。
愛してる 愛してる 愛してる
ずっと ずっと 君だけを。
愛してる 愛してる 愛してる
たとえ君が もう いなくても。
〜End〜
あとがき
方恋物語。
1作目とは違って、恋してる主人公でした。
本当は、もう2場面くらいあったのですが、
蛇足な気がして削ってしまいました。
そしたら主人公が名前呼ばれる箇所が
ぐんと減ってしまったり…(あわわ)
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