甘い衝動 甘い誘惑





「はい。ロイ、これあげるっ!」


ずいっと差し出されたのは、グーに握った右手。


「何?」


突然 自室に乗り込んできた 隣の家の幼馴染に、

ロイは ぱちぱちと 目を瞬いた。


「いーからっ」


手を出さないロイに焦れて、が ロイの手を取る。

手の平を上にして開いたロイの小さな手に、それよりも 一回り小さい

の手から、ころり と 落とされた もの。


「…チョコレート?」

「うん。」


個包装の小さな一粒を確認して ロイが呟くと、は 嬉しそうに頷いた。


「今日は、大切な人に カードと贈り物を 渡す日なんだって。」

「へぇ…じゃあ、これが贈り物?…カードは?」

「う…。それは…その…おれ、まだ字が うまく書けないから…」


わたわたと 答えるに、くすりと笑って ロイは、

ぽんぽんと の頭を 軽く叩いた。


「知ってる。言ってみたかっただけだよ。ありがとう、。」

「もー、いじわるいっ」


膨れて ぷいっと そっぽを向く が可愛くて、ロイの悪戯心が 頭を擡げる。

如何せん、ロイは この年下の幼馴染が、好きで好きでしょうがないのだ。

好きな子ほど いじめたくなる。そんな心理は、ませた子どもであるロイにも

しっかりと 働いていた。

もらったチョコレートの包装を解いて 口に放り込むと、





ちょいちょい、と の頬を突付き 気を引いておいて、その唇に口付けた。


「んっ…!」


突然のことに 驚いたは、けれど促すように

ぺろりと唇を舐められて 大人しく 口を開く。


「んふ…ぅっ」


忍び込んできたロイの舌は、溶け始めたチョコレートに濡れて甘い。

は その甘さに誘惑され、ロイの舌に吸い付いた。


「んっ、んっ」


ちゅくちゅくと、赤ん坊がミルクを飲むように、無心にロイの舌を吸う。

チョコレートが溶けきって 甘さが薄れても、は 離れようとしなかった。


「んく…っん…ぁ、や…」


すっと舌を引き抜かれ、が 抗議の声を上げる。


「ね、

「なに?」


ふぁふぁと 上がった息を整えるに、ロイは にっこりと微笑んだ。


「今、父さんも 母さんも、いないんだけど…」

「あ…」

「したいな、って。」


言いながら、の性器にズボンの上から手の平を押し当てる。

くっと力を込められて、の 身体が びくっと跳ね上がった。


「していい?」

「…うん。して…。」


の返事に、ロイは 満足そうに笑って、のズボンを下着ごと引き下げる。

けれど、が サイズの大きなセーターを着ていたために、

今までズボンに引っかかっていた それが、すとんと落ちて

の大事なところを覆い隠してしまった。


…これ、邪魔なんだけど…」


そこで、ロイは 少し意地悪く、なのにを ぞくりとさせるような表情で笑う。


「自分で、めくって?」

「え…っ」


これから そこに施されるであろう 淫らな悪戯を、

自らの手で促すようにと催促されて は びくりと 固まった。


覚えたばかりの いけない遊び。

まだ精通していない、その用途さえ、ただ 排泄のためにあるとしか わからない

幼い性器を弄くられる 気持ちいい遊び。


初めて触られた時は驚いたけれど、指先で弄られたり、擦られたりしているうちに

「気持ちいいコト」として、身体が受け入れてしまった。


そのくせ、ロイは の それを弄繰り回すばかりで、自分の、より 少しだけ

大人になった、精通を迎えたばかりの欲望を曝すことはなかったので、

は その行為が 本来 どんな意味を持つのかを、知らないままだった。ただ…


。ね、は 俺のこと、好きだよね。」

「…うん。」

「俺も、が 大好きだよ?」


だから、ね?と 唆すロイが、「好きだ」と言って憚らないから、

の中で それは「好き=気持いい」の図式として、その内に根を張っていた。


このセーターを捲れば、ロイが気持ちいいことをしてくれる。

その器用な手指で、気持ちいいところを弄ってくれる。


自分の身体から ひょっこりと 飛び出している その排泄器官を、

ロイに見られるのは 恥ずかしかったけれど。

気持ちよさ、という誘惑に負けた

セーターの裾を くしゃりと掴むと、そろそろと 引き上げた。


「ん。よくできました。」


にっこり笑って、ロイは、その 勃ち上がることを知らない性器を握り取ると、

きゅむきゅむと 揉みしだいた。


「あ、んっ!やぁんっっ」

「可愛い。…すごく、可愛い。」


まだ未熟な の性は、手の平に心地良く、自分の それを弄っている時とは

違う喜びに満ちた陶酔感を覚える。


不意に、ロイは それを咥えてみたいという衝動に捕らわれた。

まだ、口に含んだことはない。この可愛らしい器官を。


(…のみ込んでみたい…。)


舌にのせて 可愛がりたいという欲求は、子どもの理性などという脆いものを

引き出したりはせず、ロイは その衝動の求めるままに、を立たせたまま

屈み込んで、それを 口に含んだ。


「ひゃっ…!なにっ?! 」


突然 強烈になった刺激に、は 慌てる。口に含まれたのだと知って、

じたじたと暴れてみても、きゅっと吸われて力が抜ける。


「んー…ぁあっ、やだぁ…ロイっ きたないよぅ…」

「ちゃんと 歯は磨いてるよ?」

「やっ ちがっ…そうじゃ なくてっっ!! 」

「汚くなんか ない。は キレイだよ…。」


うっとりと口にして、ロイは 再度その性器を口に取り込む。

くぷくぷと 甘やかして、舐め啜れば、くん、と の背が反った。


「きゃぅ…んゃぁ…っ」


好きな子の身体に触れてみたいという本能的な欲求と、子どもながらの好奇心とは、

ロイの中で混ざり合い、容赦なくに ぶつけられる。


勃ち上がることのない性器は、ロイの舌の動きに、

くにゅくにゅと従い、口腔内を撫ぜる。


「んあっ?! やぁ…っっ!ロイ、はなしてっっ」


しばらく そうしていると、突然 が 泣き声を上げた。


「何?どうしたの?」


慌てて口を離し、ロイは もしかして歯を立ててしまったろうか、と心配して 立ち上がる。


「ん…トイレ、行きたいっ」

「え?」

「や、もぅ…おしっこ…もれちゃ…っ」


言われた言葉に、ロイは硬直した。

兆す気配のない性器から吐精するなんてことはない。

つまり は、本気で尿意を催しているということで…。


「ねぇ…ロイっ、おねが…っ」


懇願するは、ロイに散々煽られたせいで 逼迫した状態にあるのだろう。

動くことすら儘ならず、ロイに縋って ふるふると 震えている。


縋りつかれたロイは、どうしようもない衝動に襲われていた。

見たい…と、思ってしまったのだ。それを。

子どもながらの 幼稚な言葉で告げられたそれは、ロイの熱を煽った。


…、ねぇ…ここで、して?」


一言ずつ 区切って、口に出した 自分の言葉にさえ ロイは煽られた。

見たい、と 思ってしまった自分への後ろめたさが、快感へと変わる。


「やっ…!やだ!やだよ…ロイ。」

「大丈夫、何も 心配しなくていいから。」


汚れたら、全部 俺がキレイにするから、と、

の 耳元に囁き、その排泄器官を握り取る。


。ねぇ、いい子だから…」

「くふ…ぅ…んや…っっあ、あっあっ」


促すように尿道口を押すロイの指に、は 抗うことが出来なかった。

堰を切ったように、熱い液体が 溢れて床に落ちた。


「や…だぁっ」


おもらし、なんて、もう 自分には関係ないと思っていただった。

尿意は ちゃんと感じ取れ、余裕を持って排泄できる年齢に達した自分だというのに。


「やだっ!でちゃぅ…でちゃうよぉっ」


勢いよく溢れ出るそれを止める術を、は 持たなかった。

ロイの促すままに、出し続ける他なくて、それが 恥ずかしくて 泣いた。


「可愛い、…。可愛いよ。」


堪えきれずに泣くを、ロイは 優しく抱き締めた。

自身の衣服が汚れるのさえも構わずに、ロイは の身体を

その腕に絡め取る。そのまま、が 全て出し切ってしまうまで、

可愛い と、その耳元に 囁き続けた。


びしょびしょに濡れた床を、ロイは 自分の着ていたシャツを脱いで拭いた。

青ざめたが止めるのも聞かず、どうせ濡れてしまったから、と そこに

自分のシャツを落としたのだ。


「やだっ…もう、ロイ、バカっ…」


自分ばっかりが こんなに恥ずかしい。「好き」は「気持ちいい」だけじゃ なかったのか。

こんなにも、こんなにも 恥ずかしくて、頭が痛くなるようなことも「好き」なのか、

は 分からなくなっていた。


「おれも、ロイの…するっ」


自分ばっかり 恥ずかしくて、それが「好き」か分からないなら、

ロイに同じことをして、そうして訊いてみればいい。


子どもの考えだった。けれど、同じ子どもであるロイは、それで度胆を抜かれた。

ロイが、よりも、ほんの少しだけ大人である分、ロイの動揺は 凄まじかったが、

が ロイの その制止を聞く筈はなく、べったりと濡れたロイのズホンを

引き降ろし、その性器を曝させた。


「…あれ?」


ロイの、それは。熱を持って ふるんと 震えた。

自分の それとは明らかに違う形状に、は 首を傾げる。


「これ…なに?」


純粋に問われ、ロイは慌てた。


「こ…れは、えと…もう少し大きくなったら、のも なるよ。」


何と言っていいのか分からず、そんな言い方をしたロイに、は ふぅん、と頷いた。

いっぱい勉強をしているロイが、自分のも そうなると言っているのだから、

変な病気とかではないのだろうと、は あっさりと納得する。


「じゃあ、いいや。」


にーっこりと笑って、は ロイの 勃ち上がった それに唇を寄せた。


「っ…!だめっ …っきたない…っ」

「ロイ、おれのは きたなくないって ゆった。」

「わっ ちょっと…そこで しゃべんないで…」

「ふ?」


ロイが抗議する間にも、は ロイの それを、くぷりと咥えてしまった。

取り敢えず、ロイが そうしたように、きゅうっと吸うと、

びく、と震えたロイは、慌ててを押しのけた。

その時、丁度 の歯が、ロイの裏がわに当たり、その衝撃にロイは

の口から それを引き抜くのと同時に、ぴしゃりと 精を散らしてしまった。


「んっ…?」


突然 顔に叩きつけられた 粘つくものに、は 首を傾げる。

自分の出したものとは、明らかに違う、それ。

つぅ、と 頬を伝った それに、慌てたのは ロイだった。


急いで その場を片付け、換気に窓を開けると、汚れ物を一気に持って

を引っ張って バスルームに駆け込んだ。


の 顔と身体を丁寧に洗い、ついでに 汚れ物も洗って、全部キレイにしてしまうと、

ロイは、再び の手を引いて自室に戻り、

それから 生殖の何たるかを に、しっかりと教え込んだ。

もちろん、男同士の それが、どんな意味を持つのかについても。


聞いたは、深く考えるには 難しい話に、

「好き」の部分だけは しっかり聞き取って 嬉しそうに 笑ったけれど。








  ※   ※   ※








「懐かしいねぇ…」


ベッドの上、うつ伏せの身体を肘で支えて、チョコレートを摘みながら が笑った。

あれから、もう 20年近くが 経とうとしていた。


「あれ、ロイが10歳で、俺が 8歳の時だったっけ。」


今年、27になるは、しなやかな裸体を曝したまま、傍らのロイを見遣る。


「あんまり 苛めないでくれ。」


情事の後の色香を 隠そうともしないに、ロイは苦笑するしかない。

可愛かったは、ロイを誘惑する術をも覚え、綺麗に成長した。


「愛してるよ、。」


その言葉を受けて、は くすくすと笑いながら、仰向けに転がる。


「ふふ、俺も、愛してるよ、ロイ。」


腕を伸ばし、ロイの首に絡めて引き寄せ、口付ける。

の口腔内は、甘い甘い チョコレートの味で満たされていた。


「ん、ふ…ぅ」


そして、ロイの手が、再びの身体を探る。


「ぁ…んっ」


抗うことなく身を任せたを、ロイは 愛しげに見下ろす。

ベッドサイドのテーブルには、2箱のチョコレートと、2枚のカードが載っていた。

それを見つめて、ロイは ふと微笑む。


「何…?」

「何でもないよ。」


訝しげな顔をするに、ちゅっと口付けて、そのままキスを深めていく。

甘い甘い その夜は、2人を包んで 濃厚に更けていった。














〜End〜





あとがき

幼年エロ。うわ、小っさいロイが やらしい…。
10歳くらいってのは「幼年」で括っていいのですかねぇ。
まぁ、いっか。(いいのかよ。)
あー…裏が裏らしくなってきたなー…(笑。

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