君のためだけの花





羞恥を感じるのがバカらしくなるほど大きく脚を広げて、

熱を持ち 熟れきった性器を、己の その欲望を、男の眼前に曝す。


男の指が 悪戯に俺の性器を なぞっていくのに、くっと息を詰め眉根を寄せた。

もう そこからは 先走りと言うのか、だらだらと まるで

粗相をしているかのような勢いで体液が溢れている。


開ききった身体を自由にされて、快感とは程遠い痛みを与えられることも少なくない。

けれど、俺が それを拒むことはなく、ただ身を投げ出す。

この身体には、跡の残る傷を付けさえしなければ、何をしても構わない。

そういう契約で、俺は大金を手にする。

使う術も無いその金を得るために、俺は身体を開く。


「おやぁ?いけまちぇんねぇ。こんなに どろどろにちてぇ。」


今、目の前にいる男は、卑下た笑いを浮かべながら、

俺の羞恥を煽ろうと幼児語で言葉を綴る。


くちくちと、先端の穴を弄り、そこに浮き出る体液を掬い取っていた指が、

だんだんに その穴の中に押し込まれようとする。


「っあ…」

「気持ちいいでちゅかぁ?」

「ん…っ」

「答えないとぉ、このまま入れちゃいまちゅよぉ?」


この変態!と罵ろうにも、それを許される立場で無い以上、口を噤むしかない。


「ほぉら、答えないんでちゅかぁ?」


ぐい、と 穴が押し広げられる痛みが、少しの恐怖を煽る。

その穴だって、慣らせば小指の1本くらい入るようになるのは知っているが、

俺は その穴の中を犯されたことはない。

いきなり突っ込まれりゃ、どんな惨事になるかは…想像したくもない。


「気…持ち、いい…っ」

「んー?気持ちいいでちゅかぁ。」

「ん…。イイ…っキモチ、いいっ」


仕方なく口を開けば、男は嬉しそうに声を上ずらせる。

これでもう言葉は強要されないだろうと、俺は口を閉ざそうとした…んだが、


「どこが気持ちいいんでちゅか?」

「っ…」


そうくるか!って感じだ。どこ…って、さすがに そんなことを口にしたくはない。


「あれぇ?言えないんでちゅかぁ?」


にやにやとイヤな笑いが目の前に迫る。


「じゃぁ、おちえてあげまちょぉね。」


耳元に注ぎ込まれた そのコトバを、繰り返せたら性器を解放してやると言われ、唇を噛む。

躊躇う素振りを見せれば、男は楽しそうに 再度 先端の穴を 指で割り広げようとする。


「…ち…ん…きもち…っ」

「きこえまちぇんよぉ。」

「っ…お…ちんち…んっ 気持ちい…ぁっ」

「よくできまちた。」


やけっぱちで それを口に出した瞬間、ぐいっと扱かれ 吐精させられた。

その後は、後孔を穿たれ、抉られ、気を失うまで犯されて、ようやっと男の手から解放された。


僅かな間 飛ばしていた意識を取り戻した俺に、


「また来るからね。」


男が そう言い残して部屋を出て行くと、俺はシャワーを浴びて ベッドを片付け

裸のまま そこに倒れこんだ。



ここは、俺が身体を売っている店の中の、俺に割り当てられた部屋。

俺は ここに住み込んで この仕事をしている。

他にも幾つも部屋があって、そこには 俺と同じように身を売る

青年やら少年やらが住んでいるが、俺ほど条件の緩い奴は少ない。

痛いこと、汚いことは、嗜好が伴っている奴しかしたがらないわけだ。

俺のように 傷さえ残さなけりゃ何でも、なんて言ってる奴は まずいない。


今日 予約の客は、今の変態幼児語男(ちょっと長いか?)で最後だった。

この店では、予約をこなせば、その後の時間は自由に過ごせることになっているから、

そのまま外に遊びに行く奴や、新規の客を取る奴やら様々だが、

俺は大抵この部屋で寝ている。特に すべきことも、したいこともないからだ。

久しく外へ出ていない。食う寝るヤる、その繰り返しが今の俺の生活だった。



と、プルル、と 備え付けの電話が 内線の着信を知らせた。

身を起こしてベッドサイドの それを取る。


「はい?」

『ああ、?今から1人、いけるかい?』


電話は支配人からで、度々ある アポなしの指名だった。


「新規?」

『いや。常連様だ。』

「無茶しない人なら、いいよ。」

『お前の客に それは難しいが…大丈夫だろう。』


どういう意味だと問おうにも、とうに答えの知れた質問は 言葉遊びでも時間の無駄だ。


「わかった。10分後に来るように言って。」

『10分後、だな。じゃ、頼むぞ。』


プツ、と 電話が切れ、不通音が耳に届く。

ふっと息を吐きながら、残りの10分の休憩を満喫すべく、ベッドに背を預けた。


予約をこなし終えた後だと、ベッドを片付けもせずに寝ちまう奴も多いらしいから、

時間の猶予は多めにもらっても 支配人から文句は出ない。

まぁ、俺は精液まみれのシーツに寝る気は起きないから、余分休憩としてもらうんだけどな。


今日は既に3人相手にしているから、下半身は痺れきっていて、

これから もう1人相手にするのは、少しばかり億劫だ。

役に立たないってことは無いだろうけどな。


自分の下半身の状態を案じつつ、ゆったりと目を閉じ、身体の力を抜く。

短時間なら、これが一番疲れが取れる方法だ。



電話から きっかり10分後、部屋のドアチャイムが鳴った。

クローゼットからクリーニング済みのシルクのシャツを出して羽織り、

中段のボタンを2つばかり掛けて、下は何も身に着けずにドアへと向かう。

シャツ1枚、大きめのサイズのそれは、太股の半ばあたりまで隠してくれるようになっていて、

客を迎える時は この恰好が基本、ということになっている。

事前にコスプレの要求があったりしなければ、な。

別に俺はミニスカも嫌いじゃないが、オーソドックスが一番落ち着くってのは

俺の嗜好が至って まともだからだろう。(本当か、なんてツッコミは無用だ。)


ゆっくりとノブをひねりながらドアを押せば、カチリとオートロックが解除される音がする。

過激な嗜好の持ち主でないことを祈りながら、ドアを開いた。


「やあ、。」


ドアの先にいたのは、


「ロイ…」


ロイ・マスタング。俺の上得意客だった。


「いらっしゃい、ロイ。入って。」

「ああ」


彼を部屋の中へ通して、ドアを閉める。と、振り向きざまに抱きすくめられ、口付けられた。


「んっ…ふ…んんっっ」


絡められ、吸い上げられて息が乱れる。力が抜けてしまいそうになる膝を

何とか立たせて、へたり込まないようにロイの首に縋りつく。


「あ…ふっ」

…このまま、いい?」

「ん、いいよ。して、ロイ。」


基本的に俺が客のすることを拒むことはないのだが、ロイは時折 こうして確認を取る。

それが、少しだけ心地良い。


抱き上げられて、ベッドへ運ばれ、とさりと 少し乱暴に押し倒された。

あっと言う間にシャツのボタンを外され、身体を開かされていた。


彼のセックスは、彼自身の快楽を追うと言うよりは、俺に快感を与えることで

満足を得ようとするもので、彼の手にかかってしまえば、

セックスが日常の一部になっている俺でさえ、何を考える余裕もなく身悶えるしかない。

ただ とにかく、彼のセックスは気持ちが良い。


「あ…っ」


度重なるセックスで熟れきった後孔に彼の指が押し当てられる。

入り口を擽ったり押し揉むだけで、入ってこようとはしない その指を、俺の意思には

従ってくれない その孔は、ひくりひくりと 口を開閉しながら体内に取り込もうとする。


「や…ロイ…っ」

「ん?」

「焦ら…さな…で…っ」


自らの内壁が蠢くのを感じ、それだけで 性器は堪えようもなく勃ち上がる。

今日はもう何度も吐精していると言うのに、本当によく役に立つ息子だと思うよ。

我がことながら感心してしまう。


「っねが…いっ…ロイ…」


自然に腰が動いて、内側への刺激を強請るように揺れる。


「欲しい?」


耳に注がれる甘い声に、がくがくと頷く。


「今日は、ずいぶん素直だね。」


それは多分、先の客に、あんなことを口にさせられたからだろう。

行為を強請ることへの僅かな羞恥は、今 この時に限って

快感を求める己の身体の前に凌駕され、

欲しい、と それを口にしてしまう程には、理性は崩れていた。


「素直なは 可愛いな。」


拒むことがない代わりに、強請ることもない。それが普段の俺の客に対する態度だった。

口にして強請れと要求されればそうしたが、自分から強請る素振りを見せてしまうなんて…


「あ、あ…んっ」


くぷりと 指が潜り込んできて、その感覚に 襞が じわりと収縮する。

その一瞬後には、奥へ奥へと長い指を飲み込むように襞が動いていくのを感じていた。


「ん…っく…ぅっ」


後孔に伸ばされているのとは逆の手が、俺の性器を捉える。

ゆるく握られて扱かれ、先端に ぷつりと体液が浮き出る。

指先が、それを押しつぶし、伸ばしていく。


「あ、あ、あっ…」


軽く なぞられるだけの刺激に、内股が痙攣し始める。

後孔に含まされた指を、知らず締め上げていた。


、もう少し 力を抜いて。」

「あ…っや、ムリ…っダメ、きつい…からっっ」


イきつくには足りない、けれど 確実な刺激に、もう 身体が言うことをきかない。

イかせてくれないなら弄らないでくれと、口にしてしまいそうになって、寸前で堪える。

俺は こんなに 快感に弱かっただろうか。


「あ…あぁっ…や…っ」


ロイの指が、先端へ戻り、小さな穴を擽る。爪が 中に潜り込もうとした。


「い…ぁっ…何で…ソコ…っっ」


俺の客は皆、どうしてか俺の性器の先端の穴を執拗に弄る。

先の客もそうだったし、今日の1人目の客もそうだった。

何故、とは思えど、客のすることに持った疑問を口にすることは、それを拒む空気を

含んでしまうことがあるから、俺がそれを口にすることはなかった…のだが。

つい口に出してしまったのは、壊れ始めた理性のせいなのか、彼が相手だからなのか…。


「君は、ここを弄られると、とてもイイ顔をするからね。」


俺の当惑を知ってか知らずか、ロイは 少し嬉しそうに囁いた。


「いつもより乱れている君に こうしたら…どうなってしまうんだろうね?」


いつもより乱れている…のは、そうかもしれないが…


「何?イイ顔って…」


今日は疑問を口にしてばかりだな、と 内心自分に呆れながら、ロイの顔を窺えば、

彼は何か大切な秘密を喋るかのように、少し意地の悪い笑みを浮かべて教えてくれた。


普段 冷静に喘いでいる俺が(冷静に喘ぐって表現はどうかと思うが)

そこを弄られた時だけは、恥辱の色を見せるから、らしい。

…何だそりゃ、と言ってしまおうとして、確かに そんな表情が見たいという男心も

わからないわけではないから、諦めを吐息にして空気に逃がした。


しかし…そうか、俺はヤってる時も冷静に見えるのか。

自分の新たな一面を知ったって感じだな。


「っ…!あ…んっっ」


うっかり考えに耽ってしまっていたら、ぐりっと、ロイの爪が動いた。


「気を逸らさないで、。」


僅かな哀願と、少しの意地悪さを含んだロイの声が耳に注がれる。

性器の先端を割られて、擽られ、後孔に含まされている指には前立腺を押されて、

強烈過ぎる刺激に意識が混濁する。

更に胸の飾りを 噛み潰すように口に含まれてしまえば、堪える術もなく

白濁色の温かい体液がロイの手を汚し、俺の腹を汚す。


開かされたまま弛緩した身体は、その いやらしさを隠すこともできず、彼の目に曝された。

恥ずかしい、なんて 今更もう思いはしないが(それが人目には冷静にうつるんだろう)

彼の目に宿る欲情が、もうタンクの空になりかけている その器官に注がれるのを

感じるだけでそこは また頭を擡げる。果して出るものは残っているのか。

まあ、俺は出さなくてもイけるようになってしまっているから、

吐精がなくても問題はないんだが。


「また少し、冷静に戻ってしまったみたいだね。」


ロイが 僅かに苦笑する。


「君の正気を…奪ってみたいな。」


口調とは裏腹な、真剣な色を含ませて言ったロイが、ベッドサイドに置かれたテーブルに

置いてある花瓶に目を留める。

そこには、観賞用にトゲを取り除いた真っ赤なバラが飾ってあった。


「ロ…イ…?」


射精の後の気だるさの中、彼が身を起こすのを ぼんやりと眺める。

すっと、花瓶から1本のバラが引き抜かれ、茎に付いた水滴が俺の上に落ちた。


「ん…っ」


それを冷たいと感じると同時に、最も俺の恥辱を煽るのだと言われた場所に、

茎の先端が 押し当てられる。


「あっっ」


つぷっと、僅かに茎を穴に入れられ、先の男に指で抉じ開けられそうになった恐怖と

同種のものが背筋を伝う。身体が、びくりと 緊張した。


「何人の男に、君は ここを弄られた?」


ロイの声が、少しだけ寂しそうに響く。

ぷちり、と 茎から葉が毟り取られ、花のみが そこで揺れる。

爪で弄られていた場所が、今度は植物の感触に曝されている。


「何人の男が、恥辱に歪む君の顔を見た?」


彼が、他の客の事を口にするのは初めてだ。

他の男に抱かれた内容を聞きたがるなんて客もいたが、

ロイはそんなタイプの人間ではない。


「この穴も…もう何度も異物を受け入れているんだろう?」


ここが、様々な種の客が来る店であることを知っている彼は、俺の尿道の入り口を

バラの茎で捏ねながら、俺が そこに物を入れられ喘ぐ姿を想像したんだろう。

そうでなければいい、と言うような響きを含ませて、問うた。


のここは…どれくらいまで広がるんだい?」


つ…と、茎が僅かに押され、今まで爪で弄られていた時には

届かなかった粘膜に、硬い芯が触れる。


「んぁ…っっぁ…や…っ」


こわい、と思った。

指ほどではないにしろ、バラの茎とて そこに入れられるには決して細くはない。

噛み締めた奥歯が カタカタと鳴る。


誰にロウを垂らされても、誰に鞭を使われても、

性器をそうして甚振られることに恐怖など浮かばなかったのに…。


?」


過去にない俺の反応に、ロイが気付いた。

見下ろす目に、期待と不安が宿っているのが見て取れる。

彼は、俺の言葉を 待っている…。


こんなこと、客相手に口にすることじゃないし、

客の要求を拒まない俺が言う必要も無い。だけど…


「そこは…初めて、だから…」


そこを乱暴に扱われるのは怖かった。


「入り口は、みんな…されるけど…中は…」

「初めて?」


問い返されて、こくりと頷く。ロイが嬉しそうに笑った。

嬉しそうに、俺の頬にキスを落として、また少し、茎で媚肉を割る。


「ん…ぁ…っ」

「入れても、いい?」


優しく問われ、ゆっくりするから、と耳に注ぎ込まれて、俺は、また こくりと頷く。

ロイが してくれるなら、怖くない、気がした。


ゆっくり、ゆっくりと、バラが俺の中に沈む。短くはない茎が、

尿道を奥へ奥へと侵していく。


「あっあっあっ…あぁっっ」


声が止まらない。

普段、排尿や吐精の僅かな時間、液体が通るだけのそこに

硬いものが刺し通されていく。


痛い。

ゆっくりとは言え、慣れない場所を開かれるのは苦しい。


けれど、そんなことをされているのだという、変に高揚する感覚に陥ってしまったらしい

俺の性器は、痛みに萎えることもなく、侵入物を受け入れていく。


「ほら、見てごらん、。」


奥まで入れられた感覚のある そこに目をやれば、俺の性器には、真紅のバラが咲いていた。

茎は全て尿道に収められ、まるでペニスそのものが花茎であるかのように見える。


「綺麗だ…」


ロイの その呟きに、言い知れない羞恥が湧き上がる。

初めて後孔に、しっぽ付きのバイブを押し込まれた時には、

恥ずかしさなど感じなかったのに…。


だんだん茎の感触に そこが慣れ始め、先端を擽る花びらの感触が分かるようになってきた。

完全に痛みが引いたわけではなかったが、身体は その痛みをも快感として捉え始め、

熟れきった後孔が、物足りなさを訴える。


俺の気持ちを読んだかのように、ひくり と震える後孔に、ロイの熱が押し当てられた。

膝をついて座ったロイの上に仰向けにされたまま 腰だけを引き上げられ、

熱がじわりと入り込んでくる。全てを曝す体勢で抱かれ、腰に快感が渦巻く。


「ぁ…はっ…ぁ…」


揺すぶられて、赤い花を咲かせているペニスが揺れる。

それを視界に捉え、不思議な快感が湧き上がる。


…」


抽挿を繰り返しながら、ロイが身を屈めて口付けてくる。

ぐっと身体を二つ折りにされ、より深く入り込まれて、奥に届く熱に身体が震えた。


…君を…私だけのものにしたい…」


唇を触れ合わせたまま囁かれ、ぞくりと胸が ざわめく。


「ここから請け出したいんだ…。」


もう他の男に触らせたくないのだと、言葉にするロイの声は、痛いほど真剣だった。


「ロイ…」

「一緒に、来てくれないか…?」


最奥を、ゆるりと掻き回しながら、答えを求められる。

こんなことを言われたのは、これが初めてではない。

何人かの客から、同じように身請けの話をされた。

ここを出てくれと頼まれたことも、1度や2度ではない。

けれど…俺は いつでも ここに残ることを選んできた。

金が欲しいわけじゃないし、好きでやってるわけでもないのに。





切ない声で呼ばれて、バラが刺し通されている尿道が ざわりと揺れた。

彼なら、怖くない。そう感じた自分を ふと思い出す。


ついて行ったら後悔するだろうか。ついて行かなかったら…?

俺は どうしたいんだろう…。


ずっ、という感触があって、性器に受け入れさせられていた花が 引き抜かれ始めた。

ゆっくり、ゆっくり、入ってきたときと同じような はやさで引き抜かれていく。


「あ…あぁ…んぅっ」


その感覚に、思わず身を捩りながら 後孔を締め上げてしまった。

ロイが堪えながら、俺の耳元に口を寄せ、耳たぶを甘噛みする。


「愛してるんだ、


囁かれる間も 尿道を擦られ、後孔を掻き混ぜられて、息が上がっていく。

苦しくて、苦しくて、こんなのは今までになくて、俺は夢中でロイにしがみ付いてしまった。


「愛してる…」


どくり と、最奥に熱が叩きつけられると同時に、前の小さな穴からも茎が ずるりと出て行く。

案の定、吐精を伴うことのなかった絶頂の中、

俺は ロイに請け出されることを承諾してしまっていた。



その後、バスルームに連れて行ってもらい、身体までロイに洗ってもらった。

いつもなら、4人相手にした後だって、自分で全て片付けていたんだが、

今日ばかりは勝手が違った。


初めて前を犯されたせいで、膝に力が入らない。

じくじくと 熱を持ったように疼く尿道を持て余してしまい、思うように動けないのだ。

初めて後孔を掘られた日も、そう言えば似たような感じだったなと思う。

だからどう というわけじゃないが。


洗い清められ、ベッドに運ばれて、取り替えたシーツの上に寝かせてもらった。


「ん…ロイ…」


ひどく甘い感覚が、俺の中にある。これが何か、俺は知らない。


、愛してる。」


俺を請け出すことについて、もう店とは話がついていたらしい。

俺さえ承諾すればロイは俺を買い取って店を出られる状態だったのだと言った。


さらに、俺がロイに買われた金くらい あっさり返せそうなくらいの金は持っているのを

知っていたから(使ってないからな)すぐに俺が離れてしまいそうで怖かったのだとも、

ロイは告白してくれた。


嬉しい…と、思った。ロイが、俺を欲してくれたことが、嬉しかった。




「ん?」

「ここを出たら…もっと、ココを 開発してみないか?」


そう言ってロイが触れたのは、まだ じんじんと痺れている小さな小さな穴の入り口。


「な…っ」

「誰にも見せたことのない 君が見たいんだ。」


ぞくぞくとしたものが、背筋を走る。

ロイの俺への執着を、嬉しいと 思ってしまう自分が そこにいた。


「切…ったりとかは、イヤだからな。」

「おや、そこまで太いものを入れられるようになりたいのかい?」

「…ちが…っっ」

「わかってるよ。君を傷つけたりはしない。」


ロイは 優しく笑って、そこに刃物を入れることは、俺が望まない限りしないと約束してくれた。


ロイにだったら見せてもいい。俺自身さえ知らないような、快楽に落ちた自分を。

俺は、初めて、自らセックスを望んでいる自分に気付いた。


ロイに抱き締められたまま、眠りに誘われていく。この部屋で過ごす、最後の夜だ。

明日から、俺は、彼1人のものになる。この腕の中が、俺の居場所になる。


それが、ひどく、嬉しかった。
















〜End〜





あとがき

いかがでしたでしょうか。だんだんヘビーになっていく うちの裏(笑。
俺の思考がヘビーだから仕方ないんです。でもまだセーブしてます(ぇ。
問題は、この世界にバイブが存在するかってことで…
いっか。パラレルってことにしちゃえば。(いいのかそんなんで。)
あ、最後の方で言っている、切る切らないは、去勢の意味じゃありません。
亀頭部の切開の話です。(そんなことを すんなり言うなって話で・笑)
そこを切り開いてしまえば、中は案外すんなり拡張できるんだそうです。
(そんな知識は披露せんでいい。)
いい加減開き直ってきてしまった俺ですが、見捨てないでやって下さい(礼。

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