記憶に残るは散りゆく桜。
見開いた目、網膜に焼きついた、風に散りゆく桜の花びら。
涙で霞む視界。為す術もなく横臥して、身体を引き裂かれるような痛みに、
風に舞う一面の桜花が、漆黒の中に散った。
ピンポーン、と ドアチャイムが音を立てる。
続けて、コンコンコンと安下宿の薄っぺらいドアが叩かれた。
ベッドに蹲るは、煩げに目を開き、枕元の時計に手を伸ばす。
「…4時半…?」
デジタル時計は、午前4時32分を表示していた。
時計が狂っているのでなければ、この時間の来訪者は、非常識極まりない
という理由で、蹴り倒して踏みにじっても許されるのではないだろうか。
などと、物騒なことを考えながらは のそりと起き上がり、
寝乱れた姿を正そうとしないまま、いまだ叩かれ続けているドアへと向かった。
「近所迷惑、俺にも迷惑、時間考えろボケ。」
ガチャリとドアを開け、薄明るい、それでも寝起きには馴染めない外の光に
顔を顰めながら、不機嫌絶頂を隠さない声音で言って、非常識人を睨み上げる。
こんなことが出来るのは、相手が誰だか大方の予想がついているからで、
視線の先には案の定、見知った顔があった。
「よ、。おっはよ。早速だけど、出かけるぞ。」
「マース…。断る。帰れ。俺は寝る。」
上機嫌に笑うマースに、は苦い表情のままドアを閉めてしまおうとする。
「おっと、断ってもらっちゃ困るんだ。」
「あ?」
閉じようとしたドアを掴んで引き開けられ、マースが中に入ってくる。
「にフられると、もう1人の お姫様が機嫌を損ねるんでね。」
「何だそりゃ…つか、もう1人ってこた、1人は俺か?」
マースの言葉に、ロイが一緒に来ていることを知る。
マースから見ると、とロイは、まとめて『姫』らしい。
「俺からすりゃ、2人まとめてケダモノだけどな。」
ぼそりと呟いては、ちゃっかり上がりこんでクローゼットから服なんか
引っ張り出しているマースは放っておいて、ベッドに戻り、
布団を被って丸くなった。寝直す気は満々だ。
「おいおい、こらこら、寝んな寝んな。」
気付いたマースが布団を引き剥がし、の腕を取って起き上がらせる。
起きる意志のない力の抜け切った身体を ぐいぐいと引っ張り起こし、
それでもまだ ベッドに懐こうとするに、仕方ねぇなと呟いたマースは
その頬を両手で包み、引き寄せて 深く口付けた。
「ん…っっ」
きつく吸い上げられ、が目を開く。
され慣れている口付けながら、寝起きにディープな それはキツい。
「起きたか?起きたな。よし、顔洗って来い。」
「…マジ?」
「マジ。」
抗っても仕方ないのだろう。もう マースの中では、も一緒に出かけることが
決定事項になっているらしいのだから。
「あーもう…」
何が悲しくて休日の朝っぱらから叩き起こされ、連れ出されなくてはいけないのか。
は、溜息を吐きながら、もそもそと身支度を始めた。
※ ※ ※
マースに連れられて表に止めてあった彼の車へ向かうと、
その助手席でロイが寝ていた。
後部座席に乗るように促され、はドアを開けて乗り込んだ。
「ん…?やっと来たのか。」
バタン、と ドアを開け閉めする音にロイが目を開く。
「お前ね、人を行かせて寝てるってどーよ?」
運転席に乗り込んだマースが、呆れ顔でロイを見る。
「どうと言われてもな。眠いんだ、仕方ないだろう。」
「出かけようって言ったの お前だろ!」
ひでぇ、理不尽だ と ロイに向けて ぼやきながら、マースが車を発進させた。
「で、どこ行くんだよ?」
欠伸を噛み殺そうとして失敗しながらが問う。
「ん?秘密。」
答えたのはマースで、その声は嬉しそうに弾んでいる。
「何でだよ。」
「どうせだから、驚かせてやりたいし?な、ロイ。」
弾んだ声のまま、ロイに声をかけたマースだったが、
ロイの返事がないことに、ちらりと助手席に視線をやった。
「って、寝てんのかよ!」
「5時前だしな。」
「あーもう、いいよ。も寝てな。」
諦めたようにマースが言う。
「あ、そう?いいの?」
「う…薄情もの…」
「ダメなら言うなよ。」
が、ロイとマースに出会ったのは、何の目的があるわけでなく受けたら
受かった大学の入学式のときだった。
幼馴染という関係で、随分と長い腐れ縁と言うには くっつきすぎだった2人は、
どんな場面でも否応なしに目立った。
そんな2人に、入学式が終わった直後に声をかけられてしまったのは
にとって、幸であったか不幸であったか。
出会って2日目にして、彼らが いわゆる恋仲であることを知り、3日目には
「3人で」な関係になってしまっていた。
あれよあれよと言う間に 自分の性癖を見抜かれ、2人相手に身体を開かされて
しまえば、巧みすぎた2人の手腕に、は抗う術を考える暇すら与えられず、
その身を委ねるほかはなかった。
それから2年、大学生活にも慣れ、2人との関係にも すっかり馴染んだ3度目の春。
現状にあることを甘んじて受け入れるの心には、諦めと言うより、多分、それを
心地良く思う気持ちが強く存在しているだろうことは、本人も自覚するところであった。
「お、咲いてんなー。」
高速道路にのって、少し走った頃、マースが外を見るように促してきた。
「あ…桜…」
はらりと花びらを散らす、満開を少し過ぎかけの桜。
視界に広がるそれに、とくりとの心臓が音を立てる。
遠目に見るには問題もなくなった花。けれど、まといつく忌まわしい記憶は、
を絡め取って離さない。
「きれーだなぁ。」
「ああ。」
マースの声に、いつの間に起きていたのか、ロイが応じる。
は、波立つ感情を抑え、座席に深く身を沈めた。
もう、いい加減に克服しなくてはならないのだろう。抱えていても 辛いだけだ。
忘れてしまえ、と、春が来る度に念じてきたことを、もう一度自分に言い聞かせ、
は、ふっと息を吐いた。
※ ※ ※
「…山?」
「おう」
「…登る?」
「おう」
「…マジ?」
「マジ。」
連れてこられたのは、山。
人気のない、人里離れた、観光の穴場と呼ばれるのだろう山。
唖然としているを他所に、ロイとマースは山のふもとの駐車場に止めた車の
トランクから荷物を降ろし、登山の準備をしている。
登山とは言っても、ハイキングのようなものだが。
「俺、車で待ってるわ。」
「ダメ。」
「ほら、行くぞ、。」
マースの却下の言葉と、差し伸べられたロイの手。
これは引きずってでも連れて行かれそうだと、は諦めて山を登ることにした。
休日の朝、時刻はまだ6時を10分ほど過ぎたかという頃合。
日は とうに東の空にあったが、自分が活動するには まだ早い時間だと、嘆く声は
の内で巡るのみで、その口から発せられることはなかった。
「どこ…まで…登るの…さっ」
息が上がっているせいで、言葉は正しく繋がってくれない。
情けないながら、は持久力に自信がなかった。
すたすたと前を行く2人に ついて行くのが精一杯だ。
「もうすぐだけど…疲れんの早くねぇか、。」
「うる…さいっ…!」
マースに呆れたように言われて、自分の体力のなさを自覚するは、
涙目になりそうになるのを堪えながら、精一杯にマースを睨み返した。
「ほら、がんばれ。」
疲れて だらりと下がった腕を、ロイが掴んで引っ張ってくれる。
は、意地だけで足を動かし、2人について行った。
しばらく歩いて、目の前を ひらりと舞ったものに は足を止める。
目で追ったそれは、忌まわしい記憶を、呼び起こす それだった。
「っ…!」
見上げた先、目に入ったのは
「ぁ…」
一面の、桜の木々…
「どうだ?絶好の花見スポットだろ?」
言って笑ったマースが、を振り返り、その異変に気付く。
ロイも また、の様子が おかしいことに気付いた。
「?」
「どうし…」
「っ…ごめ…俺…っっ」
ぐらりと くずおれそうになるを、マースが支えた。
戻り来る記憶。涙に霞んだ視界の一面に散った桜花。
それは、そう、の内に根付く、トラウマと言われる、現実だった。
親友だと思っていた。中学3年の春だった。
一面咲き誇った桜が散りゆく中、彼と帰路を共にしていたは、
少し花見をしようと彼に誘われるまま、近くの公園へ入った。
時刻のせいか、まだ冷える時期であったせいなのか、公園に人気はなく、
奥まった、桜の木が乱立しているあたりに行くと、静かで、はらはらと風に散る桜に
は意識を引き寄せられていた。綺麗、だったのだ。
だから、気付かなかった。彼がを抱き寄せるまで。
唇を唇で塞がれ、何かを飲み込まされるまで。
押し倒されて、抵抗した。抵抗したが、飲まされた「何か」が、体の自由を奪った。
さらに、あろうことか、の意志によらぬところで身体が熱を持った。
裸に剥かれ、性器を弄られ、後孔にさえ嬲る指が伸びた。
親友であった男は、きれいだ、きれいだと、うわ言のように繰り返し、
舐めしゃぶったのペニスに、手折った桜の枝を飾った。
尿道を引き裂かれるような痛みに見開いた目。
そこに映ったのは、風に散りゆく桜花であった。
その後、慣れきらぬ後孔を抉じ開けられ、男を咥え込まされて は、
前後…というよりは下半身全体を引き裂かれるような激痛に、意識を手放した。
目を覚ました時、視界には再び桜の花びらが映った。
震える身体を、自分を犯した男が 泣きながら撫で回していた。
後孔に刺さっていた男は引き抜かれていたが、裸のまま横たえられ、
薬が切れて 萎えたペニスには、いまだ桜の枝が刺されたままだった。
起き上がる気力もなく、されるがままになって、服を着せられる間も
涙に濡れた目で桜を見ていた。
桜の枝が刺されたままのペニスを、最後に そのまま下着の中に仕舞われ、
男の背に背負われて家へ帰された。
親に心配されながら、部屋まで男に運ばれた。
帰り際に、ごめん、と一言残して、彼はの前から姿を消した。
痛みに耐えながら、自らの手で引き抜かなければならなかった桜は、
パンツに押さえつけられ、下着に擦れて、花を散らしていた。
1週間して、が学校へ出て行った時には、彼は もういなかった。
転校したのだと聞いた。
その後、しばらくして、彼が転出した先で自殺したと、噂が流れた。
のところには、ごめん、と またその一言だけの手紙が、届けられていた。
口に出してしまえば、それはただの事実で、けれど、きつくきつくを
縛り付けている縄だった。
マースに抱き締められ、ロイに頭を撫でられながら、話しきった。
「俺、その頃 まだセックスなんて経験なくて…」
「初めてが…それだったのか?」
マースの問いに、は こくりと頷く。
「気付いたら…女の子が抱けなかった。」
元々、素質があったのかもしれない、と苦笑しようとして、
の表情は、苦く歪むに留まった。
「痛くて、苦しかったのに…なのに…女の子じゃだめで…」
次にがセックスを経験することになったのは、高校に入ってから。
男に告白されることは何度もあって、けれど、その中の1人だけ、が
心を開けた人がいた。
より2つ年上だった彼は、ひどく優しくの心を解してくれ、当時、
セックスに対して酷いほどの怯えを持っていたに、ゆっくりと快感を教え込んだ。
高校の3年間、彼との付き合いは続き、の卒業を機に、彼の方の事情も絡んで
恋人関係は解消することになりはしたけれど、今でも時々連絡を取り合うほどの仲を
保てているのは、2人の関係が、信頼と呼べるものを持ったからなのだろう。
「で、大学に入って、俺らに、か?」
問われた言葉に、また こくりと頷き返して、は目を伏せる。
言ってしまった。自分の過去に落とされた影を。抱えてきた傷を。
「…」
ロイの声に促され、ゆっくりと目を開ける。
「許せないな…」
「え…?」
「の中に、他の男が残ってるなんて。」
「ロイ…」
くしゃりと髪を掻き回されて、その声の少し硬い響きに反して甘い手指の動きに
彼の優しさを知る。
「そーだな。桜を見るたびに、他の男を思い出されちゃな。」
を抱き締めたまま、マースが顔をしかめる。
「マース…」
「忘れろよ、」
忘れちまえ、と きつく抱き締められた。
ロイも、髪を撫でていた手を、の腰に回し、ゆるりと抱き締めてくる。
「あ…?え…ちょ…っ」
2人の手の動きが、慣れきった それになるのを感じて、は慌てた。
「ヤ…るわけ?ここで…っっ」
ここ、といった瞬間に、視界に桜を捉えてしまい、そんな場所で これから行われようと
している行為を考えてしまい、の膝から力が抜ける。
「いやだ…いやだっ!マース。な…ロイ…っ」
「ごめんな、。やめてやれない。」
「や…っ」
「このままに、させておきたくないんだ。」
マースに抱きかかえられ、背中を彼の胸に預ける形で座らされたは、かたかたと
小刻みに震える身体を、何とか鎮めようとするが、記憶に残るものと同様の、
その残像にさえ捉え得る桜花を見ている現状にあっては、それも上手くいかず、
ただもう諦めたように、けれど2人に対しての確かな信頼を感じているからこその潔さで
2人の手に全てを預けることを決めた。
「いいよ…好きに、しろよ。」
竦む身体と、上がる息に掠れる声を持て余しながら、は
苦しそうにではあるものの、笑顔を見せた。
「そのかわり…できるだけ、忘れさせろよ…?」
「当然だ。」
「俺たちのこと以外、考えられなくしてやるよ。」
「ん…っ」
マースの声を耳に注ぎ込まれながら、は ロイのキスを受け止める。
少しだけ怯えたように身を引きかけるが、抗うことはしなかった。
※ ※ ※
「ん…ふ…っ」
座位のまま、背後からマースを受け入れ、性器にロイの指を感じる。
桜に思考を支配されぬように、何も考えられなくなるほどに身体が蕩けるまでは目を
閉じていろといわれ、は2人によって施される愛撫を感じることのみを強要された。
時折 ふわりと香る桜の匂いに、自分が置かれている状態を知らずにいられなかったが、
それでもは、与えられる快感に その身を溶かしていった。
「あ、あ…んっ」
性器の先端を甘く擦られ、びくびくと腰を跳ね上げると、ふとのそこから、ロイの手が
離れるのを感じた。不安に目を開こうとすると、後ろから マースの手が その目を覆い、
もう片方の手が、性器を握り取った。
「ぁ…ロイ…は…っ?」
「すぐ戻ってくるよ。」
問うた声に、ごく近くでロイが答えた。
すっと温もりが離れる感じがして、ロイが立ち上がったことを知る。
「少しの間、俺の手で我慢しとけ。」
言ったマースが、後孔を突き上げながら性器には緩やかな振動を加えた。
イってしまわないように加減して与えられる それは、ひどく甘やかされているような
それでいて、意地悪く焦らされているような感覚をに もたらしていく。
「ふぁ…っん…ぁ…」
緩やかな愛撫に身を任せていたは、つきりと性器の先端に痛みを感じた。
「っあ…?痛…ぁ」
感触でわかる、それ。桜の枝だ、と。
つぷりと先端を割られる、その感触…。
「あ…あ…っ」
すっと、マースの手が目元から退けられ、は思わず目を開けていた。
真っ先に目に入ったものは、ロイが持つ桜の枝。
ごつごつとした細い枝が、ペニスの先端を割っている。
尿道口が、ぱっくりと口を開けて、それを飲み込もうとしているようにすら見えて、
の心臓が、どくん と大きく鳴った。
あまりに卑猥な、自らのセックスを見つめてしまい、くらくらと眩暈に似た感覚を味わう。
「綺麗だ、…」
「お前は、俺たちの ものだよ」
耳に注がれる声は甘く、くっと顎を上げさせられた先、視界に捉えた桜花は
風に舞い、はらはらと散る。
くちゅり くちゅりと 音を立てて、掻き混ぜられる尿道は、あの時の それと違い、
酷い痛みは伝えてこない。
むず痒いようなそれに、自然 腰が揺れるのを2人の目に捉えられ、
安堵したように笑われてしまえば、は うっとりと目を閉じ、それを深い所にまで
挿入されることを許してしまう。
「ひぁ…ああっっ」
マースに後孔を掻き混ぜられ、桜の咲いたペニスをロイの舌が ぺろりと舐め上げる。
気持ちよさには、ぐにゃりと 脳みそが溶けてしまったのではないかと思い、
それが 幸せなことであるように感じた。
「あぁぁ…んんっっ」
と、桜が咲いたままの性器に、ロイの それが押し当てられた。
ぐり、と擦れる感じに、が 声を上げる。
見れば、どうやらマースの指がロイの後孔に入れられていて、
そこを解しているらしいことが分かった。
ロイの性器を、性器に押し当てられ、後孔にはマースがいて、
は、それだけを感じていた。
「そろそろ…いいか?」
「ん…」
マースの問いに、ロイが吐息で答える。
一体何…?と 思うと同時に、の性器を犯していた桜が引き抜かれ、
ひどく熱い何かが そこを飲み込んだ。
「ぁあっっ?! あ…っっ」
それが、ロイの後孔だと知るには、少しばかり時間が要った。
「どうだ、。童貞喪失の感想は。」
「あ…そん…なっ」
にやりと笑いながらマースが訊いてくる。
そのまま、振り向く体勢で口付けられ、抗う間もなく貪られて息が上がった。
離されて、今度はロイとキスを交わす。
舌を吸い出され、空中で絡むそれに、横からマースが舌を合わせてきた。
卑猥なばかりの口付けと、前後に襲い来る快感に、の我慢は限界だった。
「や…も…イく…っ」
「中に出…すのは、まずいよな、お互い。」
マースが苦く笑う声が聞こえたが、は かぶりを振る。
「いい…中に、出して…いいから…っ」
「別に、中でも、構わないが?」
の言葉に、ロイも挑発的に笑い、マースを見下ろした。
「ったく…知らねーぞ。」
2人に煽られ、マースは がむしゃらに突き上げ始めた。
を犯すそれは、そのままロイへと伝わっていく。
「あ…あっっ…ああ…んっ」
「っく…ふ…ぅっっ」
いつも真ん中になるロイの性器が、外気に揺れるのを、は初めて目にした。
おずおずと手を伸ばし、握りこんだロイのペニスは、とても熱く滾っていた。
は無意識に、先ほどまで自らのそこを犯していた枝を探し、
それを自分のすぐ横に見つけた。拾い上げ、ロイの熱へと近づける。
2人が、の意図に気付いたように動きを止める。
それでも、のしたいようにさせるつもりらしく、少しだけ驚いた顔をしたロイも、
諦めの苦笑を滲ませた。
「っ…」
つぷ、と、ロイの尿道が割られる。そこに、桜が咲いた。
「…キレイだ…」
ぽつりと、が呟いたのは、自らが施された時に囁かれた言葉だった。
「似合うじゃないのよ、ロイ。」
「うるさい…っ」
笑うマースと、少し苦しそうなロイの間で、は頭上を見上げた。
桜花は相変わらず、はらはらと舞っている。
3人で、繋がっている。
2人に繋がれている。
そんな感覚が、を安心させた。
「きれい…だな…」
つ、と 頬を涙が伝った。あたたかい 涙だった。
「来年も、見に来ような?」
「3人で、来よう?」
マースとロイが、問うてくる。
「ん…3人で、なら…来てもいい」
僅かに微笑んだの答えを聞いた2人が、嬉しそうな笑顔と共に
ぎゅっとを抱き締めた。
その瞬間、うっかり繋がった状態であることを失念してしまった彼らの
慌てたような叫び声を、舞い散る桜花が、優しく吸い取っていった。
〜End〜
あとがき
パラレル大学生設定!鋼の世界観では書けなかったので(涙。
(じゃあ庭球にしとけよ、なんてツっ込みはしちゃいやです…。)
いい加減にしろと、お叱りを受けるのではないかとドキドキしながら
飽きずに お花で尿道プレイ。桜もバラ科ですしね(何か関係あるのか)
しかも今回は青姦で。衛生面を突っ込まれそうですが、これってば
仮想現実ですから!ってことで納得して下さい(苦笑。
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