「冬だねぇ…」
ベッドに寝転がって、窓から外を眺めながら呟く。
外は月明かりに照らされた銀世界。
キラキラと 光を映す雪は、まだ 誰の足跡もつけていない。
そこに最初の一歩を踏み入れたいと思ってしまうのは、
穢れなきものを陵辱したいという、心の奥底に持っているだろう本能の表れだろうか。
「、せめてタオルケットを掛けなさい。風邪をひく。」
ころころと転がっていると、ワインとグラスを2つ持って戻ってきたロイが、
呆れたように溜息を吐いた。
「大丈夫だよ。てか、暑いんだ。もう少し こうしてたい。」
そう言う俺は、実は一糸纏わぬって姿だ。つまりは まぁ、素っ裸というやつ。
さっきまで ロイと一戦交えていたから、もう暑くて熱くて。
「あまり私を煽ると、明日は起きられなくなると思うが?」
「やだなぁ、俺 そんなにヤワじゃないよ?」
ゆるりと起き上がって、もう一度身体を重ねる気になってしまったらしい ロイから
ワインの入ったグラスを受け取り、口をつける。
甘やかなアルコールの香りに、ほっと息を吐いた。
「もっと、ひどいくらいに してくれても いいんだけど?」
言って笑えば、それは誘惑以外の何でもなく、バスローブを羽織ったロイの
その部分が膨らみ始めるのが 傍目にも はっきりと分かった。
「人が いつも、どれだけ加減していると思ってるんだ。」
苦々しく呟いてロイは俺からグラスを取り上げると、ベッドへと乗り上げてきた。
余裕を失くしたロイを 余裕の笑みで見つめ返して、ふと目を逸らすと、
さっき外を眺めていた窓とは別の、ベッドの正面にある窓の外が見えた。
「あ、つらら。」
「ん?」
窓の廂に つららが出来ている。
まだ結構細いが、明日の夜には もう少し大きくなっているだろう。
なんてことを考えていたら、肩を掴んできたロイに押し倒されてしまった。
「わっ」
倒れこんだ軽い衝撃に 目を瞑ってしまうと、その隙に両手を纏めて捕らえられた。
「え…?」
びっくりして目を開けると、目の前で両手が1つに括られてしまうところだった。
「ちょ…っロイ?」
「煽ったのは君だよ、。」
少し怒ったように口付けてくるロイの手は、そのまま俺の身体を滑り出した。
「ん…ふっ」
一度の情交で溶けきっている身体は、表皮を撫でられただけで
最奥までをも じわりと くゆらせる。
胸を舐められ、小さな突起を吸われ、性器は巧みな手淫に とろとろと蜜にまみれていく。
「あっ…あ、あっ」
爪で性器の先端を抉じ開けられ、ほじられる。
同時に もう片方の手が、後孔を探り出した。
2本の指を突き入れられて、前立腺を揉み込まれると、零れる蜜が量を増した。
急性に施される愛撫は、ロイの箍が完全に外れてしまったことを俺に思い知らせた。
(これは…もしかして、俺 まずいことしたか…?)
なんて気を逸らしたのは一瞬でバレた。
急所を抉る指が、さらに きつく快感を流し込んでくる。
「あぁぁっ!や…んぁっ、あーっ」
ひどいほどの快感に身悶える俺を見下ろすロイの、バスローブに覆われた局部が
がっちりと硬く滾っていることに気付いてしまえば、この男は、自分の手によって
相手を快楽に突き落としていくのが好きなのだと知れる。
俺は どうやら、厄介な人を挑発してしまったらしい。
何とか快感から意識を逃がそうと思考を巡らせていると、
不意にロイが俺から手を離してしまう。
後の指も引き抜かれ、全てを途中で放置される形になった。
「ロ…イ?」
急に放り出された俺の性器が 愛撫を求めて ひくりと揺れるのを見ながら
ロイは 無言でベッドを離れてしまった。
「え、ちょっと…」
手を縛られたまま、身体中を煽られた状態で放置されて、
俺は 脚を閉じることも忘れて 呆然とロイの動向を目で追ってしまう。
部屋を出て行くのかと思ったけれど、ロイは 真っ直ぐ ベッドの正面の窓に向かった。
「ひっ…!寒いって!ロイっっ!! 」
いきなり窓を開けられて、素っ裸な俺は 当然 冷気の影響を まともに受けてしまう。
慌てて身を縮めると、ぱたりと 窓が閉められた。
「ロイ…一体 何…」
迷うことなくベッドへと戻ってきたロイの手に握られている物を見て、
俺は 言いかけた言葉を 喉に詰まらせてしまった。
「…つらら?」
ロイの手には、2本の つららが握られていた。
…まさか…。
「ちょっと…ロイ…?」
やはり無言のままのロイは、その つららを ワインのグラスに入れて、ワインに浸け始めた。
そうして、1本グラスから抜き取ると、それを 俺の脚を開かせて 後孔に押し当ててくる。
…やっぱり…。
「冷たいんだけど…」
「すぐ慣れる。」
「慣れるかよ!」
「すぐ溶ける。」
「…」
確かに、この細い氷は 俺の体温で すぐに溶けてくれるだろうが…
「何か 微妙…」
氷に付いた僅かなアルコールが、溶け出した水と一緒に 奥を濡らしていく。
その感覚に俺が顔を顰めているうちに、ロイは もう1本で、今度は性器を なぞり始めた。
「あ…っ」
ひやりと濡れたものに撫でられて、ぞわりと肌が粟立った。と、思ったら
さらに信じられないことに、まだ十分に形を残している それを、先端に押し当てられた。
「なっ…ちょっ ロイ!?」
そのまま ぐっと力を込められれば、抗う術もなく 氷の棒が その穴を割る。
「ひぁぁぁっっ、あーっあーっ」
喉の奥から、掠れた悲鳴が上がる。
冷たい?アツイ?
アルコールの感覚。溶ける水。
押し込まれた硬い それに、そんなところを拓かれる。
痛い?苦しい?
もう よくわからない。
腰の奥が重い。アソコが、焼け切れそう…。
「あぁんっ んーっ や…だ、ロイっ」
「気持ち良さそうだね、。」
助けを求めるように 縛られたままの腕を もがかせれば、ロイが 殊更 優しく囁いてくる。
「こんなところに、こんなことをされて…」
「やっ…」
くいくいと 軽く 前の氷を抜き差しされ、軽い痛みと ソコを擦られる感覚に腰が跳ねる。
「大事な ところを、こんなにされて…」
「ひぅっ」
やさしく やさしく 囁くロイは、可愛くて堪らないとでも言うように、
串刺しにされたままの 俺の性器を撫でる。
「この小さな穴で、君は感じてる。」
「やぁぁっ!」
ロイの言葉が 鼓膜から浸透し、快楽を煽って俺を苛む。
溶けていく氷が、どんどん奥に溜まる。
後孔の氷は既に腹の中で水溜りを作っていて、身じろぐ度に こぷこぷと音を立てる。
前も こうなるのか と考えて、ぞくりと背筋を走ったものに、俺は 愕然とした。
俺…ホントに、こんなことされて…感じてる…。
「可愛いよ、。」
酷いことをしているくせに、ロイの声は どこまでも優しい。
どんどん氷が溶けて 穴が元に戻ろうとする 俺の性器を見つめて微笑む。
「綺麗だ…」
「あ…あっ…」
ゆっくりと、それを ロイの口腔に含まれた。
「や…熱い…っ」
残った氷を舌で押し込むようにされて 溶かされる。
そのまま 尖らせた舌で内部を舐められた。
「くぅ…んっっ」
いっそ この思考も、氷のように溶けてしまえばいいのに…。
羞恥心など、溶けてなくなってしまえば、ただ 快感だけを 追っていられるのに。
「ふ…ぁっ」
きゅっと きつく吸われて、中に溜まっていた水を吸い出される。
その 何とも言えない感覚に、俺の目からは ぼろぼろと 涙が零れた。
「あ…あーっ」
そのまま 吐精まで促されて、ぐったりと弛緩した 俺の髪を ひとつ撫でると、
ロイは また 窓へと向かった。
「ロ…イ…?」
今度は もう 窓を開けられも、寒さなど感じている余裕は なかった。
窓を閉めて戻ってきたロイの手には、新しい つらら。
「おいで。」
手を差し伸べられて、俺は 縛られたままの両手で その手を取る。
「わっ…冷たっ」
外気に触れてきた その手は、冷たくなっていて、俺の手指をも冷やしていく。
「いい子だ。」
引っ張り起こされ、ベッドの上に座った俺の手を解いて、ロイは
またしてもワインに浸した つららを 握らせた。
「え…」
「今度は、自分で入れてごらん。」
ここに、と触れられたのは、ひくつき 挿入を待ち望んでいる後孔、ではなく、
精を吐き出して、ふにゃりと蹲っている性器の先端だった。
「やっ…」
「できるだろう?」
「そんな!」
「ほら、氷が 溶けてしまう。」
言ってロイは俺の性器を握り取ると、くにくにと扱いて、そこに 硬さを与えた。
「上手に出来たら、後ろも満足させてあげるよ。」
確かに、俺の後孔は ロイが欲しくて 疼いているけれど。
だからって…自分で、あんなところに…。
「それとも、氷なんかじゃなく、溶けないものがいい?」
ここを きっちり 塞いでしまいたい?と問うロイは、あくまで優しく俺の自身を あやす。
「い…やだ…」
「じゃあ、できるね?。」
「っ…」
「さっき、気持ちよかっただろう?」
「あ…」
思い出した瞬間、ぞくりと 走ったのは、快感への期待。
…何だよ これっ…!
自分では抑制の効かない その欲望に、俺は 自らの性器に手を伸ばした。
「あ、あ、あ…っ あぁ…っ」
少しずつ、少しずつ、その狭い器官を割り拓いていく。
自分の手で 性器を支え、冷たい塊を押し込む。
力の加減を間違えると痛かった。
棒の先端は、体温で どんどん 溶けていく。
「いい子だ、。綺麗だよ、とてもね。」
半分まで押し込んだ頃、ロイが 満足そうに俺の髪を撫で、口付けてきた。
そして、俺の性器に手を添えると、残りの棒を すべて中へと埋め込んだ。
「んぐっ…んーっんっっ」
痛みに喘ぐと、唇を離される。
けれど、酷いと詰る間もなく押し倒され、ベッドに沈んだ。
あっと言う間に、俺の後孔には、ロイの剛直が咥え込まされてしまっていた。
「ぅあ…あっ…ん…」
焦らされていた後孔は、待ち侘びた それに食いつき、離すまいと蠢動する。
性器からは、まるで粗相をしているような勢いで、解けた氷が 溢れてきていた。
「。愛してるよ、。」
「やっ…んっんーっ、ぁあぅっ」
鼓膜を揺さ振る甘い声と、後孔から せり上がる律動が、俺の脳を蕩かしていく。
突き上げられ、揺さぶられて、氷で冷えた管の中を 熱い本流が駆け抜ける。
放埓は、ひどく長く感じられた。
ほぼ同時に、腹の中を 熱い体液が犯す。
奥の奥へ叩きつけられる感触に、甘やかな快感を得る。
情交に慣れた身体は、快を的確に拾うのだった。
「ふ…ぅ。」
激しい交合から解放されて、ロイを見上げれば、見下ろしてくるロイは 少し意地悪く笑った。
「私を煽るからだ。」
そのまま ロイは また腰を使い始める。
「え…やっ…!」
内部の塊は、また熱を取り戻して硬くなっている。
「うっそ…」
「今夜は、離してあげられないな。」
覚悟しなさいね と笑われて、けれど それだけで
覚悟が決まる奴がいたら 是非会ってみたい。
「抵抗は、しない方がいい。」
「え…」
「あまり抗われると、可愛すぎて ヤり殺してしまいたくなるからね。」
「………」
俺は、本当に とんでもない人を煽ってしまったらしい。
恋人の新たな一面発見を、喜ぶべきなのか 悲しむべきなのか…。
取り敢えず、つららは もう しばらく 見たくなかった。
〜End〜
あとがき
鬼畜ロイ。Sっ気有りで。ソフトSMちっくに。
相手の苦悶の表情に快を覚えるSではなく、
恥辱にまみれた相手の表情が可愛くて苛めるS。
そんなのが書きたかったんですが…見事玉砕。
でもまぁ、やりたいことやったんで
個人的には満足です(笑。
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