32.挑発





「なー、銀ちゃーん。えっちしよーよぅ」

「うるさい黙れ寄るな暑苦しい」

「ひどっ」


仮にも恋人に向かってそれはないんでないのとぶーたれるのを無視して銀時は

ぺったんこの布団の上にごろりと転がり、に背を向けた。


「いくら暑くていらいらしてるからって、俺に当たらないでほしいよね」

「うるせえっつってんだろ黙れ。じゃなきゃ帰れ」

「ひどっ」

「朝こっ早くから来て真っ昼間っからセックスしろっつーほうがひでえですよコノヤロー」

「あ、なるほど。暑くてだるくて俺を満足させる自信がないわけだ」

「ああ? 寝言は寝て言え」

「だから寝ようって言ってるじゃないの」

「その寝るじゃねぇよ。眠れ深く。今すぐに」

「深く眠ったら寝言は言えないよ銀ちゃん……ぶっ」


なんとなくキャッチボールになりそこなった会話の終止符は、の顔面を直撃した

枕で強制的に打たれ……るはずもなく。


「うっわ、さいてー。さいてーですよこの人。まくら投げたよ」

「うるさい黙れ。枕返せ」

「あ、このまくら銀ちゃんのにおいがする」

「聞けよ人の話」

「じゃあ聞き入れてよ俺の話」

「じゃあ、の内容が等価じゃねぇにもほどがあるだろうよ」


ためいき吐きつつ銀時が切って返すが、対するの返事がない。


「……?」


なんだよ、散々うるさくしといていきなり黙るってあれか?

あれ、なんで黙るんだよ何か気になっちまうじゃねーかよコノヤローとか思わせる

作戦ですかコノヤロー。振り向いてなんかやんねーぞ。

とかなんとかぐるぐるしていた銀時だったが、いつまで経っても背後が静かなため、

泣かれてでもいたらまずいなー、などと思いつつちらりと振り向いてみた。


「……?」


そこには。


「って、寝てんのかいっ」


とベタなツッコミをしてしまうくら気持ちよく、すっかーと寝ているがいた。

銀時は、何がしたいんだこいつは、と頭を掻きながら起き上り、寝ているを見る。

枕を抱きしめて眠るの、足元に視線が止まり銀時は、うぐ、とうめいた。


ナマ足である。

何を思ったか、ゆかたなんて着ていて、それをまったく気にせず横になっている

ものだから、すなわち全開である。

ふとももが、下着ギリギリまで、見えている。


「っ……」


ごくりと、銀時の喉が鳴る。

いくら暑くてやる気なんか出なくてぶつぶつ言っていたとしても、仮にも恋人の

あられもない姿(ただ少しゆかたがめくれているだけだが)を目にしてしまえば

何というか、クるものがある。

というより、暑さが余計に熱をあおっている。

ぐるぐると考え、それがぐだぐだになって、いつの間にか朦朧として。

銀時は、眠るの素足へと手をのばした。

つ、と手がふとももに触れる。


「俺の勝ち?」


唐突に聞こえた声に、はっと我に返れば、ぱかりと目を開けたがにやりと笑った。


「てっ……こっ……! てめ、たぬきかコノヤローっ!!」

「え、銀ちゃんタヌキによくじょーすんの?」


言いながらは、つつつと脚を動かし、まだ近くをさまよっていた銀時の手を

ぱふりと腿で挟み込む。

そのままふとももをすりすりと動かされ、銀時は疲れたようにためいきを吐いた。


「たぬきがお前ならな」

「ん?」

「負けたよ。しゃあねぇからやってやる」

「やった。銀ちゃん大好き!」


ぱっと脚を開き、銀時の手を解放して、は銀時に抱きつく。

さすがの銀時も、もう、暑いくっつくなとは言わない。


「あーもう、このエロテロリストが」

「あれ? M字開脚希望?」

「言ってねぇよ」

「でもさせるくせに」

「ヤってりゃそうなるだろそりゃ。あーあ、このくそあちぃのによー」

「汗かいたら涼しくなるって」


ね。と笑うはあくまだ。きっとあくまに違いない。

うかうかしてたらタマシイまで根こそぎもってかれちまう。

まあもうすでに手遅れかもしれないなと、諦めながら銀時は、散々見せつけられた

つるりと白いふとももを堪能すべく、恋人へと手をのばしたのだった。











〜End〜





こういうのは、微エロじゃなくて下ネタっつーんですよ……。
ってもう何度言ってるかこの台詞。
わかっててどうしてこうなっちゃうかなぁ。
お題の「挑発」要素は一応入れた、つもり。つもりだけ。
あれ? なんかぐだぐだじゃね?

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