だいすき だから。





ばいきん城を、週に2・3度 訪れる少年が一人。

今日も 勝手知ったる廊下を歩いていく。


「あ、ドキンちゃん。おでかけ?」

「あら。ちゃん、いらっしゃい。ちょっと、しょくぱんまん様の ところまで愛を届けにね!」

「しょくぱんまん なら、ここに来る途中でカレーパンマンと話してるのを見たよ。」

「何ですってぇ!? んもーっ あんな子どもの どこがいいのよぉっ!」


こうしちゃいられない!と走り出すドキンちゃん。


「あ、ばいきんまん なら、まーた何か作るんだーって 今朝からラボに こもってるわよ!」

「ありがとう ドキンちゃん。行ってらっしゃーい。気をつけてねー。」

ちゃんも、ゆっくりしてってねー。じゃ、行ってきまーす。」


ばたばた と 出かけていくドキンちゃんを見送って、

は ばいきんまん のいる ラボへと向かった。








  ※   ※   ※








ラボに入ると、ばいきんまん が 何やら溶接している最中で、

気付かれないのをいいことに、は 忍び足で ばいきんまん の背後に近寄っていく。

ひょこっ と、ばいきんまん の後ろから その手元を覗き込む


「何作ってんの?」

「どわぁっ!! 」


突然 背後、しかも至近距離から声をかけられて、ばいきんまん は飛び上がった。


「なっ ななななななっっ!! 」

「なっとう?」

「違うっ!」


びっくりしすぎて 慌てる ばいきんまん。


「もー、落ち着きなよ。」

「誰のせいだ、誰の。」

「おれ?」

「そう!の……って ?! 」

「え。今更 認識したの?……遅…」


これだけ会話していたのに、今頃 自分だと わかったのか、

と、ちょっとご立腹なである。

半目で じーっと見られ、冷や汗だらだらの ばいきんまん。


「わ…悪かったよ。で、何の用だ?」

「何の用って…ばいきんまん に会いたかっただけだけど?」

「あ、そう。………って えええええっ!? 」


何でもない風に言われたので、流しかけたばいきんまん だが、

言葉が脳を一巡して、理解した意味に慌てる。


「ばいきんまん うるさいー。何ー?遊びに来ちゃだめなのー?おれ 来ると迷惑ー?」


ぷー、と ふくれる


「迷惑だなんて…言ってない。たたた、ただ、溶接の時の光は 見ちゃいけないものだから…」


ばいきんまん は に背を向け、先ほど溶接していたものを ハンマーで叩き始めた。

がん ごん と、溶接箇所の調整をする ばいきんまん の顔は 心なしか赤い。

その言葉と 態度に は、くすり と笑って、その後姿を じっと見つめた。


「はーい。」


ばいきんまん が 何か作っている時、は いつも ばいきんまん の後ろに座り込んで

ばたばた と 作業をする ばいきんまん を見ている。

そして ばいきんまん は、が来る日には 大抵こうして何かを作っているのである。


そろそろ ばいきんまん の作業も終わろうか という頃、

少し遠くで ドアの開く音。


「あ、ドキンちゃん 帰ってきたかな。」


は すくっ、と立ち上がり、マシンの微調整をしている ばいきんまん に近寄ると、

後ろから、その左頬に ちゅっと 口付けた。


「うわっ!コラ!っっ」

「あははははっ。ドキンちゃんの お出迎えしてきまーす!」


笑いながら出て行くを見送って、ばいきんまん は作業を再開する。

カチャカチャと ボルトを締めるが、その左手は頬に添えられたまま。


(襲いたくなるには まだ早い)


そう自分に言い聞かせ、左頬を擦る。

次にと二人になった時に、襲ってしまわないよう 理性を保つために。













〜End〜




あとがき

やっちまいました。擬人化ばいきんまん夢…。
た…楽しい…これ、楽しい…(萌。
妄想炸裂!制御装置は機能停止中。
しかし平仮名多くて書きにくい読みにくい…。


ブラウザ閉じて お戻り下さい。






おまけ。

「あら、まーた進展なかったの?」

「うん」

「ったく、ばいきんまん にも 困ったもんね。」

「いーんだ、幸せだから。」

「いっそちゃんから 仕掛けちゃえばいいのに。」

「そんなことしたら ばいきんまん 卒倒しちゃうよ」

「それもそうね…」


同時刻、ばいきんまん のラボには くしゃみが二発、響いていた。