63.フェティシズム





情事の後、気だるい身体を うつ伏せ、火照りを冷ましているの腰の辺りまでを

白いシーツで覆い、カレーパンマンが その髪にキスを落とす。


「ん…」


そうしながら、カレーパンマンの手は の背中の真ん中、

背骨に沿って走る溝を ゆるゆると辿る。


「んー…」


は、くすぐったさに耐えながらカレーパンマンのしたいようにさせているが、

ぴくりと腰が震え、新たな火種を灯してしまいそうになると、むずかるように軽く首を振った。


「あ…」


それでもカレーパンマンの手は、その背中から離れることはなく、窪みを撫で続ける。

この愛おしげな所作には強く抗えず、兆し始めてしまった自身をシーツに擦りつけ

熱を逃がそうとしながら、潤んできてしまった目元を枕に押し付けた。


「もう…しつこいっっ」


涙声で訴えて、ようやっとカレーパンマンの手が止まる。


「あ、ああ、ごめんっ!つい夢中に…」

「何で そんなに それ好きかな。」


呆れたように言うは、毎度セックスの度に、この背中に対するカレーパンマンの愛撫に

苦しめられている。事後もそうなのだが、最中に後ろからされた場合などは、

穿たれ 掻き混ぜられながら、背すじを辿られるために、ひどく性感を煽られてしまうのだった。


「だって…好きなんだよ、この線がさ。」

「背骨フェチ…」

「えっ違っ!背骨じゃなくて、この窪み。」

「そう違わない…」

「違うって。」


力説するカレーパンマンに、は少し気圧される。


「背骨だったら、ホラーマンの方がくっきりしてるだろ。」


あいつ細いんだから、と言うカレーパンマンの意見は、には よくわからない。


の この背中だから、この窪みがいいんだ。」

「カレーパンマン…」

…」


わかってくれた?と の顔を覗き込んだカレーパンマンに、


「ごめん、わかんない。」


は ちょっとばかり つれなかった。


「フェティシズムは時に理解し難いものである…」

「何 哲学してんのさ。」

「だって、が つれないし。」


とか何とか いじけたように言いながら、再びカレーパンマンの手がの背すじに伸びる。


「ちょっ…またっ!」

が わかってくれなくても、俺はこれが好き。」

「…好きなの…そこだけ?」

「え?」

「好きなのは、俺の背中だけ?」


寂しそうに表情を作ったが、ちらりとカレーパンマンを見上げる。


「違う!俺は が好きだよ。」


を好きになったら、偶然の背中がキレーだっただけ、と慌てて弁解する

カレーパンマンに、は ぷっと 噴き出した。


「ありがと、カレーパンマン。俺も好きだよ。」


くつくつと笑いながら告げるに、カレーパンマンは自分が からかわれたことを知る。


「お、俺、本気で焦ったのに…っ」

「あー、うん。可愛いよね、カレーパンマンて。」

「は?! どこが…っ」


素っ頓狂な声を上げるカレーパンマンに、は さらに肩を震わせる。


「そゆとこ。ほーんと可愛い。」

「…に言われたくない。」

「そう?」


笑われたカレーパンマンは、拗ねきったような声を出し、ベッドに沈んだ。


の方が、可愛くて キレーで おいしそうだもん。」

「何その おいしそうっての…」

「つか、おいしいもん。」


ベッドに沈んだまま じーっとを見上げて主張するカレーパンマンに、

その言葉の意味を悟って、は ぼん、と赤くなる。


「ちょっと何でそんな恥ずかしいこと…」


言うかな、と真っ赤な顔を枕に隠したの腰をカレーパンマンの腕が抱き寄せる。


「思い出したら、おなか空いてきた。」

「へ?」

「食べさせて、。」

「っ…ばか…」


そのまま背後から覆い被さってくるカレーパンマンに、は抗わなかった。

さっきから煽られていたから、と自分に言い訳して、身を委ねてしまう。


「あ…っ」

、大好きだよ。」


先ほどの名残に濡れて解れているの後孔を探りながら囁くカレーパンマンに、


「背中、あんまり 触んないでね。」


は さっくりと釘を刺す。


「はぅっ!そんな 殺生な…」

「じゃあ、ここでストップってことで。」

「えぇっっ!?」


そんな!と声を上げたカレーパンマンに、が また笑い出す。


「っ…冗談だよ…くくっ」

…」


カレーパンマンは、また からかわれたことを知って、諦めたような切ないような吐息を零した。


「ん、何?ホントにやめる?」


後孔に指を含まされたまま、動きを止められてしまって、は自分が焦れてくるのを感じた。


「やめるなら、早く抜いて。」


冷たいように言うのは、焦れている自分を知られたくないからで、けれど それが

カレーパンマンを煽ることなど、に自覚はなかった。


「やめない。」


今までと 打って変わって低く言ったカレーパンマンの その声が、欲情に濡れる。

その声を直接耳に注ぎ込まれ、同時に最奥を長い指で抉られてしまえば、

は、自身が反応するのを止めることが出来ず、びくりと身を捩った。


「感じて、。もっと、何も考えられなくなるくらい。」

「あ…あっや…んっっ」


後ろからカレーパンマンを受け入れ、自身にも快感を与えられて、その言葉通りに

思考を奪われていく。絶頂が近づく感覚に最奥が反応すると、カレーパンマンが

つぅ、と の背すじを なぞった。


「ひ…ぅ…ぁぁっ」


が達すると同時に、カレーパンマンもの中に熱を吐き出す。

疲れたようにベッドに懐きながら、が小さく「バカ」と呟くのに、カレーパンマンは

うれしそうに笑った。

やっぱり、この背中好きは理解できない、と思いながら、は そのまま

疲れに任せて眠りに落ちた。














〜End〜





あとがき

フェチって難しいですね…どう書いていいんだかわからない。
俺は手の甲とか足首とか、あとちょっと長めの襟足から覗く
うなじのラインとか好きですね。あと腰骨。足の付け根の窪み。
後半はフェチって言うか、もうアレですよね…(どれよ・笑)

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