てろり。




少し遠くに小鳥のさえずりが聞こえる。

朝。遮光ではないカーテンが日光を通し、薄明るい中、シーツの肌蹴た

白い肩が浮き上がる。

ベッドの中。裸の2人。気だるい情欲の余韻をまとって眠ると、

ベッドヘッドに寄りかかり、その寝顔を見つめる、アンパンマン。


昨夜のそれは、2人の初夜だった。

初めてのの隘路を開き、自らを埋め込んで。

苦しさを、きつく目を瞑って耐える身体を、けれど加減して抱けば、

手加減をするなと怒られた。

何度も欲情をぶつけるうち、は、身の内で快感を得ることを覚え、

幾度か遂情した。


「あらら」


思い返せば、むくりと、昨夜あれだけしたというのに、節操のない分身が

頭をもたげる。

アンパンマンは苦笑しながら、さてどうしようかと自身の性器を見遣った。

このままの顔を見ながら一度抜いてしまおうかと手を伸ばしたその時。


「ん……んー」


カーテンから透ける光を嫌がってか、少しむずかるような動きを見せた

が、ふっと、目を開けた。


「あ……」


ぼんやりと、寝起きの目でアンパンマンを見上げ、じっと見つめるは、

けれどアンパンマンが、自分の寝顔を見つめていたことに気付くと、

ぼわっと赤くなり、そそくさとシーツを引き上げた。


「おはよう、

「お、おはよ」


普段の彼は絶対に見せてくれないであろう可愛い反応に、

アンパンマンの顔は一気にやに下がる。


「なに、笑ってんのさ……」


顔を赤くしたまま、が、ぼつりと文句を言うのが可愛らしすぎて、

アンパンマンの下半身は少々大変なことになってしまった。


「何でもないよ。それより……」


シーツにうずめられているの手を取り、自らの下腹部に導けば、

赤かったの顔が、更に熱を増した。


「ちょっ……なにこれ、こん……こんなのっ」


これはちょっと有り得ないだろうと、触れたそれの質量の大きさに、

昨夜あれだけしたのは何だったんだと、今度は青褪める。


「うん、ちょっと節操ないよね」

「……自分で言うなよ……」


呆れたような溜息とともに、視線をアンパンマンのそこへ向ける。

本当にもう、どうしようもないほど勃ちあがっているそれは、

朝の生理現象などという言葉では片付かないだろう。


「だから、ね、……」


もう1回、と、甘えるように擦り寄るアンパンマンの顔を、は空いた手で

べちりと叩いた。


「ぶっ」

「だめ」

「ひどいなぁ……」


いくらなんでも、顔面を叩かなくてもいいではないかと、恨みがましい目を

向けるアンパンマンに、はだけど小さく俯いたまま、頬を赤らめて。


「入れるのは、だめ」


言うなり、つつつと、身体をシーツの中に潜り込ませてしまう。


「え、あれ?舐めて、くれるの?」


ぺとりと、そこに触れた濡れた感触に、の舌が自身の熱を、

そのとろりとした舌で舐めていることを知れば、アンパンマンの身体は

一気に熱を上げた。


「ん、くっ……」


ぺとりぺとりと舐められていたそれが、くぷりと音を立てて暖かいものに包まれる。

その瞬間、アンパンマンは理性を手放した。

見られたくないのだろうと、被せたままであったシーツを、ばさりと剥ぎ取り、

自らの股間に顔をうずめるの身体を曝してしまう。


「んっ!んぅっ」


抗議しようと顔を上げたの頭をぐっと押さえるアンパンマンの目には

凶暴なほどの欲情が宿っていて、ばちりと合わせてしまった視線に

は、びくりと震えた。


「もっと、深く、咥えて? ……」


抗えない。

目にした欲情は伝播し、の自身も熱を凝らせ始める。


「あれ? 勃っちゃったんだ?」


凶悪なほど艶やかに笑ってアンパンマンは、の口には自身を含ませたまま

ふるりと震えて反り返る自身に手を伸ばした。


「んくっっ……んーっ」

「舐めて欲しい? ね、……これ、舐めていい?」

「んっ、ん」


こくこくと頷いたの口から、いったん自身を引き抜き、自分の顔を

跨がせるように体勢を入れ替えさせる。

目の前の滑らかな尻のふくらみの狭間を探りたい衝動だけは何とか堪えて、

熱を持って震えるの欲望を口に含む。


「ひぁ、んっ」

「ほら、も、して」

「ん……」


ただ互いを舐め啜るだけの、けれどひどく濃密な時間は、粘ついた音と

苦しげな息遣いに彩られ、を興奮の頂点へと連れて行く。

喉の奥まで咥え、えずいてしまいそうになりながら、それでも口は離さない。


食べて、食べられて。

互いの大事なところが互いの口内にあるというそれだけで煽られて、

意識に霞がかかる。


「んっんぅ!んっっ」


もうイく、と、口に出せない代わりに呻いて、はアンパンマンのそれを

強く吸った。イってもいいよと、合図代わりに、アンパンマンも、きつく

自身を吸い上げ、先端を舐めて吐精を促す。

同時につるりと尻を撫でられ、はもう堪えることができない。


「ふ、ん……んんぅーっっ」


精を吐き出した瞬間、同時に喉奥に粘液が放たれ、苦しさに

顔を離してしまった。


「あっ……」


まだ出きっていなかったアンパンマンの体液が、の頬を濡らす。


「ぅくっ……けほっ」


一方、噎せるの背をゆっくりと撫でてやるアンパンマンは、の放った

ものを全て飲み干し、残滓まで全て吸い出すべく、まだちゅうちゅうと

自身に吸い付いていた。


「や、あ……っ、も、離……っっ」


細く掠れたの哀願に、最後の一滴を吸い出した穴をぐっと抉るように

舐めて、アンパンマンは、ようやくそこから顔を離した。


「顔、汚れたね。可愛い」

「……ばか」


べとべとに濡れたの頬を、手繰り寄せたシーツで拭ってやり、

それだけのことで照れたように俯くの可愛らしさに、アンパンマンは

そのままそっと顔を上げさせ、唇を合わせようとした。が。


「だっ」


べちり、と。

再びの掌が、その顔面を叩いた。


「っ……また……っっ」


痛みに涙目になりながら、恨めしげに見遣れば、は口元を押さえて

何やらもごもごとやっている。


「どうしたの? キス、するのはイヤ?」

「ちが……ん、毛が……」

「毛?」

「毛が、歯に挟まった」


真っ赤な顔で告げられて、アンパンマンは、ああそれでか、と、まだ

もごもごしているを見つめて笑った。


「そんなの気にしなくていいのに」


笑って言いながら、もう一度気を取り直して、の顎に指をかける。

口付けようと、ゆっくりと唇を近づけた。


「やだばか」


ばちん、と、今度はさっきよりも強い音がして、アンパンマンの顔にはまた

の掌が、ど真ん中に張り付いている。


「……っ」


鼻の奥から眉間に響くような痛みに、アンパンマンは悶絶した。


「キスは、歯を磨いてからね」


ベッドにへばったアンパンマンを押しのけて、は立ち上がる。

初夜のあとは、立てなくなるらしいと聞いていたのに、少々の違和感と

疲労はあるものの、立ち上がるのに酷く辛い思いをすることはなかった。

優しく抱いてもらったからなと、は、少々上機嫌にバスルームへと

向かっていった。


「まったく……正気に戻ったら、絶対させてくれないくせに」


ベッドに懐いたまま、の出て行ったドアを見やってぼやくアンパンマンは

少しだけ苦く笑っていた。

滲ませた苦笑は、しかしすぐに、甘い笑みに溶ける。


頑なだったを、口説いて口説いて、ついに心ごと身体をもらえた。

すべて暴いて、しがみつかせて。

甘い時間の余韻は、ひどく甘ったるい。



身支度を整え、バスルームから戻ってきたが、怪訝な顔で覗き込むまで

アンパンマンは1人、ほくほくと幸せを噛み締めていたのだった。











〜End〜





あとがき

第一弾は餡子さん。
テーマは69。そこだけに特化して書いてみました。
どうして自分は餡子さんを書くとテンションが上がるのか。
擬人化餡はどうにもギャグに走る傾向があるなー(笑。

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