きみだけ。





「待ちなさい っ!! 」


静かな 昼下がりの広場。

買い物カゴを下げて、のんびりと歩いていたを 呼び止めたのは、


「…また来たのかよ。」


仁王立ちの ドキンちゃん。

はーっ と、あからさまに溜め息を吐いて、は ドキンちゃんに向き合った。


「いいかげん 飽きない?」

「あんたが しょくぱんまん様から 手を引いたら、もう来ないわよ。」

「だから しつこいって。」

「何ですってぇ!? 」

「何だよ!」


二人の距離は、じりじりと 縮まっていく。

言い争いながら、徐々に近づいていき、

ともすれば、キスしてしまいそうなほど 近くなる。


「大体!何で あんたみたいなのが しょくぱんまん様の…」

「僕が どうしたんだい?」

「しょくぱんまん!」

「しょくぱんまん様!」


目を向ければ、配達の車から降りて、

たちの方へ 近付いて来る しょくぱんまん。


「やぁ ドキンちゃん。僕、ちょっとと 話があるんだけど…いいかな?」


にっこりと笑った しょくぱんまんに、手を握られたドキンちゃんは、


「あ、あたし もう帰らなきゃいけないので…さよなら〜っ」


赤くした顔を 隠すように UFOに乗り込み、

すごい勢いで 帰っていった。


「うわ。追い払ったよ この人…」

「何?は ドキンちゃんと 居たかったんだ?」

「違うけどっ!」

「違うんだ?」


しょくぱんまん は、意地悪く笑う。


「何だよ。」

「だって、さっき 近かったから。」

「は?」

「キス、しちゃいそうな 距離だった。」

「何言って…」

「するつもりだった?」

「そんなこと あるわけないだろ!」

「へぇ」


信じていないと 言いたげな返し方をされ、の中で 何かがキレた。


「何だよ それ!俺が ドキンちゃんと キスしたかったって!? 」


喚き散らすを、しょくぱんまん は、冷静に見ている。


「俺が キスしたいと思うのは、しょくぱんまん だけだって、どーしてわかってくれないのさ!! 」


が、そう言い切った瞬間、しょくぱんまん は を抱き締めた。


「じゃあ、合意だね。」

「へ?」

「今日は、泊まりにおいで。」


まんまと のせられたのだと、が 気付いた時には、

しょくぱんまん は、を 配達の車の助手席に、ちゃっかり乗っけてしまっていた。












〜End〜




あとがき

しょくぱんまん。ちょっと短かったかな、と思いつつ。
やっぱり黒い、しょくぱん。(笑。
こげぱん?(違。


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