口元で くちゅりと 跳ねた熱に、
それと共に香るアルコールの匂いに、
今夜は 心地良く、酔ってしまえそうな気がした…。
月の明るく架かる夜に
「ん…ふぅ…っぁ…ゾロ…」
胡坐を崩した俺の膝に跨る形で 膝立ちになったサンジは、
俺の耳の辺りに手を添えて上向かせながら、
アルコールで潤う その舌を俺のそれに絡め、深く口付けてくる。
見張り台の上、狭いはずのそこは 空に開けているために、
特殊な開放感がある。
夜食と共に酒を持ってきたサンジが、
「口移しで飲ませろよ」と言ったくらいで
素直に従ってくれてしまう程には…。
「珍しく 積極的だな。」
見下ろされる形で 唇は触れ合わせたまま。
口を開けば そこにあるのは 官能のみ。
「んあ?…ああ…」
白い肌の、そこだけ綺麗な赤に染まった目元。
見下ろしてくる 潤んだその瞳。
その視点は、上手く定まっていない。
「このまま最後まで…いいのか?」
やめろと言われて止まるかは不明だが、一応聞いてみる。
船の上では嫌だと いつも言われているから、
色好い返事は 期待しちゃいねぇけどな。
「今夜は…特別だ。」
「あ?」
「ここで、最後まで…いいぜ。」
耳の辺りに添えていた手を、頭の後ろに滑らせて、
サンジは俺の頭を抱え込むようにして 再び唇を寄せてきた。
軽く伏せられた目。
薄っすらと開いた瞼から覗く 潤んだ青い瞳。
カっと、頭に血が上る。
鼻血を噴きそうになるのを 危うく理性で堪えて受け止めた唇は、
未だ ほろ苦いアルコールの香りを残してなお 甘い。
「雨でも降んのか…?」
「は?」
ぼそりと呟いた言葉を聞き咎め、サンジが呆れたように顔を離す。
「船の上で こんなことして。雨くらい降ってもおかしくねぇよな。」
「相変わらず ムードも何も あったもんじゃねぇな お前。」
どうやら 少しばかり機嫌を損ねてしまったらしい。
サンジは ちらりと腕時計に目をやると、膝の上から退いた。
そのまま どっかりと 俺の横に座り込む。
「やめんのか?」
「お前が やめさせたんだろが…」
ついと 横を向いて煙草に火を点けるサンジの顔からは、
不機嫌そうながらも、まだ色香は抜けきっていない。
「お前が やらねぇなら、俺がやるが…」
「やらせねぇよ。」
「何だよ、さっきは…」
言いかけたら、ぺちりと 額を叩かれた。
「わかってねぇ奴にゃ、やらせねぇよ。」
「わかってねぇ…って、何をだ?」
「はー…やっぱ忘れてやがるし…」
「だから 何を…」
「今日は何日だ ばかたれ。」
「ああ?ばかっつったか?」
「俺が言いたいのは そこじゃねぇ。」
何だってんだ。今日は何日って…何日…
「10日?」
「何月?」
「…11月。」
「あと3分だ。」
「あ?何が?」
「今日の残り時間。」
「だから それが何…」
「おっ…前…っっ ここまで言ったらわかれよ!」
「何をだよ!」
何なんだこいつ!今日 おかしいぞ…。
サンジは 諦めたように深く溜め息を吐くと、
言いたくなさそうに 口を開いた。
「…明日は、誕生日だろうが。」
「は?……あ。」
そう言われれば そんなものもあった。
「すっかり忘れてた。」
「ったく…折角 俺が 一番に祝ってやろうって…」
短くなってきた煙草を揉み消しながら、
ぶつぶつと 呟くサンジは 首の辺りまで ほんのり赤い。
…こういうところが 可愛いんだよ こいつは。
「ああ、そりゃ悪かった。」
「ほんとにな。」
謝ったのに ずばっと切り返されて、ムカっときたんだが…
「俺ばっか 浮かれてたみてぇじゃねーか。」
ぼそぼそと続けられた言葉に、
俺は思わず サンジの腕を取って引き寄せていた。
「おわっ!?」
再び 膝の上に乗せる形で、がっちりと抱き締める。
「なっ…何だよ いきなり!」
「お前が悪い」
「は?祝ってやろうってのの 何が悪いって…んっ!」
まだ何か言いたそうなサンジの口を 己のそれで塞いで。
口付けながら 服を乱していくと、
サンジは 僅かに抗う素振りを見せる。
腕の中に押さえ込んで ズボンに手をかけると、
諦めたのか その身体から力が抜けた。
「お前が、可愛いのが 悪い。」
「ばっ…おまっ…このっ…」
キスの合間に言ったら、サンジが 真っ赤になった。
「よ…酔ってんのかよ!」
「ああ…」
「はっ、酒豪の剣士さまがね。疲れてんじゃねぇの?」
「疲れちゃいないさ。だが 酔ってはいる。」
「酔うほど 飲ませてねぇだろ。」
「俺は、お前に酔ってんだ。…サンジ。」
「はっ…」
赤かったサンジの顔が さらに赤くなる。
少しの間、口をぱくぱくさせていたサンジだったが、
勢い それは 爆発した。
「恥ずかしいんだよ、ゾロのくせに!」
「ああ。お前の前でだけな。」
「なっ…」
爆発は 一気に鎮火したらしい。
そのまま 絶句しちまったサンジのズボンを、下着ごと引き下ろす。
足を開いて跨いでいるせいで、
ズボンは腿に引っかかって それ以上下がらない。
まぁいいかと独り言ちて、既に熱を持っているサンジ自身を握り込んだ。
「っあ…や…」
きつく擦り上げる度に、びくりと 背筋をしならせるサンジ。
毎度 思うが、何でこんなに キレイなんだろうな、こいつは。
今も、サンジが頭を振るたび、冴えた月明かりの中に、
金髪が キラキラと 散っている。
快楽に歪んだ表情に目を奪われながら、サンジの牡を弄る手は止めない。
先端の窪みを きつく弄れば、
サンジの声は どんどん甘く、艶やかになっていく。
止められねぇ…。
「あっ…ふぅぁ…ぁぁ…っっ」
中毒にでもなりそうな この艶を、サンジから消し去ることなど出来ないだろう。
愛してぇ。
身体中、余すとこなく 愛してやりてぇ。
欲求は、行動に現れちまった。
「ひぁ…っ ぃ…やぅっゾロっっ!! 」
気付けば俺は、サンジの牡の先端を 可能な限り押し広げ、
僅かに露になった粘膜を撫でていた。
「あああっっ…んっぁっっ…ぅ…っ」
きつ過ぎる刺激に、あられもない声を上げて サンジが達する。
遂精して ぐったりしているサンジを抱えなおし、
放たれた白濁を 自分の指に塗りつけて、サンジの後孔を探った。
行為に慣れた身体は 大した抵抗もなく、
くぷりと 音を立てて、俺の指を飲み込んだ。
「ん…ゾロ…っ」
ゆるやかな動きが焦れったいのか、3本の指を食ませた頃には
サンジの目は強請るように潤み、その牡は また熱を湛えていた。
「いいか?」
「ん。さっさと…来やがれ。」
向かい合った状態で、ぐい と 腰を引き寄せ、
ぬくりと先端を潜り込ませる。
サンジのズボンは 腿に引っ掛けたまま、
その膝裏を抱えるようにして、一気に奥まで 押し込む。
「っあ…っ」
ずん、と衝撃があり、俺のモンが、全部サンジの中に納まった。
「あ…ふ…っ」
「痛ぇか?」
「つ…」
「あ?」
「突っ込んでから聞くな!痛えよアホ!」
「あ、ワリ。」
やっぱ一気は きつかったか。
「許せよ。その分 好くしてやるから。」
「ぅあっ…」
言うが早いか、サンジの感じる場所を集中的に狙いながら揺さぶってやる。
「ゾ…ロっっ…あっ」
悶えるサンジの その胸の飾りが、丁度 俺の目の前にちらつく。
…これで 耐えろって方が 無茶だよな。
俺は、目の前の誘惑に勝てず、腰は動かしたまま
その小さな突起に吸い付いた。
「あっ…ば…か、ゾロ!や…ぅんっ」
それだけで、サンジは あっさり達しちまいやがった。
同時に きつく締め上げられて、俺もサンジの中に 欲を吐き出す。
「絞めすぎだ。」
「おっ…お前が 加減しねぇからだろ!! 」
ぜぇはぁと 息を吐きながら、遂精の気だるさの中で始まる言い合い。
情緒も何も あったもんじゃねぇ。
…まぁ、色気だけは 有り余ってるが。
「プレゼントのくせに、ごちゃごちゃ うるせぇな。」
「なっ…何だよそれ!」
「だって誕生日なんだろ?」
「そうだけどっ!」
「祝ってくれんだろ?」
「そうだけど。」
「プレゼントは、お前でいいんだろ?」
「そう…だけど…」
「じゃ、もう1回な。」
「はっ?!」
「は?じゃねぇよ。」
「だっ…て、俺 もう疲れ…」
「いいから いいから。」
「良くねぇよ!」
だってよぉ、言い合ってる間 ずーっと目元は赤く染まってて、
瞳は青く潤んでて、喋ってる口は 可愛くて。
我慢なんか、できるはずないだろ?
2R目に突入して、今度は 後から抱き締めて抱いた。
当たる角度がキツかったのか、今度は前も弄ってやったからなのか、
サンジは意識をトばしちまった。
意識を失う寸前に、「おめでと」とだけ呟いて。
気を失ってなお 艶やかさを残すその表情に、まずい気分になりながら
何とか堪えて サンジの瞼に 唇を落とす。
「ありがとな、サンジ。」
月明かりに照らされたサンジは、途轍もなく 綺麗だった。
〜End〜
あとがき
こんなんゾロじゃねぇ…誰だ この甘ったるい奴は。
ゾロってもっと口下手で不器用な奴のような気が…
ああぁぁぁ。でもまぁ、甘々エロなんで許してやって下さい(笑。
ブラウザ閉じて お戻り下さい。