サンジは、とても とても キレイ。

まっすぐで、キラキラしてて、宝物みたいだ。


はじめて見た時、絶対連れて行くんだって 思った。

手に入れたいって、思った。





キラキラの月




よく笑うし、よく おこる。

くるくる変わる 表情。


笑った顔、おこった顔、あきれた顔。

おれに向けられる それが 大好き。



でも、サンジが おれに向けない かおがあるのを、おれは 知ってる。



ずっと ケンカばかりしてたのに…

いつも にらみ合って ばっかりだったのに…



サンジのキラキラは、おれのものじゃなかった。


サンジが とくべつな 顔を見せるのは おれじゃなかった。

とっても とっても 幸せそうな 顔を見せるのは、おれの前じゃ なかったんだ…。








  ※   ※   ※








夜中に 目が覚めたら、サンジのハンモックが空だった。

今日の見張りはゾロだから、サンジは戻って来てて いいはずなのに…。


不思議に思って 外に出たら、キッチンの明かりがついてた。


「お、どーした ルフィ」


見張り台の上のゾロが おれに気付いた。


「んー。のど渇いたから サンジに何か もらおうと思って。」


うそだ。

おれは ゾロに うそをついた。

ゾロに ホントのことを 言えなかった。


サンジが いないのが気になったって、言えばよかったのに…。

相手が ウソップだったら、多分 言えてた…。


そうか、と言って 海の方へ意識を戻した ゾロの下を通り過ぎて キッチンへ向かう。


「サンジー」


ドアを開けたら、

サンジが テーブルに伏せて 寝ていた。


「………」


すぅすぅ と、寝息を立てるサンジが とてもキレイで。

その さらさらとした 髪に、つい 手を触れてしまった。



「ん……ゾロ…?」



どくん  と、心臓が音を立てた。




─サンジのキラキラは  おれのものじゃない…。





あわてて 手を引っ込めたら、サンジと目が合った。


「ル…フィ?」

「あ。悪ぃ!お、起こす つもりは なかったんだけど…」


あせって しどろもどろに 言ったら、


「いーよ。こんなトコで寝てる俺が悪いんだ。」


まだ 寝ぼけてるのか、サンジが ふにゃっと  笑った…。


「何か用か?」

「え、あ。のどっ!渇いたから…」

「あぁ。じゃあ ちょっと待ってろ」


しんぞーが、どきどき いってる…



サンジは、とても キレイ。

まっすぐで、キラキラで…



ガチャっと 音がして、ドアが開いた。

入ってきたのは ゾロ。


「おぅ、ゾロ。どした?」


冷蔵庫を のぞき込んでいたサンジが 振り返る。


「酒きれた。くれ。」

「お前…最初に3本 持ってっただろうが…」

「ああ?いいじゃねーか、減るモンじゃなし。」

「減るモンだ ばかたれ。」


ゾロが入ってきて、サンジのまわりの空気が変わった気がした。

なんか…すごく やわらかくなった…。


「ルフィのついでに お前のも 作ってやるから それで我慢しろ。」

「ちっ」

「今 舌打ちしたか?」


ああ、嬉しいんだ サンジは。

ゾロと 話せることが。

ゾロと いられることが。


「ほい。お待たせ。」

「おーっ うまそーっ」


差し出された それを受け取る。


「そりゃあ サンジ様 特製ドリンクだからな。」


言いながら、ゾロの分を注ぐ サンジ。



サンジの作ってくれたドリンクを ごくごくと 一気に飲み干して、


「ごっそさん!」

「お、もう いいのか?」

「うん。あんがとな サンジ!おやすみっ!」


キッチンを出た。


「おぅ、おやすみー」


サンジの声に送られて、ぱたん と ドアを閉めたら、

月が出ているのに気付いた。


まんまるには まだ ならない、はんかけの月。


「キレーだ……」


その光は まっすぐで、キラキラしてて。


「サンジ みてぇだ…」





サンジは とても キレイ。


まっすぐで、キラキラで、とても とても キレイな

おれの  たからもの。





おれのものには ならない     たからもの。













〜End〜





★あとがき★
ルヒ誕なのに ゾロサンで、しかも方恋話って…
ごめん!ルフィ!俺に ルサンは無理だった!
(だったらルナミで ほのぼのとかにしとけよ…)

そんなわけで。ルフィさん 誕生日おめでとう。



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