聞こえてくる水音。
ぴちゃぴちゃ と 続くそれに、重なる自分の声。
「ふ…あっ…やぁっ」
聞きたくなくて、耳を塞ごうとしても、
頭上に拘束された腕は それを許してくれない。
「も…やめっ…んぁ!ロ…イっ」
何度イかされたか、もう覚えていない。
前も後ろも、さんざん弄られ、玩ばれて。
わかっているのは、その間 ロイが まだ1度も自分の中に 入ってきていないということ。
「あっ…ふ…ぅっ」
もう 出るものは ほとんど残っておらず、わずかな白濁が とろりと 溢れるだけ…
それでも まだ ロイは 愛撫の手を止めようとはしない。
「な…んでっ…」
どうして こんなことになっているのか。
ロイは一言も喋らない。
(俺…何か…したのか…?)
「ん…くっ…ぅあぁっ」
見当も付かないまま、の意識は ふつり と、途切れた。
※ ※ ※
気を失った の髪を梳きながら、ロイは つい先程あったことを思い返した。
「君は、無防備すぎるんだよ、。」
先程まで、ロイとと、ついでにハボックは、町の人々で賑わう居酒屋で飲んでいた。
地方での仕事終わりで、しかも私服であったため、
彼らを軍人だとは 思い当たりもしない連中が寄り付いてくる。
ロイは女性に囲まれているし、ハボックの周りにも それなりに女性が寄ってきていた。
が、の周りだけは違った。
「兄ちゃん、こっち来て飲もうぜぇ」
「そんな奴ンとこより、こっち来いよォ」
何故か、の周りには男ばかりが集っていて、
しかし それでも 自身は 気にした風もなく、そいつらと談笑している。
ロイは、女性達に 笑顔を向けながら、内心気が気でなかった。
酔っているのか、肩に手を回されても、笑って流してしまっている。
恋人である自分の前で起こっている その事実に、
いい気がするわけはない。
それでも、せっかくが楽しそうなのに、
邪魔をして、その笑顔を仏頂面に変えてしまうのは勿体無い と、
思ってしまうロイは かなり重症である。
しばらく そのままにしておこう…と、思った矢先。
「兄ちゃん、いい腰してんなァ」
の 細い腰に、一人の男が 手を伸ばした。
そのまま巻きつく腕を、気にもせず笑っている。
ぶちっ と、音がした…とは、後のハボック談。
ロイは、周りの女性達が 驚きの声を上げるのも 気に留めず、
に近づき、その腕を掴むと、
「帰るぞ。」
腰に腕を回していた男の手から、を奪い返し、
自分の腕の中に収めた。
「はっ?ちょっ!ロイ?!」
突然のことに 戸惑う。男達も 唖然としている。
「ハボック!立て替えておいてくれ。」
「えっ!ちょっと!! マジっスか 大佐ぁ」
そのまま ぐいぐいと を引っ張って、店を出ようとする ロイ。
ハボックが「大佐」と呼んだせいもあってか、
彼らを止めようとする者は、一人もいなかった。
「ごめん ハボック!! 明日必ず 払うからっ!!」
ロイに引きずられて店を出ながら 謝るの目の前で、
ぱたん、と 扉が閉まった。
「こら!ロイ!痛いってば!!」
が抗議するが、ロイは 終始無言のまま、
をホテルへ連れ帰ったのだった。
※ ※ ※
「ん…」
ふわふわと、髪を撫でられる感覚に、は 目を開いた。
「…ロイ…?」
見上げれは、自分の髪を 撫ぜるロイ。
「…」
居酒屋を出てから、初めてロイが口を開いた。
が、しかし の腕は 拘束されたまま。
「どうしたんだよ。何なんだ?一体…」
すっかり掠れてしまった声で が問う。
「いきなり 引っ張ってきやがって…」
「君は無自覚すぎるんだ。」
静かな、しかし 明らかな怒りを含んだ声に、は 黙る他なく、
「」
圧し掛かってくるロイを、ただ見上げるしかない。
ぐいっ、と 膝を持ち上げられて、
いつの間に潤滑剤に浸したのか、ロイの濡れた指が秘部を探る。
「やっ…ロイ!も…無理っっ」
ひたすら イかされ続けたの身体は、
多少の刺激でも、それを快感と取るようになっていて、
「んぁっ」
中を探る指が、2本、3本と 増えるにつれ、
の自身は、また反応し始める。
指を引き抜かれ、代わりに押し当てられる ロイのそれ。
「いっ…ぁっ」
ぬくり、と 潜り込んでくる それに、
もう出すモノの残っていない自身が、ひくり と反応する。
「や…だっ ロイ…も、苦しっ…」
「、好きだよ」
「…ロイ?」
何だと言うのか。
告げられる言葉が 断片的すぎて わからない。
「好きだ」
ただ、告げられる 言葉。
「だけ、愛してる。」
それは、何度も 言われた記憶のある コトバ。
「…知ってるよ」
何と応えていいか わからず、は ぽつり と、それだけ呟いた。
「だったら…」
全て 収めきったロイが、ゆるゆると腰を動かす。
「んっ…」
「だったら、他の男なんかに 触らせるんじゃない。」
憮然と、告げられた 事実。
「あ……妬いてたの…?」
の その一言は、あまりにも 間抜けに 響いた。
「………」
落ちる 沈黙。
破ったのは、ロイ。
ぐい、と、を突き上げ、にっこりと笑った。
「あっ…ちょっ…何っ?」
「どうやら には、言葉だけでは通じないようだからね。」
言うが早いか、ロイの顔から笑みが消えたかと思うと、
がんがん突き上げられる。
「ひぁっ…やっ…」
どうやら 火に油を注いでしまったらしい…と 思うだったが、後の祭り。
こうなってしまっては、もう喘がされ続ける他ない。
「あっ…あっ」
しばらく 攻め立てられた後、中で ロイが びくり と震える感覚に、
もまた、解放することの叶わない熱の中、絶頂を迎えた。
※ ※ ※
翌朝。
「うわっ」
という声と、どたっ という音に、ロイは 目を覚ました。
「…何だ?」
見れば、ベッドの横で 立ち上がろうとしている。
「おはよう 。どうしたんだ、朝っぱらから」
のんびりと訊くロイに、
「シャワー浴びに行こうとしたら、腰が立たないんだよっ!」
少々キレ気味の。
「あぁ、昨夜は 無理させたからな。」
何でもない風に返されて、
その飄々とした態度に、
「別れてやる…」
は、ぽつりと呟いた。
その後、の「別れる」発言に焦ったロイが、を宥めすかし、
ついでに「他の男に触られたら、そいつを殴り飛ばす」と、に約束させ、
隣室を取ってあったハボックと連れ立って ホテルを出た。
東方司令部に帰る列車の中、
「、どうして そんなに 声枯れてるんだ?」
というハボックの発言に、
「風邪だ!」
と言い張るがいた。
ホテルの壁は、果たして厚かったのであろうか。
〜End〜
あとがき
エロエロ…というリクに応えられているか…
自信がないのですが、がんばってみました。
マミ様に捧げます。
4848HIT、ありがとうございました。
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