「何や、まだ寝とるん?」
呆れたように 吐息する忍足は、
「、そろそろ起きぃ。」
ベッドに蹲るの髪を さらりと撫で、閉め切ってあるカーテンを 開け放った。
「ん…んー。」
どっと入り込んできた日光から逃げるように
は 寝返りを打ち、掛け布団に潜り込もうとする。
「こぉら、。起きぃて。」
「んー。」
日曜の昼。
今日は午前中だけだった部活の練習を終えた忍足が 自宅へ戻ると、
昨夜から泊り込んでいるが、出かけたときと同じ状態で すよすよと眠っていた。
「おーきーろっちゅーに。」
ぺちりとの額を軽く叩くと、ようやっとが うっすらと目を開けた。
「んー。何だよ侑士ぃ…」
目は開けたが、まだ半分寝ているらしい。しぱしぱと 目を瞬き、覚醒しようとするも、
その瞼は、再び くっ付きそうに なっている。
「。ちゃんと起きんと 襲ってしまうよ?」
言いながら忍足は ベッドへと上がる。
の頭の両脇に手を付いて、見下ろす体勢を取る。
「無茶…言うなよ、アホ侑士。」
誰のせいで こんなに眠いと思ってんだ と、
ぶつぶつ文句を言うは、ようやく覚醒してきたらしい。
「誰のせいって…何や、俺のせいか?」
「それ以外に 誰のせいだよ、この絶倫野郎。」
「アラ。彼氏に向かって それはないんちゃう?でも 嬉しいなぁ。」
が 俺のせいで、なんて ええ響きやね、と 笑う忍足を枕が直撃した。
「たっ…」
ぼすりと顔面に当たったそれは、が しっかりと握って叩き付けたものだった。
「何すんねん」
「ふざけたこと言ってないで どけ。もう起きる。」
「乱暴やなぁ、暴力反対ー。」
ぶつぶつと文句を言う忍足は、それでもの上から退こうとしない。
「どけっつーに。」
「んー、から ちゅうしてくれたら退いたるわ。」
しゃあしゃあと 言ってのける忍足に、は 深い溜息を吐くと、
「わっちょっ…」
ぼすぼすと 枕で忍足を 叩き始めた。
「いたっ…痛いてっ。ドメスティックバイオレンスやー。」
「あぁ?俺は お前と家庭を持った覚えはねーよ。」
あくまで淡々と言い放つは、枕を振り下ろす手を、止めようとはしない。
「そんな!ケッコンを前提に お付き合いしとんのに!」
「してねーよ。」
いつから結婚前提になってんだよ と言いながら、
やっぱりは ぼすぼすと 忍足を叩いている。
「は 俺なんか 遊びやて言うんか!?」
「何で そうなるんだよ。」
「こーなったら…既成事実 作ったる。」
「できねーよ、男同士じゃ…」
すっかり呆れたは、ようやく枕から手を離した。
「そもそも、今までヤってて、デキたことなんか ないだろ。」
セックス自体は今まで何度もしているし、
ナマでだって やってみたことはある。
「アキラメロ。俺にゃ産めん。」
「…」
すぱっと言い捨てたを、忍足が 真剣な声音で呼んだ。
「何だよ」
訝しげに見上げるに 忍足は、やはり真剣な顔をして 言い放つ。
「大丈夫や 。愛があれば 何とかなる!」
「なるかーっっ!! 」
きっと 今 手元にハリセンがあったなら、
思いっきり振り下ろしているだろう勢いで が叫んだ。
「せやから、今日からは 毎日 頑張ろな。」
「言ってることが無茶苦茶だ アホ侑士!」
そもそも お前は俺を起こそうとしていたんじゃないのかと、怒鳴るは正しい。
正しいが、何でも 自分に都合良いように話を運んでしまう忍足の前では
まったく 無意味だった。
「さ。さっそく 愛し合おか。」
にやりと笑う忍足は、きっとこうするために アホな発言を繰り返したのだ。
きっと そうに違いない と、確信するは、再び枕を握り締めた。
「まだ 昼間だ アホ侑士。」
「愛するとの触れ合いに、時間は関係ないな。」
「………」
一瞬 黙り込んだは、黙ったまま 枕を忍足に叩きつけようと 腕を動かした。
が。 ぱしっと音がして、その手首は 忍足の手の平に 捕らわれてしまった。
「なっ…」
「だめやで。大人しゅう、観念しぃ。」
そう言って忍足は、の両手首を捕らえ、
頭の脇に押さえつける形で シーツに縫いとめた。
「さ、覚悟は ええね?」
艶やかに笑う忍足を 見上げては、諦めの溜息を吐いた。
こうなったら この男には、何を言っても無駄だいうのは 経験上 明白で。
「あー…もう 好きにしろよ。」
は、明日の自分が、無事に動ける身体でいてくれることを
ただ願うのだった。
〜End〜
あとがき
五万打御礼 第三弾で ございます。
ギャグ以外の何者であろうか。って感じで(笑。
忍足を壊して ごめんなさい。
アホなコトばっか言わして ごめんなさい。
笑っていただけましたら幸いです(願。
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