「ロイ─────っ!!」
少し遠くで、自分を呼ぶ声がする。
うつうつと、夢と現実の間を 漂っている感覚。
足音が、近づいてくる…。
「ったく、こんなトコにいたのか。」
目を開ければ、
芝生に寝転がるロイを、上から覗き込むように、
が 中腰で立っていた。
「………。」
手を伸ばして、の頬に触れると、
はロイの傍らにしゃがみ込んだ。
「あーぁ、もう、すっかり冷たくなってるじゃないか。」
東方司令部の裏庭の西端。
丁度この時間 陽だまりになる ここが、ロイの お気に入りのサボり場。
「仕事サボって こんなとこで昼寝してるなんて…」
は、はー…と ため息を吐いて、
「ホークアイ中尉に しかられますよ、マスタング大佐。」
『大佐』を強調して言った。
その言葉に、一瞬ムッとしたような表情を作ったロイは、
だが 次の瞬間、にやり と笑うと、起き上がって、
「告げ口する気なのかね?中佐。」
仕事中の口調で問うた。
その笑みに、は 少し後ずさる。
──────嫌な予感。
「それなら、この場で口止めしなくてはね。」
(やっぱり!!!)
「や、中尉に報告なんてしないし!仕事に戻ってくれればいいから!!」
慌てて逃げようとするが、
「逃がすわけないじゃないか。」
笑顔のままで腰を捕らえられ、
「ちょっ…んっ…ん───っ」
口を、ロイのそれで塞がれた。
は、なんとか押し返そうと試みるのだが、
ロイの力は、さすが というか、強かった。
「ふ…はっ…ぁ…」
しばらくして、ようやく満足したのか、ロイが唇を離す。
と、同時に、そのままを 引き倒した。
「えっ、うわっ!」
どさり、と 倒れこむ2人。
「ちょっ!ロイ!!いきなり何…」
何するんだ!と言い切らないうちに、
ぎゅっと 抱き寄せられて。
「……ロイ?」
「寝よう、」
「は?」
寝る?寝るって何?まさか…ここで する とかじゃないよね?
とか 思っている間に、
ロイの腕が 頭の下に差し入れられ、
そのまま抱き締められた。
「え、あの…ロイ?」
見上げれば、
すうすうと 寝息を立てる ロイ。
「早ッ!」
思わず声をあげても、目を覚ます気配はない。
「まったく…」
しかし 確かに、降り注ぐ太陽の光は暖かく、
ゆっくりと吹く風も、冷たい冬のそれではない。
「一緒にサボらす気か。」
と、言ってはみるものの、
抱き締められる温もりは、をひどく安心させるもので。
「ふ…あぁ。」
少しだけなら いいか、と、彼もまた 眠りに落ちた。
ゆるりと大気をゆらした風に わずかに甘く香るものを感じ、
あぁ、春だなぁ…と、思いながら…。
〜End〜
★あとがき★
ほのぼの…してますか…?
タイトルは…すみません、ネーミングセンス皆無なもので…。
61HIT ありがとうございました。
実は これには、おまけなるものがございます。
どうしてもオチを付けたくて…(苦笑。
読んでやるよ、って方はこちらから→ ☆
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