「じゃあ、キスしてくれたら いいぜ」


エドが そう言ったから、


「なんて、冗談…んぅっ!?」


はエドに キスをした。







能天気な僕の恋人






やばい。 と、その場にいたギャラリーが青ざめた時には、

ロイは つかつかと に歩み寄っていた。


笑顔で近づいてくるロイを、きょとん とした顔で見る

その手は、エドの服の袖を握ったままだ。


「え、何?ちょっ…大佐?」


の手を エドから引き剥がして、

ロイは そのままを連れて 司令室を出ようとする。


「大佐、今日が期限の書類がまだ…」

「午前のノルマは終えている。」


ホークアイ中尉の制止も、


「大佐ぁ、報告書 上がったんスけど…」

「私のデスクに 置いておいてくれないか。」

「へーい…」


ハボックの言葉もあしらって、


「どこ行くんですか大佐っ!ちょっとっっ」


焦るに対しては 無言のまま、ロイは司令室からを 引っ張り出した。






「あー…えーと…」


残されたエドは。


「こりゃ 後が怖いぞー」

「大佐のことだから 何をするか…」

のことになると 見境ないから、あの人…」


司令部の面々に、散々 脅されることになった。








  ※   ※   ※







「わっ」


引きずり込まれたのは、資料室。

昼間だと言うのに 薄暗いそこに先客は おらず、は、背中に嫌な汗が伝うのを感じた。


「あ…あの…大佐…?」

「二人の時は、どう呼ぶんだったかな?


にっこりと 笑ったままのロイが怖い。


「ロイ…何か 怒ってる?」

「怒ってる?怒っていないと 思うのかい?」

「思ってないから聞いてるんだけど…」


後ずさりながら言うの耳に、カチャリ と、鍵を閉める音が聞こえた。

予感的中。


「ロイ」

「何だい?」

「まさか…ここでする、とか言うつもりじゃ…」

「ない と思うのかい?」

「思わないから 言ってるんだけど…」


逃げるべきか、捕まっておくべきか。

果たして どちらが 最良なのか。

などと考えているうちに、は あっさりロイに捕まった。


「お…お手柔らかに…」


取り敢えず言ってみた そのセリフが意味を成さないことなど、

には、とうに わかっているのだけれど。








  ※   ※   ※








「や…痛っ……は…ぁっ」


資料の並んだ棚に手をつかされ、後ろからロイを受け入れる。

充分な潤いを与えられぬまま 押し込まれるロイのそれに、は 息を詰めた。


「っあ……ロイっ 苦し…」


ロイは 構わず全て入れてしまうと、

の前に触れることで、さらに深く押し込んだ。


その雰囲気から 覚悟はしていたものの、

いつになく強引なロイに、戸惑うばかりのは、

解れていない後ろを広げられる痛みと 前を弄られる快感に、意識を混濁させていく。


「ふ…ぁ、も…ダメ…」

「イきそう?」


ロイの問いに こくこくと 頷く

それは 解放を 望むものだったのだが…


「あっ…うそっ…」


ロイは、どこから出したのか、細い紐を、自身の根元に結んでしまった。

戒められ、塞き止められた それは、一時的にの意識を明瞭にする。


「や…だっ ロイっ!何で…」

「わからないかい?」

「ふ…ぁ…んっっ…わか…らない……」


答えるは しかし、与えられる 苦痛と快感のために、

もう何が わからないのかすら、わかっていない。


「私は、から キスしてもらったことなど、ないんだがね。」


耳元に、そう囁かれ、は 自分が エドにキスをしたことを思い出した。


「あ…」


となれば、さすがのにも、ロイが何を望んでいるのか、察しはつくわけで。


「ロイ…」


は 上体を起こし、そうすることによって角度の変わった刺激に耐えながら、

振り向いて ロイに口付けた。


「ん…」


苦しい体勢に眉を寄せながらも、唇を寄せてくるに ロイは、

満足気な笑みを浮かべると、口付ける姿勢は そのままに、腰を使い始めた。


「ふ…あっ や…ロイっっ」


解放を許されぬまま与えられる刺激に、が 苦しげな声を上げる。


「お…ねがっ…も……」

「もう、何?」

「んぁっ…ひどっ……」

「言ってごらん、。どうしたい?どうして欲しい?」


唇を合わせたまま、囁かれる誘惑。

刺激は 与えられ続け、の理性は、ぐずぐずと 崩れていく。


「ん…ふっ  お…ねが…もぉ…イ……かせっ」

「よくできました。」


ごほうび とでも言うように、ちゅ と軽く口付けられ、同時に 戒めを解かれる。

腰を抱き寄せられ、深くまでロイが入り込んでくる感覚に、

は、欲望を解放すると同時に、意識を手放した。








  ※   ※   ※








「で、何でエドにキスしたんだ?」


司令室に戻ってきて、デスクに向かうに、ハボックが こそこそと 話しかける。

ロイは、あの後 意識を取り戻したの身支度を整えると、

そのまま 執務室へ戻り、山のような書類を前に 頭を抱えていた。



は 言い淀む。

先ほどロイに それを言って 盛大に呆れられ、

そんなところも可愛いよ、などと言われて、苦笑しながら頭を撫でられたのだ。


「そんな、言えないような理由なのか?」

「そういう わけじゃない…けど……」

「けど、何?」

「大佐に言ったら 笑って頭撫でられたから…」


小声で ぶつぶつ言う


「…お前、ほんとに…何言ったんだ?」

「………みつあみ…教えて欲しくて…」

「やり方?」

「やり方。」

「何で?」

「……………大佐に言うなよ?」


どうやら、ロイには言っていない理由があるらしい。


「何で?」

「何でも!」


どうしてもロイの耳には入れたくないらしい。

ハボックは、首を傾げながらも 頷いた。

こそこそと 内緒話の体勢に入るに、ハボックも 耳を寄せるように近づく。


ぼそぼそ と 告げられた それに、


「ぶっ…」


ハボックは 堪らず吹き出した。


「なっ!笑うなよっっ」

「ぶははははははっ  はっ…いや…悪ィ…っっ」


笑うなと言われて 止まるような笑いではない。


「くっ…くく……大佐には、絶対言わないよ。」

「約束だからなっっ!! 」


と言って、自分のデスクに向かうの 後姿を見ながら ハボックは、

まだ 笑を治められないでいた。


『ロイに似合うと思って。』


ロイが聞いたら 卒倒しそうである。


(それとも、お仕置き されちゃうのかね。)


などと、いらんことに思考を回すハボックは、

笑いを鎮めようと 深呼吸をしながら、

能天気な恋人を持ってしまったロイに、ちょっとだけ 同情するのだった。
















〜End〜





★あとがき★
嫉妬エロは大佐が鬼畜になりますね(笑。
大佐に三つ編み…
してみたいと思うのは俺だけですか(十中八九そう。)

6565HIT ありがとうございました☆




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