すやすやと 穏やかな寝息を立てて朝の光の中に眠る青年。
カーテンの開け放たれた窓から入る光にもめげず、気持ち良さそうに眠っている。
「、起きて。朝だよ」
すっと青年の眠るベッドに近づいて、その額に口付けを落とすのは、
つい数十分前まで彼と一緒にベッドに埋もれていた男。
「外は いい天気だよ。ほら、起きよう 」
「ん…んー…」
軽く肩を揺すられて、は煩がるように もぞりと動き、
タオルケットで すっぽり頭まで覆ってしまった。
「……」
男は、ショックを受けたようにの名前を呼んだが、その作ったのが丸分かりの
「ショックです」という表情は、すぐに いけない笑みに取って代わった。
「起きないと、このまま、するよ?」
タオルケットを足元から捲り上げ、男が、タオルケットの下は
何も身に着けていなかったの脚を膝から太股にかけて撫で上げる。
「んっ…や……アンパンマン…?」
びくりと竦みあがったは、タオルケットから顔を出し、眩しさを嫌うように
薄っすらと目を開け、男をみつけた。
「おはよう。いや、おそよう かな」
「誰のせいで寝不足だと思ってんの」
寝起きで、普段より少しばかり低くなっている声は、
それとはまた違う理由で少しばかり掠れている。
腰がだるい、喉が痛い、頭が重い、と文句を連ねるは、
タオルケットを捲り上げたままのアンパンマンを素足で げしっと蹴飛ばした。
「ん?僕以外に誰か心当たりでも?」
その脚を握りとって、アンパンマンは にっこりと笑う。
対しては、朝っぱらから鬱陶しい と言うように眉間にしわを寄せた。
「はぁ?一晩中くっついて放さなかったくせに何?」
他人と入れ替わった記憶でもあるわけ?と冷たい目をアンパンマンに向けて、
は、放せというように脚を振る。
けれども、力の加減もなく ぐいぐいと動かしているはずなのに、
アンパンマンの手がはずれないのは何故なのか。
「…放せ」
「んー、いい眺めだからダメ」
掴んだの脚を くいっと持ち上げてアンパンマンは、
「丸見え」
とハートマークでも飛んでいそうな声音で のたまった。
「あーもう 最低」
何この男、と 重々しく溜息を吐いて諦めたかに見えたは、
しかし次に耳に入ったアンパンマンの言葉に、
無駄と知りつつ暴れずにはいられなかった。
「素直じゃない子には、お仕置きだね」
などと言われなければならない理由をが知るはずもなく、
「素直だろ!俺 素直過ぎるほど素直だよ!」
そう怒鳴り散らせば、
「へぇ?素直なんだ?どこが?」
「全部!全体的に!脚放せとか!素直だろ!?」
「うそつきだなぁ」
「なんで!」
「は、こうして されるのが大好きじゃないか」
へらりと笑ったアンパンマンの手が、ぐぐぐっとの脚を広げてしまい、
不毛な会話は 終わりを見なくなる。
「素面の時は恥ずかしいだろ!」
「じゃあ、今からトばしてあげようか」
「いらん!いらない!遠慮する!いや、拒否だ拒否っ!」
「照れない照れない」
「照れてない!」
「朝から叫んで疲れない?」
「誰のせい!?」
「僕以外にいるのかい?」
「いてたまるか」
朝っぱらからベッドの上で、せめてもう少し色気のある会話はできないものか。
しかし、そんな不毛な会話は、不運な星を背負ってしまった犠牲者の登場で
一旦の中断を見る。カチャリと、ドアノブが鳴った。
「おはよー、。ここにアンパンマン来て…っっ?!」
「げっ」
「僕ならいるよ。おはようカレーパンマン」
「だーっ!さっさと脚離せ!」
いらん星を背負ってしまったのは、の幼馴染であるカレーパンマン。
小さい頃からの付き合いで、かって知ったる何とやら、寝室にまで遠慮せずに
入れる仲だったことが仇になった。
の下肢から腰にかけてを、産まれたままの姿で曝した状態を、
さらに他人と絡み合っている体勢で見せ付けられて、カレーパンマンは硬直した。
コトの最中でなかったのが、唯一の救いであろうか。
「どうしたのカレーパンマン。何かあった?」
対するアンパンマンは、平然と、笑みさえ浮かべてカレーパンマンを見遣る。
の脚は しっかりと握ったまま。
「放せっつうに」
ぼすん、とアンパンマンの後頭部に衝撃が落ちた。
いつまでも同じ問答を繰り返すのは飽きたとばかりに、
が枕を 引っ掴んで振り下ろしたのだ。
「ひどいなぁ、」
「どっちが ひどいんだ」
いつまでも醜態曝させやがって こんちくしょう と、少しばかり口が悪くなりながら
ようやく脚を解放されたは、腰の辺りに寄っていたケットを
くるりと下肢を覆うように巻き、
「シャワー浴びてくる」
と、部屋を出て行った。
「朝っぱらから何やってんのよ お前らは…」
が出て行って、ようやく我を取り戻したカレーパンマンが、
深々と溜息を吐きながら、その場に しゃがみ込む。
「何って…」
「いや、いい。言うな。聞きたくない」
自分の幼馴染の あんなところや こんなとこ、出来れば見たくはなかった。
うっかり の白く柔らかそうな太股に目を奪われたなんて、信じたくない。
カレーパンマンが 1人ぐるぐるしているのを尻目に、
アンパンマンは ものすごく上機嫌だった。
「んー。やっぱりは怒ってる時も可愛いなぁ…」
「…さいですか」
もう何をツっ込む気力もなく、カレーパンマンは しゃがみ込んだまま、
このまま どこか遠くへ思いを馳せてしまいたいと、本気で思う。
「ところで、何か用事があったんじゃないの?」
思い出したように問うアンパンマンに、
「ああ、うん。そうね。そうだね」
俺は用事があって来たんだったね、と カレーパンマンは
半泣きになりながら用件を告げた。と、そこへ
「アンパンマンっ!服持ってくんの忘れた!」
バスルームから響くの声。
「ああ、今持っていくよ」
応えたアンパンマンが手にしたものが、白いレースのエプロン1枚であるのを
目撃してしまったカレーパンマンは、アンパンマンがバスルームに向かった
直後に響き渡ったの怒声を、しょくぱんまんは今頃どうしているかなー
と、遠くへ思いを馳せながら 聞いていたのだった。
〜End〜
あとがき
テンションばかり異様に高いものが出来ました(苦笑。
ノンストップな餡ですが、貰ってやって下さい(礼。
相互リンクありがとうございました!
これからも よろしくお願い致します。