Snow White




「今日はね、救世主が生まれた日なんだって。」

「ん?」


情事の跡を色濃く残しながら、気だるげにが口を開いた。


「どっかの 宗教の話。」

「へぇ。」

「救われるんだってさ。」


ころころと ベッドの上を転がって、火照った身体にシーツの冷たい箇所を

探しながら、が つまらなさげに言う。


「信じるものは、ね。」

「ふぅん。」


答えるロイのは、淡々としているようで、しかし その口元は笑みの形を崩さない。


は、信じているのかい?」

「さぁね。」


ぱたりと 音を立てて ロイがに向けて腕を伸ばすと、

身体の火照りを逃がして満足したのだろう

もぞもぞと移動して その腕の上に ことりと頭を乗せた。


「ロイは…信じたりしなさそう。」

「そうかい?」

「うん。自分以外 信じなさそうだし。」


くすくすと 笑うは、ロイの腕に頬を擦り付けるように身じろいた。


「何気に 貶してないか?」


声だけを少し拗ねさせ、しかし表情は 相変わらず笑みながら、

ロイは 枕にしているのとは 逆の腕で の腰を抱き寄せた。


「貶してなんかないよ。」


俺の素直な意見を述べただけ、と 笑うには きっと黒くて細長いしっぽが

付いているに違いないと、ロイは そんな どうでもいいことを思いながら

を 更に強く抱き寄せる。


「まったく、君って子は…」

「子って言わないでよ、一つしか違わないんだから。」

「悪い子は、おしおき しなければね。」


の抗議は さらりと流して、ロイは の腰にあった手を つるりと滑らせ

その双丘の狭間を辿って 蕾に触れた。


「あっ ちょっ…!」


先程まで ロイの熱を食んでいた そこは、くぷりと音を立ててロイの指を飲み込む。


「まだ する気?」

「したくない?」

「べつに、いいけどね。」


好きにすれば、と 小さく溜息を吐くに ロイは苦笑を零す。


「そんな も好きだけどね。」


たまには 可愛くなってみる気はないのかい?と、言ってみたところで

は いつも さらりと受け流してしまうのだけれど。


「俺が可愛くなんてなったら、明日は大雨じゃない?」


無能に なりたくなかったら、やめとけば。なんてセリフで

案の定 すっぱり切り捨てられ、ロイは仕方無しにといった感じで

の中から指を引き抜いた。


「まったく…君には敵わないよ。」


言って、仰向けに体勢を変えようとしたロイは、それを見つけて 動きを止めた。


「あ…」

「え?」


何かに気付いたように動きを止めたロイの視線を辿って は、

丁度 背中側にあった窓に 目を留めた。


「あー、雪だぁ。」


言うが早いか、は するりとベッドを抜け出し、窓際へ向かった。

裸のまま ベッドを降りたに、後からベッドを降りたロイが

脱ぎ捨ててあったシャツを着せかけ、そのまま背後から抱き込むように腕を回した。


「雪って、綺麗だよね。」


窓から外を眺めながら、が微笑む。


「白くて、ふわふわで、温かそうなのに 冷たい。」

「まるで みたいだな。」

「えー。何で そうなるの。」

「そのまんまだろう?」


肌は白いし、笑えば ふわふわと温かそうなのに態度はつれない、

と ロイは つらつらと 並べ立てる。


「ひどいなぁ、俺は 冷たくなんかないでしょ。」


ひどいと言いながら、それでもは くすくすと笑っている。


「じゃあ、たまには 可愛く強請ってくれ。」


拗ねたように言うロイに、は くつりと苦笑して、


「しょうがないなぁ。」


ロイに向き直った。


「まぁ、もう 雨じゃなくて雪が降っちゃったから…」


明日 どんな大雪になろうと関係ないかと呟いて、

は ロイの首に腕を絡め、その唇に きつく口付けた。


「ん…」


熱を煽るように 舌を使い、そうしたかと思えば

次には舌先で ちろちろと唇を舐める。


…」


キスの合間に 吐息を零すロイは、キスだけで 既に身体に熱を凝らせている。


「ロイ」


にこりと笑ったは、ロイの頭を抱き寄せ、耳元に囁きを落とす。


「雪が、雨に溶け変わってしまうくらい、熱くしてあげる。」


ロイが 少し驚いた様に顔を上げると、は 意地悪そうに、

しかし とても艶やかに笑っていた。


「たくさん、食べてあげるよ、ロイ。」


に 押し倒される形でベッドに倒れ込み、互いの熱を絡める。

熱を分かち合う二人をよそに、雪は ふわふわと積もっていく。

それは、夜の恋人たちを包み込み、ふわふわ ふわふわと

世界を真っ白に染めていった。












〜End〜





あとがき

はい。クリスマス夢でございます。
て、ロイを お相手に決めちゃってから問題が。
鋼の世界にキリスト教は存在するか。
あれ?どーよ?みたいな(笑。
よって クリスマスは あんまり関係ない話になりました。
ご了承下さいませ(逃走。

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