君の笑顔が好きでした。

とてもとても好きでした。

いつからだろう、それを見るたび、苦しくなってしまうようになったのは。






49.笑い顔





!」

「んー?」


放課後の教室、笑顔の君。

生返事の僕。


「おーい、聞いてるか? ー?」


近付いてくる、山本の声。

わかってる。

呼んでるのはわかってるから、振り向くまでに覚悟の時間を下さい。


?」

「はいはい、なに?」


振り向いて、ずきんと痛んだ心臓に、覚悟が足りなかったことを知る。

やっぱりだめだ。

この笑顔は、苦しいのだ。


「今日、帰りに寄ってっていーか?」

「いーよ」

「部活、終わんの結構遅いかもしんねーけど」

「大丈夫、ごはんつくって待ってるし」

「おう、サンキュ」


にか、と笑って、離れていく山本が、憎たらしかった。








  ※   ※   ※








僕の家は、両親が仕事の都合で頻繁に海外出張に行くため、

月の半分は僕一人。もう半分はどちらかがいないという状況。

家族がそろうのはごくたまに。

そんなこんなで今日も、家には僕一人。


「や、だ……山本、やめ……っ」

「え? やだ? でもなー……やめたくねーや」


食事が済むなり、寝室へ連れ込まれ、さっさと押し倒された。

今はもう既に慣らすための指が濡れて出入りしている。

恋人、というものになって、まだ2週間。

した回数は、けれど14回なんて、とうに越えている。


「やめなくても、いいよな?」


にっと、彼が、笑う。

僕はすぐに、真っ赤になって。


(こんなときに、笑うなんて卑怯だ……)


結局何も答えられないから、山本の自由にされてしまう。


の中、めちゃくちゃ気持ちいーのな」


慣らした場所に自身を押し込みながら、山本がふっと笑った。


「っ……ばか!」


だから笑うなというのに、もう……。

苦しくて苦しくて、愛しくて。ひとく憎たらしい。

自分はきっと、この男の笑顔にだけは敵わないのだろうと本気で思った。

しかし悔しいかな、どれだけ苦しくても憎たらしくても、俺はもう彼から

離れられそうになかった。

だって……だってこんなに……愛しいのだから。












〜End〜





あとがき
やーまーもーとー。難しいなお前!(笑。
山本の笑顔は、惚れた人間にとっては絶対目に毒だと思います。
心臓直球ど真ん中でときめいちゃうよね!(なんだそりゃ/笑)

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