「あ、あ……んっ」
尻を解され、彼の熱を与えられることには、もう慣れた。
少しくらい乱暴にされても、僕のそこは確実に快感を拾う。
「、……っ」
僕の名前を呼びながら、彼……隼人は、きつく僕を抱き、
腰を送り込んでくる。
ギシギシとベッドが悲鳴を上げた。
「や……苦し……っ」
少し苦しいと声を上げても、まるで縋りつくかのように、
隼人は僕への拘束を強める。
きっとまた、沢田や山本たちと何かあったのだろうと思って
けれど彼らの中に入っていけない自分は、こうして隼人に
身体を貸すしかない。
(もっと中まで見られたらいいのに。そしたら僕が守るのに)
「隼人……」
呼べば、びくりと彼の動きが止まる。
しくじった。
僕に名前を呼ばれると、彼はいつも我に返ってしまう。
「ごめん。大丈夫だから、続けて……いいから」
それは、最初が半ば強姦に近いカタチでの情交だったからに
他ならない。
──いやだ、隼人! 隼人っっ!!
何度も名前を呼んで止めた声が、彼の耳の奥にこびりついて
しまっているのだという。
(……ごめんね、隼人)
僕が謝ることではないのかもしれない。僕はあの時、
あらぬところに、ひどい傷を負った。
でも、心の傷は、僕ではなく、隼人に深く残ってしまったのだ。
あのあと、滅多に見せない涙を零して請うた彼を許し、
こういう関係を結ぶことになってからも、隼人の傷は癒えていない。
(なんて、悲しい関係なんだろうね、隼人……)
いつの間にか互いの中に踏み込めない関係ができていた。
きっと互いに怖いのだろう。
このギリギリの均衡を壊してしまうことが。
「あ、んぅっ」
「」
やわらかいキスに、優しい声。少なくともそれだけで、今の僕は
幸せなのだろう。彼に、抱かれることが、幸せなのだろう。
呼べない名前の代わりに、深くキスを返した。
甘く、深く、交わっていく。
隼人はきっと、彼の我侭で僕を捕まえていると思っていて、
離れていかないように拘束しておかなくてはと、必死なのだ。
けれど
(けれどね、隼人。本当は……)
本当は、僕の方が、彼を離せないでいることに、隼人は
気付いていない。
彼の罪悪感につけ込み、絡めとって、縛り付けているのは
僕の方なのに。
(ばかだね、隼人……)
こんな自分からは、早く逃げて欲しいと思うのに、どうしても
僕からこの拘束を解くことは、できそうになかった。
〜End〜
あとがき
初REBORN! 夢は獄寺くん。
主人公が獄寺を「隼人」と呼ぶようになった経緯を書こうとしたら
なんだか全体がだらけてしまったので、そこは省略で(苦笑。
あ。両方苗字呼びにすれば良かった、の、か……?(今気付くな/笑)
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