強引な君から 離れられない僕。





「ジロちゃーん。いい加減 起きませんかー?」


放課後の教室。もう下校時刻も近い午後5時。

机に突っ伏して 眠るジローの 前の席の椅子に だらりと座ったまま、

その ふわふわした髪の毛を ぽすぽすと 叩く。


「おーい、ジロー。」


………起きない…。


「ったく…」


よっこいせ と 姿勢を戻して、自分のカバンを漁る。

たしか この辺に………あった。

引っ張り出したのは ムースポッキーの箱。


「ジーロちゃーん」


カコカコと 耳元で振ってやれば、


「んー?」


微かに香る甘さに気付いたのか、ジローの目が うっすらと開く。


「おはよう ジロー」

「…ちゃん?」

「まーったく、ぐーすか寝コケやがって。ジローが部活に来ねぇって 跡部が怒ってたぞ?」

「んむー…」


どうやら まだ眠いらしい。


「ほれ。」


ぽこん、と ジローの頭に ポッキーの箱を乗せる。

すとん と、ジローの目の前に 落ちた箱。


「あーっ ムースポッキー!」

「やっと起きたか。」

「食っていい?コレ食っていい?」

「いいよ。そのために買ってきたんだから。」


起きたら起きたで騒がしい。


ちゃんも。はい、あーん。」

「え。」


にこにこ と笑うジローは、ポッキーゲーム体勢。

マジですか。


「ジロちゃん、ここ 学校なんですけども…」

「いーじゃん 別に。」

「いくない!」


つい 変な日本語でツっ込んでしまった。


ちゃん 冷たいー。俺 きのー 誕生日だったんだよー?」


ぽりぽり と、咥えたポッキーを食べながら文句を言うジロー。


「だから?」

「みんなは今日、いっぱい お祝いしてくれたのに…」

「はー…。俺は昨日 めいっぱい してあげたでしょ。」


そう。俺は昨日1日 ジローに離してもらえず、

その ほとんどを ジローの部屋のベッドで過ごしたんだ…。


「今日も 祝って!」

「お前ねぇ…」


にこやかに わがまま言うな。


「じゃあ、そのポッキーがプレゼント。以上。終わり。さ、帰るぞ。」

「えぇぇっ!?ちょっ ちゃ…」


立ち上がって カバンを手に取った俺を見て、慌てて立ち上がったジローの唇に

ちゅっと、キスしてやった。


「え…あ…」

「帰るだろ?」

「う、うん!帰るっ!! 俺ん家 寄ってってね!! 」

「今日は おじさんも おばさんも いるんだろーが。」


GW中は 旅行に行っていたらしいジローの両親は、昨日の夕方に帰ってきた。


「二人とも 店の方にいるから 大丈夫!だから寄ってって!! 」

「大丈夫って…」


声 抑えんのは 俺なんだぞ…

と言ったら、


「俺が 塞いどくから 平気!」


と きた。

…おいおい。


「そーと決まったら 早く帰ろー!」

「決まってねーよ!コラっ ジロー!! 」


がしっと 手をつかまれ、ぐいぐい引っ張られる。

ジロー…明日も平日だって、わかってるよな…?



そのまま ジロー宅に連行された俺が どうなったかは…ご想像の通り。











〜End〜




あとがき

ジロたまの お誕生日です!
奔放な わがまま王子に振り回される主人公。
でも そんなジロたんが可愛くてしょうがないんですね〜。
(とか言ってるけど、主人公は完全に受です。)

ジローちゃん お誕生日おめでとう☆


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