シャワーがタイルを打つ水音が響くバスルーム。
白くしなやかな背にまとわりつく白い泡を シャワーの水流にさらわせ、
ふぅと溜息を吐く青年は、身体に凝る微熱を少しばかり持て余していた。
高級ホテルの一室、それもスイートと言われる部屋に通されただけでも
身構えてしまうというのに、バスルームに入る前、きついほどのキスをくれた
年下の男は、自分の誕生日のプレゼントに親から この部屋の一泊をもらった
のだと、低く甘い声を耳元に注いでくれ、悪びれもなく笑った。
キスで火をつけられた身体を、けれど、シャワーを使うかと問われたことに
頷いて バスルームへ押し込めたのは、多分照れと多少の見栄。
簡単に火をつけられたことを知られたくなくて逃げ込んだ そこだというのに、
身体を洗い清めてなお、内部の熱は消えてくれはしない。
あきらめてシャワーを止め、軽くタオルで水気をふき取ると、
素肌に白いバスローブだけを着て備え付けのスリッパをつっかけ、
何の躊躇いもなく、男の待つ部屋へと出て行った。
「おまたせ」
バスルームを出ると、入る前には明るかった部屋の照明が落とされ、
間接照明のぼんやりとした明かりが、部屋を包んでいた。
2つ並んだダブルベッドの片方に座る男に声をかければ、
振り返った彼の目は、温まってほんのりと染まる頬に釘付けになる。
「景吾は?シャワー」
「あ、ああ」
頷きながら、しかし、跡部はカーテンの閉められた窓に向かう。
「景吾?」
「来いよ、」
呼ばれて窓へと近付けば、ざっと引き開けられたカーテンの先、
広がるものには息を呑んだ。
さすがスイートというだけの大きな窓の外、高層階から見渡すそこには、
まるで光の海と、そう例えるのが相応しいほどの夜景が広がっていた。
「気に入ったか?」
引き開けたカーテンを止めながら跡部が笑う。
「あ…うん…すごい…」
引き込まれそうな光の町に、は、その瞳に光を返しながら
感嘆の息を零した。
好きなだけ見ていろと言い残し、シャワーを浴びに行った跡部が、
同様にバスローブを着て戻ってきたことにも気付けぬほどに、
光に魅入られたように窓に齧り付いてしまい、跡部の苦笑を買って、
ようやく は 我に返った。
「あ、ごめん」
「いや、かまわねぇよ」
跡部に気付いて謝りつつも、窓際から離れられないに
苦笑を深くして、跡部は窓辺に立つ彼を、背後から かき抱いた。
「少し、妬けるけどな」
そのまま するりとのバスローブの胸元に手を忍び込ませて、
小さな飾りを摘む。
「ん…景吾…っ」
するならベッドに、と小さく訴えるを、しかし窓辺から逃さずに、
「いいから、好きなだけ見てろよ」
そう言って、裸に剥いてしまう。
「あっ…」
パサリとバスローブが床に落ちたと同時に、酷いほどの羞恥が
を襲った。外から見える高さの建物は周囲には無いが、
窓という開放的なものに向かって裸体を曝すのは ひどく恥ずかしい。
「景吾…っ!」
しかも、跡部の手は、躊躇うことなくの自身を捕らえ、また後孔を
やさしく撫で上げる。
いつのまにジェルに浸したのか、後孔を探る指は濡れていて
内部へ入り込もうと すぼまりを繰り返しつついた。
先ほどから熱をたたえていたの身体は、容易く反応を示し、
つぷりと入ってきた指を、素直に受け入れてしまう。
「く…ふ…っ」
掻き回され、擦られて、指を徐々に増やされる。
くずおれそうになる身体を目の前のガラスに預ければ、
自分の吐息で曇る窓の外には、広く光の海がある。
「…」
いいか、と、問われる声に甘く背すじをふるわせ、こくりと頷いた
の腰を引き寄せた跡部の目は、その光の中で乱れるの姿に
欲情と感嘆を写していた。
「ひ…っぁぁっ」
ずん、と力強く沈み込んできた跡部を受け止めの背が撓る。
感じる箇所を擦りあげられ、身悶えるの白い背は、
キラキラとした町の光に美しく溶けていくかのようだった。
「っあ…も…ダメ…っっ」
イく、と声にするの赤く染まった目元がガラスに映った
跡部を睨む。その表情にさえも跡部は煽られる。
「最高のプレゼントだぜ、…」
「あ、ああっっんーっ」
わざと耳元に低音で注ぎ込み、ぐい とが感じてしまう箇所を
突き上げて、が白濁を飛ばす様を見ながら、跡部も
の中に欲望を解放した。
くたりと力を抜いてしまったは、意識を手放していた。
自身をから引き抜いた跡部は、そっとを抱き上げ、
バスルームへ連れて行くと、バスタブに下ろして、身体を清めてやった。
そのまま すぅ、と寝息を立て始めてしまったをベッドに寝かせ、
自分も一緒に横になった。
「本当に、最高のプレゼントだ」
すやすやと眠るを腕に抱き込み、跡部もひどく満たされた気持ちで
眠りに落ちていく。
明日は平日。朝から忙しいな、と考えることさえ、と一緒なら、
どうしてか嬉しさを感じられてしまう。
自分に苦笑しながら 跡部は やってきた波に身を任せた。
〜End〜
あとがき
眠くて大変な感じで書き上げて打ち込んだので
何やら不思議な文章になってるかと思われます…。
時間がなくなってしまったせいで、
書きあがってた半分を捨てて1から書き直した作(苦笑。
はっぴーばーすでぃ跡部。
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