「寒いよ長太郎…」
「そう?じゃ、だっこする?」
「やだ。」
放課後。テニス部の厳しい練習も終わった午後7時過ぎ。
と 長太郎は、家路の途中に公園に寄り道していた。
並んで座ったベンチは、夜風に冷えて 冷たい。
「見て見て 、これ 宍戸さんがくれたんだ。」
そう言って、長太郎が差し出したのは、暖かそうな色の手ぶくろ。
「あ、そ。」
が しかし、よかったね。と答えるは 素っ気無い。
今日は長太郎の誕生日。だって、笑顔で祝いたかった。
というか、祝うつもりでいたのだが、色々な人からプレゼントを貰い、
その度に、笑って「ありがとう」と言う長太郎を見るたびに苦しくて
仕方なかったのだ。
つまらない嫉妬だ、と思えど、恋人が他人に向ける笑顔を、
実は独り占めしたい自分を自覚してしまっては、
どうにも素直に 笑えそうにはない。
さらに、宍戸から貰ったものだと 見せられた手ぶくろも、問題だった。
「何?、どうしたの?」
「何が?」
「何か 怒ってない?」
「ない。」
「じゃ、機嫌悪い?」
「それって 怒ってると どう違うの。」
どこまでも 素っ気無いに、長太郎は苦笑する。
「 もしかして、俺が コレ貰ったの、イヤ?」
コレ、と 宍戸から貰った手ぶくろを指して問われたは
つい と、横を向いてしまう。
「どうして?がくれた このマフラーと合うと思わない?」
そう言う長太郎の首には、がプレゼントしたマフラーが巻かれている。
商店街のショーウィンドウで、一目惚れして購入したものだった。
これなら絶対 長太郎に似合う、と思って 誕生日のプレゼントに選んだのに。
「て、言うか、だって それ…」
宍戸が長太郎にプレゼントした手ぶくろは、同じショーウィンドウの、
しかも同じマネキンにコーディネートされていた それだったから、
は どうにも 落ち着けないのだ。
もしかしたら、宍戸も 長太郎を 自分と同じ視点で見ているんじゃないか、
という不安が、ひょっこりと頭を擡げてしまう。
女の子達から貰ったものより、自分が あげたものを着けてくれる長太郎。
でも、宍戸も それと同じ扱いなのだ。
そう拗ねたように口にしたに、長太郎は 苦笑の色を濃くした。
「ってば、そんなこと気にしてたの?」
「そんなこと…って、“そんな”じゃないよ。」
「“そんな”だよ。」
を抱き寄せて、額にキスを落とす長太郎は、ばかだねぇ と笑う。
「そんなこと言ったら、俺だって妬けるよ。」
「は?何で?」
「何で…って、」
示し合わせたわけでもないのに、同じショーウィンドウから
別々にものを買ってくるなんて、以心伝心ぽくない?と、
長太郎は真面目な顔で言う。
「俺の知らないところで、勝手に分かり合わないでよ。」
は、俺のことだけ考えて、俺にだけ 気持ちを伝えてくれればいいの、
なんて、真剣に言うから、言われたは つい、ぷっと 吹き出してしまった。
「あ、ちょっと。そこで笑う?」
「あははっ…ごめん。」
「俺、本気なのに…」
言いながら 長太郎は、やっと笑ってくれたを 嬉しそうに抱き締める。
「不安になる必要なんてないよ、。」
「え?」
「だって、俺は の ものだからね。」
それに は、俺のものでしょ?と 笑って、長太郎が、
を自分の膝の上に抱き上げた。
横抱き状態で座らされたは、真っ赤になって 降りようとする。
「やっ…こんなトコで!」
誰か来たら変に思われる、と もがくを きっちりと
膝の上に抱き止めて長太郎は笑う。
「大丈夫、暗くて わかんないよ。」
そう言いながら、の顎を捉えて深く口付けてしまうと、
子どもを あやすように、膝を揺らした。
「んっ…んー…ふぁ…んっ」
「ね、。俺は だけ、大好きなんだよ?」
キスに溶かされて大人しくなったに長太郎が笑う。
「誕生日のプレゼントに、身体を貰いたいのも、だけ。」
だから安心して、と 腰を擦られて、は 再度 真っ赤になる。
「やっ…ちょっと!」
「大丈夫。最後までは しないから。」
「最後までは…って、じゃあ どこまで する気なのさっ」
「んー…どこまでかなぁ…」
くすくすと笑いながら 長太郎は、のスラックスのジッパーを降ろし
手の平を忍び込ませてしまう。
「んぁっ」
きゅっと自身を握り取られて が 仰け反った。
「あんまり時間もないし、の えっちな顔見て 終わりにしようか。」
ごそごそと 自身だけを引きずり出し、
長太郎は 身を屈めると、ぱくりと それを口に咥えた。
「やだ!ちょたろっ!! 」
くぷくぷと 舐められて、きつく吸われて、は あっさりと陥落する。
「あー…んゃ…ぁ」
すっかり熱くなった自身から 口を離されると、濡れた その場所に夜風が染みる。
「や…だ、ちょた…かぜ、ひいちゃ…っ」
せがむように長太郎の髪を掴むと、再び 彼の口に含まれる。
「んっ…や!あつ…いっ」
一度冷やされた箇所は、再び覆い被さった粘膜を ひどく熱いものに感じ取り、
は 一気に 押し上げられた。
「やああっ!あ、んっ、ちょたろ…っ、ふぁっ」
とくとくと 溢れる白濁を 吸い出すようにされて、もう わけが分からない。
「ごちそうさま。」
を 引き戻したのは、長太郎の そんな言葉で。
「も…さいあく…」
は 半泣きで長太郎を睨んだ。
「そ?俺は 最高だったけど。」
の可愛い顔が見れて、と 睨まれた長太郎は、悪びれもなく笑う。
「ばか。」
「さ、そろそろ帰ろうか。明日も学校だしね。」
「ん。」
何だか 拗ねていた自分が バカみたいなくらいに甘やかされて、
は 小さく息を吐く。
2人は、身なりを整えて公園を出た。
公園から1ブロック先のT字路で、2人の帰路は分かれる。
は まっすぐ。長太郎は右へ。
「じゃあ、気をつけてね、。また明日。」
「うん。ばいばい。」
笑って わかれて、少しあと。
思い出したように は T字路まで 駆け戻った。
そして、歩く長太郎の背中に向けて叫ぶ。
「長太郎!はっぴーばーすで!! 」
振り返った長太郎は、すごく嬉しそうに 笑った。
〜End〜
あとがき
お題ページやらキリリクでは ちょくちょく書いてました長太郎。
やっとメインの ここに登場です(苦笑。
長太郎で年上主以外を書くのは初めてなので、何だか新鮮。
長太郎に素直に甘える主人公を書くのは楽しかったです(笑。
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