・「魔王」パロ
・詩:ゲーテ、曲:シューベルトのアレ
・完全なる悪ふざけ
・登場人物は鳳視点で宍戸・忍足・跡部・芥川
・主人公がちっさかったりおっきかったり
・忍足が変態
・エロ要素は一切無し
以上を読んで、嫌悪を感じる方、納得いかない方は、
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読んでやらぁ! と思った勇敢な貴方は、どうぞこのままスクロールして下さい。
それではみなさま、良い夢を。
だっかだっかと走る馬。
宍戸さんが小さな男の子を抱いて焦ったように手綱を握っている。
しっかりと、その胸に抱きついているのは、ああ、さんじゃないか。
ちっさいさん……めちゃくちゃかわいい。
「ん? どうした。なにをそんなに怯えてんだ?」
「お父さん。魔王がいるよ。なんかこう古風っつーか時代錯誤なやつ」
「気のせいだ。つーか気にすんな」
さん……怯えたような顔してすごくかわいいのにその台詞じゃ台無しです。
「あーもう、可愛えなぁ。、こっち来」
でれっとした顔で両手を広げるのはさんいわく、すばらしく時代錯誤な格好の忍足さん。
もとい、魔王。
「好きなもんなんでも買うたるしなー。おいで」
「父さん! 父さん! あすこに変態がいるんだ!」
「見ちゃいけません。つーか気にすんな」
だっかだっかと馬を駆る姿とてもかっこいいです宍戸さん。
でも台詞がなげやりすぎです宍戸さん。
「ちっこくてもキレイやなぁ。おいでってほら」
こっちへこいと手をのばす忍足さん、もとい魔王の隣に誰かいる。
不機嫌な顔で立っているのは。
「ー。がこっち来たら、跡部が女装してくれるて」
「ざけんな忍足。なんで女装だ」
「せやかて、俺に娘なんておらへんもん」
だからって跡部さんを女装させて踊らせようってのは無理がないですか忍足さん、もとい魔王。
あ、殴られた。
「とーさん! 跡部がドレス着てくれるって誘惑するんだけど!」
「あー、そりゃあちょっと見てぇなあ……じゃなくて、どこにもいねーから、変態とか」
「いるっつってんのにー、宍戸のばかー」
泣きながらさんは、ぎゅうっと宍戸さんの首に抱きつく。
「ぐぇっ、くるしっ、、しがみつきすぎっ」
ああ宍戸さん、なんてうらやましい。
その役代わってくれませんか。
とは言えない。言いたいけど言えない。言ったらあとが怖い。
「、愛してんねん。お前のいない生活なんて考えられへん」
うわぁ、忍足さんの口説きモードだ。
聞いているこっちは恥ずかしい。
「いややって言うても、連れてかしてもらうで? な、」
囁かないでください。
恥ずかしい。
「父さん! 父さん妖気をかんじます!!」
「国が違う!」
宍戸さん。ああ宍戸さん。つっこむところはそこですか。
「うわあぁぁん、このくそおやじーっ! おれが変態に連れてかれてもいいんだなっっ」
「こら、そんな言葉づかいどこで覚えやがった!」
だからつっこむとこはそこですか。
「つか、お菓子くれてもついてっちゃいけませんって教えたろーがよ」
「ちがあぁぁぁうぅっ!強制連行されそーだっつってんのーっっ」
そんなやりとりは無視して、だっかだっかと馬が走る。
ああ、真剣な顔で馬を駆る宍戸さんは本当にかっこいいです。
とそこへ、むこうから誰か来ました。
「あれぇ? 宍戸、こんなとこでなにしてんの?」
馬のあしをとめたのは、眠たそうなジロー先輩です。
緊迫感は一気に緩みました。
「ああ、が具合わるくしちまってよ。急いで帰るとこ……」
「ちゃん? どこにいるの?」
「あ? ここにしっかり抱いて……あれ、いねぇ」
おっことしたかな、じゃないですよ宍戸さん、うしろですうしろっっ!
「あー、いた。ししどー、ちゃんいたー」
ジロー先輩の指さす先には、満足げな顔で笑う忍足さんの腕の中で、ぐったりしているさんの姿が。
「あっ、忍足!!てんめ……」
「あー。ちっさい口やなぁ……ぷくぷくしとるわ。ちゅーしてええか?」
宍戸さんをかるーくシカトして、どうやら意識のないらしいさんの唇をゆびでつついて
でれでれしている変態。もとい忍足さん。
「まてコラ変態!!」
「おしたりー、いつからショタコンになったの」
「ん? べつにショータローくんにキョーミはあらへんよ?」
「んなこたどーでもいいんだよ! 返せ!!」
「なに言うてんねん。これは俺のもんや」
これあつかいされたさんは、くたーっとしているが、いつの間にかいつものサイズに戻っている。
あっ、忍足さん! 何ちゃっかりお姫様抱っこしてるんですかうらやましい!
「おい忍足。そろそろ戻るぞ」
「あれ、跡部。女装してくれへんの?」
「誰がするかアホンダラ」
言いながら、くたりとしているさんの額にかかる前髪を、ついと指でよける跡部さん。
ああっ、なんてことですか! さんのおでこが全開にっっ!
かわいーっっ、ちっこくなくても全然かわいいですさん!
身長180センチ近くあって、女の子みたいなところなんて一切ない男の人なのに
どうしてそんなに可愛いんですかさん!
「ほら、戻るぞ忍足。時間がねぇ」
「うわーっ! まてっ! を返せ! がさらわれたなんつったら俺が滝に消されるっ!!」
「あー、そうだよねぇ。滝はちゃん大好きだもんねぇ」
「知るか。行くぞ忍足」
「まってや跡部。あんま騒ぐとが起きてしまう」
「ったく! 起こしゃーいいだろうが」
「そんな、せっかく眠ってんのにもったいない」
「もったいないって何だもったいないって。起こせもう。いいから」
「えー」
「えー、じゃねぇ。起きろ」
「しゃーないなぁ。ほら、、起き?」
「んー」
「ぐずってんな。起きろ。それから鳳、お前もだ」
へ? 俺?
「おらっ、起きろ長太郎」
べこん、と頭に何か当たった。
……何?
「ん……ん?」
「おー、起きたか長太郎」
「あれ? 宍戸さん……?」
「あれ、じゃねぇよ。ったく気持ちよさそうにぐーすか寝やがって」
眠い目をこすれば、そこは見慣れた部室の中で。
制服姿の宍戸さんの手にはテニスラケット。
どうやらガットで叩かれたらしい。
「っあー、よく寝た!!」
となりでは、ぐーっと伸びをしたさんが、眠気を払うようにぷるぷると首を振っている。
ああそうだった。授業がすべて終わり部活へ出ようと部室へ来たら、さんがすやすやと
気持ちよさそうに眠っていて、うっかりつられて寝てしまったんだ。
「よく寝たってお前……頼んどいたデータの整理は終わったんだろうなぁ?」
「終わったから寝たんだっつーの。ったく、お前らのおかげで寝不足よ俺」
「ああ、優秀なマネージャーで助かってる」
「跡部が素直だと気持ち悪い」
「あぁん? 何なら今から1試合、付き合ってもらってもいいんだぜ? なあ、」
「いやぁ、遠慮しとくよ跡部くん」
ああ、いつものさんだ。フツーのさんだ。
忍足さんもふつーの忍足さんだ。
なんだからってあんな夢をみたのかといえば、理由はなんとなくわかっている気がする。
大きなところは2日前の音楽の授業。
アレだ。魔王。マイファーザー。
あれからクラスの男子が、気付くと歌っているんだ。そこだけ。
あとは、滝先輩が持っていた写真。
生徒手帳からヒラリと落ちたそれを拾い上げたのは偶然。
そこにはめちゃくちゃ可愛い、5歳くらいのさんが写っていた。
普通幼馴染だからってそんなものを持ち歩くだろうか、なんて疑問が頭をよぎったせいで
記憶にこびりついてしまったらしい。
それから……たぶん、文化祭の催しで跡部さんとさんのどちらが女装をするかで喧嘩してたこと。
だと思う。どっちでもいいと思う。とは言えない雰囲気だったなぁ。
という夢の分析をしながら着替えているうちに、宍戸さんと跡部さんはさっさとユニフォームに着替えて
コートへ向かっていった。忍足さんもさんと話をしながら出て行った。
「あー……あー、うん……」
ひとりになった途端、声が漏れた。
ていうか、だって。
「なんだよ。あの夢」
忍足さんがさんを愛しているとか言っていた気がする。
跡部さんの雰囲気も。
宍戸さんだって。ジロー先輩も。
それから……おれも……
「あーもう! なんなのさ!」
でも不思議と、気持ち悪いとかそんな感じはない。
あるのは少しの疎外感。
うちの3年生はちょっとおかしい。
さんを中心に、なんというかこう、なにかあるような感じがして。
おれなんかが、簡単には踏み込めない、何か。
いつか、いつかあの輪の中に入っていけたなら。
おれはどんなにか幸せだろうと思う。
「おぉぃ、ちょーたろー。そろそろ宍戸がキレるぞー?」
考えるのに夢中になっていたら、さんがおれを呼びに来た。
わ、ラッキー。
「今行きます」
うん、やっぱりおれ、さんのこと、好きなのかもしれない。
〜End〜
あとのつぶやき
とうとつに浮かんだのでそのまま書きました。魔王。
後半どもうだれてる感が否めないんですが、毎度落とすのが苦手な私なのでご愛敬、てことで。
「事後。」と関連づけるかは悩んだんですが……
忍足のあずかり知らぬところでちょたが主人公に恋しちゃったら面白いんじゃないの?
と、私の耳元で悪魔が囁いた(笑)ので、同一主人公にしてみました。
が、今後長太郎が3年のアレに食い込んでいくかは不明。
狼の群れに放り込まれてうろたえるちょたの童貞食っちゃう主人公が書きたくなったら
放り込むかもしれないです(笑。
またしても阿呆な話を書いてしまって上げてしまいました。
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。
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