コンコン、という ノックの音に
「どうぞ」
一定の間を置いて応じるのは
「失礼します。先生。」
氷帝学園中等部 国語科教諭、 。
「…忍足……」
入ってきたのは、同学園3年、忍足侑士。
が 氷帝に赴任して来て以来、何かとに構いたがる生徒だ。
放課後の国語科準備室には、
翌日の授業の準備をする手を止め 忍足を見遣ると、
にっこりと 笑いながら に近づく 忍足 二人きり。
「何か、質問でも?」
ふぅ、と 一つ息を吐いて 作業を再開する。
「冷たいなぁ センセ。せーっかく ええもん 持ってきたったのに。」
「冷たくて結構。早く部活に行きなさい。」
「今日は 部活、お休みやもん。」
「もん…て…。可愛くないから却下。用事がないなら帰りなさい。」
作業の手を止めずに 言葉だけを返す 。
「少しくらい 遊んでくれたかて ええやん?センセ。」
「…いつから 下の名前で呼ぶようになったんだ?」
「んー、今?」
あしらっているつもりが、どんどん忍足のペースにハマっていく。
「はー…。で、『いいもん』て、何なんだ?」
「お、やっと 聞いてくれる気になったん?」
「いいから 早く言え。」
「まぁまぁ、そう急かさんと。」
別に急かしちゃいない。とは、言わずにおく。
「これや、これ。」
差し出されたのは、小さく手折られた 桜の枝。
「外、満開やねんで。」
ほい、と 手渡される。
「かわいそうだ、とは 思わなかったのか?」
折られる桜の気持ちを考えてみたのか、と問う に、
「キレイなうちに、自分のモノに してしまいとぉて。」
にっこりと笑って答える忍足は
「せやから…センセのことも、手折ってしまいたいんやけど?」
飄々と そんなことまで 言ってのける。
「つまるところ、何が言いたいんだ?」
わかっているが わかりたくない。
今、まさに そんな感じである。
「告白、してんのやけど…」
わかりづらかったんか?などど言いながら 忍足は、との距離を縮める。
「っ…下品!! 」
手折る というのは、多分 そういう意味。
『ヤりたいんだけど』なんて 告白されたって 嬉しかない。
近づいてくる忍足から離れようと 後ずさる。
その腰を、忍足の腕が捕らえた。
「うわっ」
そのまま、ぐいっ と引き寄せる。
「何するんだ!忍足っっ!! 」
焦って離れようとするの腰を、さらにきつく抱き寄せ、
その耳元に 唇を寄せる忍足。
「好きや、」
「っ…!! 」
どくん、と の鼓動が大きくなった。
「よ…呼び捨てに するんじゃない。」
どぎまぎ してしまっているの口から、やっと出てきた言葉はそれ。
「って ことは、好き ってところは ええんやね?」
「っ ちがっ…」
否定しようとしたの唇に、ちゅ と 何かが触れた。
「大好きやで、センセ」
にっこりと笑う忍足に、とくん、と高鳴る心臓。
(まさか…まさか、な…。)
気付きかけた その気持ちに、気付かない振りをして。
は、手の中の 桜の枝を、きゅっと 握り締めた。
〜End〜
あとがき
教師受!年下攻!萌!!
満開の桜を見て 真っ先に浮かだのが、
「今度の主人公は教師か保健医だな…」
って、どうなんでしょう(笑。
ブラウザ閉じて お戻り下さい。