「いっ…てぇっ!もーちょっと優しくしろよ」
朝、登校時間の保健室。
保険医は不在。
「うるせぇ。」
「痛い痛い痛いっ!ほんと、お願いだがら もーやめて…」
「ちったぁ我慢しろ。」
そんな朝の保健室で、景吾と2人、何をしているかと言えば…
「景吾の人でなしー」
「人じゃねぇのは お前だろっ!」
「えー」
「えーじゃねぇ!何で すっころんだだけで こんな大怪我すんだよ!! 」
「いやぁ…あっはっは。」
すっころんで 膝から下の皮が ずる剥けた、俺の右足の治療だったりする。
「ったく…朝っぱらから呼び出すから、何事かと思えば…」
「先生いなかったから、こりゃ景吾しかいねーな、と思って。」
「わざわざ 俺様に治療させるたぁ、いい ご身分だな。」
ふん、と鼻を鳴らして景吾が言う。
「なんだ、忍足でも呼んだ方が良かった?」
「誰も そんなことは言ってねぇ。」
傷にガーゼを当てて包帯を巻いていく景吾の手を、じっと眺める。
「手際いいねぇ。さっすが運動部」
言うと、その手は 包帯の最後を金具で止めて、
ぽす、と傷の上を叩いた。
「っっっ!!! 」
「終わったぞ。」
「何すんですか 景吾さぁん」
もう半泣き。めっちゃくちゃ痛ぇ。
「ところで、そこまで盛大にやっといて、何故ズボンが無事なんだ?」
うわ、俺 今 めっちゃ流された…
「破けでもしなきゃ、いくら段差に擦ったっつっても ここまでならねぇだろ?」
「や、あの、暑かったから 捲ってました。」
「………」
あ。なんか…火ぃ点けちゃったみたい…?
「て、ことは何か?ズボンを捲った状態で往来を闊歩してきた、と?」
「や、むしろ 全力疾走っていうか…」
あ、うわ。やば…い?
「あの…景吾さん?」
「お前は…氷帝の生徒だって 自覚あんのか?」
「え、あ、はい。」
「氷帝の生徒が。ズボン捲り上げて。全力疾走だぁ?」
こ…怖…
「おまけに すっころんで 血ィ流しながら登校した と?」
「えーと…」
がしっと、顎をつかまれ、景吾の顔が近付いて来る。
そんな凶悪ヅラ近づけんなよ!!
「二度と しねぇな?」
「え…」
「二度と やらねぇと誓え。」
「誓えったって…」
そりゃ、往来でズボンを捲り上げない くらいは誓えるけど…
「素直に うんと言えば いいものを…」
「え。」
「お前に その気がないのなら、身体に誓わせてやるよ。なぁ、?」
にやりと笑った景吾に、つかまれたままだった顎を引き寄せられ、
俺は そのまま唇を塞がれた。
もしかして…ピンチ ですか?
※ ※ ※
「な、景吾っ!思い直さねぇ?そろそろ先生も来るだろうし…」
ベッドに倒されながら、極力 怒りを煽らないように言う。
「今日 保険医は休みだ。」
何で そんなこと知ってんだ。
とか思っているうちに、Yシャツが肌蹴られた。早ッ!!
「景吾!こんなところでしたら バレるってば!! 」
「屋上で した時も そう言って平気だったろ?」
「そういう問題じゃ…んぅっ」
うるさい口は塞いでしまえとばかりに キスで押さえ込まれる。
そう簡単に めげてたまるか。
唇が離れた隙に文句を続ける。
「大体…この間は授業中だったじゃないか。」
「今は 朝のSHR中だ。」
「そんなん 10分で終わるだろ!」
「だったら こっちも10分で終わらす。」
「はぁ!? 」
「さっさと誓っちまえよ?バレたくなけりゃぁな。」
ずるっと、ズボンが引き下げられた。
「やめっ…景吾!ちょっ……っ痛!! 」
抵抗するように足を動かしたら、包帯の巻いてある所を
無造作につかまれた。
「痛いのが嫌なら大人しくしてろ」
「…この 鬼畜…っ」
「お仕置きには丁度いいだろ?」
「お仕置き…って、何のだよ」
何だか理不尽なこと 言われてないか?
しかし、そんなことを訊いた俺が ばかだったのか、
景吾の顔に 凶悪な笑みが浮かんだ。
「俺の知らないところで こんな怪我して、俺に手当てさせた挙句の抵抗。」
とか言いながら、景吾の右手は俺の下着の中を這い回る。
「そう簡単に 許されるとは、思ってねぇよなぁ?」
言うと同時に 俺自身を握り込まれて、つい びくっと 身を竦めてしまった。
「なぁ、?」
笑みを浮かべたまま、その手は 俺の性感を引きずり出すべく動き始めた。
※ ※ ※
結局。
景吾は 本当に10分で 俺の口から許しを請う言葉を もぎ取り、
誓いを立てさせた。
「ったく…」
「ん?何だ、」
ぽそりと 呟いた言葉に、俺の足の包帯を巻き直していた景吾が顔を上げる。
「こっちは いつバレるかって、気が気じゃないってのに…」
「は 気にしすぎなんだよ。」
「でも…さぁ」
「お前は 俺のモノだ。誰が何と言おうとな。」
そんな風に断言してくれる 景吾が愛しい。
愛しすぎて…怖い。
景吾は解ってない。扶養家族の弱さ、未成年の弱さを…。
そんな弱さが、今 とても もどかしいんだ。
景吾、お前を 抱き締めるたびに、もどかしくなるんだよ。
〜End〜
あとがき
何だか連載風味に第2話です。また微エロです。
言わずと知れて 続きます(笑。
今の所、「世界観を同じくした読みきり」な感じですが、
もしかすると連載になるかなぁ…。
そのあたりは追々に。
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